2011年,月報『KAJIMA』は,当社の主要な活動内容をクローズアップする「特集」を中心に,
8つのコンテンツを企画。
社内外から様々な方にご登場いただき,幅広い話題を提供した。
“あの時”紹介した“あの人”はいま――。
月報をプレイバックしながら,皆さんの2011年の活躍を紹介する。
研究・技術開発の経験活かし新天地で活躍
「女性の人間力と技術力」をテーマに行った1月号の座談会では,業界に先駆け土木系の女性総合職として入社した天野玲子部長に登場いただいた。技術研究所で主にコンクリート橋梁の研究をした後,土木技術本部(当時)や土木管理本部で技術開発管理に取り組んできた。今年4月からは, 知的財産部で当社初の女性部署長として活躍する。
知的財産部は,特許や商標,著作権などの知的財産を掌り,その創出・保護,活用を担う部署。研究所時代の技術開発や土木・建築技術の企画管理,技術開発管理部門でテーマ選定から成果の評価・展開まで一気通貫で技術開発をマネジメントした経験を, 部署運営に活かしている。
天野部長の発案で,希望者向けだった知的財産講習を社内の教育体制に盛り込んだ。今後はグループ会社も含めてより積極的な知財活動を展開。「技術競争が熾烈になり,真の技術力が評価される今,知的財産部の役割は大きい」と意気込む。
「こうあるべき,こうやった方が良いと思ったことを実現できるポジションで,非常に楽しくやりがいがあった」と今年を振り返る。「経営者の視点で,新しい見方や様々な活用方法を気付かせてくれる存在」と部員からの信頼も厚い。
日本人の名を冠した初めての賞
マサチューセッツ工科大学(MIT,アメリカ・ボストン)で初めて日本人の名を冠した「庄子賞」。同大学の客員教授を務める庄子幹雄当社顧問の功績を称え,同賞が創設されたニュースは2月号K boardで紹介した。
この,情報革新分野で顕著な成績を収めた学生に贈る「庄子賞」の授賞式が9月, MITのスポフォード・ルームで行われ,名誉ある第1回の受賞者に同大学大学院のセルジオ・ヘレロ氏が選ばれた。授賞式で庄子顧問は,彼の研究業績を称えるとともに,日本計算工学会賞「庄子メダル」の受賞者たちと交流する機会をつくりたいと,計算工学を通じた国際交流を提案した。
一方,授賞式の前には,庄子顧問にうれしいサプライズが用意されていた。大学が庄子顧問の物理現象応力解析と建設マネジメントの情報化への長年の功績を高く評価し,スーザン・ホックフィールド学長から表彰状が贈呈されたのだ。庄子顧問は,「非常に驚いたが約50年間の業績が名誉ある形となり,嬉しいし, これは会社また同僚たちの支援のおかげである」と喜びの気持ちを語った。また,ホックフィールド学長は「庄子賞は, 本校の栄誉ある賞として今後も永く続くだろう」と,賞の存続を述べた。
世界初,第2のレアアースを国内生産可能に
2月号検索では「甘草」と題し,当社が医薬基盤研究所,千葉大学と共同で世界初「薬用植物の人工水耕栽培システムの開発」に成功した研究について, 担当者に解説してもらった。国内使用量の100%を輸入に依存する汎用性の高い甘草を,国内で安定かつ継続的に生産可能にしたことは大きく,9月には第9回産学官連携功労者表彰(厚生大臣賞)を受賞した。
授賞式に出席したエンジニアリング本部斎藤俊哉次長(当時)は「異分野と共同する産学官連携は当社だけで実現できないことを可能にし,他にない付加価値を生み出す」と研究を振り返る。建設業からはイメージしにくい化粧品や医薬品の分野においても,当社が貢献できることを示した。
4年にわたり甘草と向き合ってきた斎藤次長が,今年5月から土木管理本部に異動し, インフラのプロジェクト推進を担当している。この環境の変化について「甘草のときに得たノウハウを活かし,インフラでもグローバルな連携を組み立てたい」と意気込みを語る。どのプロジェクトも情報収集や連携は重要。12月にはスペインで州政府と協同で『水資源・エネルギー』ビジネスに関するケーススタディを行う予定だそうだ。
大詰めを迎える都心のプロジェクト
7月号で「新宿イーストサイドスクエア」の現場を紹介した際は,複雑なデザインの外装の施工が最盛期を迎えていた。あれから5ヵ月,現在は外装工事が仕上がり,半地下のサンクンガーデンと外構・内装設備工事が進んでいる。
現場を統括する戸田猛所長は「この現場も東日本大震災で苦境に立ちました」と話す。外装アルミカーテンウォールに使用する倍強度ガラスは,契約したガラスメーカーの工場が被災。急遽ガラスの仕様を倍強度合わせガラスに変更し,海外ガラスメーカーに切り替えたという。「不測の事態に対応できたのは,当社技術研究所をはじめ本社・支店技術部門が現場を支援してくれたおかげです」。
節電の夏には,遠隔監視通報システムで電力の使用状況をリアルタイムに把握。節電目標を上回る徴候が出た場合は,事前に策定した節電計画に基づいて送風機・エレベーターの一部停止や,タワークレーンの低速運転などで目標を厳守した。
「難局にぶつかった時は,現場だけでなく,他支店・他部署が協力してくれた。鹿島の総合力を実感している」と戸田所長。様々なことに直面した2011年は時の経つのが非常に早かったそうだ。「来年4月の竣工の暁には,所長方針“誰にも信頼される良い建物を安全に力を合わせてみんなで作ろう”を達成したい」。
コミュニティデザインの現場から
今年1月からの連載「SAFE+SAVE 支援と復興の土木・建築」は,災害復興や生活支援の活動のなかに持ち込まれるようになった“デザイン”を,海外の事例で紹介するページ。題材は仮設住宅,橋,給水設備,ロープウェイ,菜園など幅広い。かたちやアイデアが優れているばかりでなく,地域の人がみずから使える素材や技術であることもポイントだ。
連載の著者・山崎亮さんは「デザインしないデザイナー」として,最近その活動が注目されている。これまでに,衰退が進む地方のデパートや,過疎化が深刻な瀬戸内海の離島を再生に導いてきた彼が提唱するのは「コミュニティデザイン」。空間の使われ方や人的交流のマネジメントから地域の再生を図るボトムアップの手法が支持を集めている。
こうした活動のきっかけは,専門であるランドスケープ・デザインで感じたジレンマからだった。「時間をかけてデザインしたのに,なぜ寂しい公園になってしまうのだろう」。この疑問から地域の人とともに様々な催しを企画し,来園者が途切れない公園をつくり上げた経験に手ごたえを感じた。「課題に直面している当事者同士が力を合わせることで,社会的な課題は解決できる」と山崎さんは語る。
この連載も自身の活動と地続きと捉えている。コミュニティが疲弊し,復興への解決策を模索している世界的な状況と,同時多発的に拡がる「コミュニティデザイン」の現場を,読者にも知ってもらいたいと考えている。
『KAJIMA』では, 4月に行われる入社式の模様を,毎年5月号の「k board」で紹介している。
まだあどけなさの残る新入社員の緊張した面持ちの写真や,新たな門出を激励する社長からのメッセージ――。
入社式のニュースは,先輩社員が新年度を自覚する瞬間でもある。
2011年度は198名の新入社員が入社し,社会人としての第一歩を踏み出した。
今回,全国に展開する新入社員の皆さんを追跡!
2011年の“私”を直筆で漢字一文字に表して,彼らの活躍ぶりを報告してもらった。
建築設計本部 建築設計統括グループ
西村 萌
都市や建築の計画者であると同時に生活者でもあるという当たり前のことを再認識し,その意味を深く考えたこの1年。来年は知性を磨き,想像力を発揮して,「建築すること」と人々がそこで「生きること」が表裏一体となっていく力強い空間を提案していきたいです。
技術研究所 都市防災・風環境グループ
秀川貴彦
この1年,目に見えるもの全てが新鮮でした。研究所内のあらゆる技術に驚き,被害調査にも同行して自然の脅威を目の当たりにし,目が覚めるような思いもしました。来年もこの気持ちを忘れず,当社や関係する多数の方々に貢献していく信念と覚悟を持って業務を行います。
北海道支店 現業事務センター 札幌事務統括事務所
前田桂吾
現場勤務になり,どこへ行くにも何をするにも,漠然とした焦りからいつも気持ちが走っていました。ゴルフでもボールを探して走り回りました。来年は仕事の効率と優先順位を考え,精神的な余裕を持てるようにしたいです。ボールもまっすぐ飛ばしたいです。
東京土木支店 JR東北縦貫線工事 事務所
前原亮太
事務担当として鉄道現場に配属され「現場で現物を現実に」見てきた1年間。初めての経験ばかりで,自分の新しい一面も姿を現した,刺激的な日々でした。「事務屋としてものづくりに誇りを持つ」という夢を実現させるべく,朝礼のラジオ体操から気合を入れて臨みます。
東京建築支店 立正大学付属
立正中学校・高等学校馬込キャンパス 建設工事
富澤 明
現場に配属になり,最初は何もわからず質問の日々。少し経つと,今度は調整に追われ動き回る日々。最近徐々に手と頭を動かすことができるようになってきました。今年は“動”に力を注いだ1年でした。来年は動くとともに確かな知識を身につけ,一流の管理者を目指します。
横浜支店 中央建築営業所
小林尚平
凛には「堂々としていて力強い」という意味と,「何でも吸収する」という意味とがあります。営業所配属となり,職場の先輩方に支えて頂きながら多くの事を学んだ1年でした。2012年も,自分らしくハツラツと行動し,一日も早く社会に貢献できるよう努力していきます!
関西支店 天美掘割工事事務所
大木皓平
今年は鹿島に入社して,たくさんの素晴らしい上司,先輩と出会うことができ,一つ一つやるべきことを経験して,たくさんのことを会得した1年であったと考えています。来年は出会った方々との繋がりを大事にして,広く深い技術を学び,現場管理していきます。
四国支店 西条東部処分場JV 工事事務所
重松 明
現場配属されて半年,気合を入れて現場に出る毎日,しかし気合が空回りして失敗することも数多くありました。しかし,すぐに気持ちを切り替え,シンプルに考えればうまくいくことが多かったです。来年も失敗を恐れず,何事にも積極的に取り組んでいきます。
中国支店 野呂谷第一トンネル 南工事
林 高徳
法面復旧工事の工事担当として,工程調整や工事書類の作成など工事の一連の流れに携わることができ,ものを創ることの楽しさや喜び,時には辛さを感じる1年でした。来年は,一歩でも先の状況を想像し,考え,よりよいもの創りに貢献できるようにがんばります。
東北支店 胆沢ダム堤体盛立 工事事務所
大石史哉
今年1年は,半年間,都市部で推進トンネル,現在はダム現場の山岳トンネルと2つの現場に携わる事ができました。同じトンネルと言っても,工種や周辺環境など全く異なり自分にとって貴重な経験となりました。今後,この経験を糧に一人前の技術者を目指していきます。
関東支店 業平橋駅改修JV 工事事務所
大草陽太郎
現場配属となり,社員・協力会社の方々から教えてもらう毎日です。現場では,教えてもらうばかりでなく,教える立場です。教えたつもりが「違うよ」と逆に指摘されることも,しばしば。来年の目標は,自信を持って多くのことを教えられるように,自ら学ぶことです!
北陸支店 管理部現業グループ (新潟地区担当)
平林敬幸
入社当初,不安だった私を支えてくれたのは家族や友人の思いやり。仕事を通じ自分を成長させてくれたのは会社の方々の思いやり。多くの思いやりを経験し,その大切さを感じた1年でした。来年はこれまで頂いた思いやりに応えられるように,日々努力し成長していきます。
中部支店 宮田導水路 サイホン工事事務所
加藤千賀
初めての安全当番で緊張したり,失敗して悔し泣きしたり,職人さんと話して笑ったり,色々な顔があった1年でした。また,現場唯一の女性として何かと注目され現場の顔であることを実感しました。来年は鹿島の顔として恥となることのないよう,笑顔で努力していきます。
九州支店 北九州工事事務所
大内健太郎
「そんなこともわからんと?」。初めてひとりで現場へ行った時,所長からの問いかけに全く返答出来ない自分が言われた一言です。あの時から仕事に対する必死さが変わったように感じます。どんな仕事に対しても“果敢”に臨み,誰からも頼られる事務屋を目指します。
海外支店(安永川トンネルJV 工事事務所・研修中)
ダンタス ラファエル ルストザ
常に応援してくれた恩師,友達,家族のおかげで6年間の留学生活を終え日本で就職できた事,お礼申し上げます。日本人新入社員と同様に,熱く親切に接して下さる鹿島の先輩や協力会社の皆様にも感謝の1年でした。これからも100年をつくる鹿島の一員として成長していきます。
2011年の時事ニュース
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