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KAJIMAダイジェスト

KAJIMA YEARBOOK 2011

災害

未曾有の災害――東日本大震災

東北支店――3.11からの4日間

2011年3月11日14時46分,三陸沖を震源とする東北地方太平洋沖地震が発生。国内観測史上最大のマグニチュード9.0を記録した大地震は巨大津波を引き起こし,東日本の太平洋沿岸に甚大な被害を及ぼした。

当社東北支店ビル(仙台市青葉区)は什器・備品が転倒し,停電で社内通信網が断絶したが,MCA無線により本社と通信。15時前後には震災対策本部を立ち上げ,支店ビルの社員全員の無事を確認し初動体制を整えた。16時20分,対策本部が本格稼働し,支店管下の工事事務所の安否確認や施工中ならびに既施工物件の被災調査を開始した。翌12日からは,本格的に被災調査が始まり復旧活動の要請対応にも着手。電気,社内通信網も回復した。13日には,本社から支援社員第1陣が現地入りし,他支店からも続々と支援物資がトラックで運び込まれた。3月14日,東北支店管下(支店ビル・5営業所・8出張所・106現場)の社員603名全員の無事を確認。本格的な調査・復旧活動に移った。

長期化する復旧工事

余震が続く中,東北支店では施工中のプロジェクト,当社施工物件,要請を受けた案件の被災調査を実施。本社・各支店から土木・建築・設計技術者などが応援に駆け付け,2週間で約1,200件の調査を完了した。一方,建設重機,資材,人員が不足する中,道路,鉄道などの応急復旧工事に対応し,早期開通に貢献した。生産施設,商業施設,スポーツ施設などの復旧工事も相次ぎ,ゴールデンウィーク前にかけて,昼夜問わずの突貫体制での工事となった。「日本製紙クリネックススタジアム宮城」は40日足らずで改修工事を完了し,4月29日開幕戦が行われた。

大震災から約9ヵ月,応急復旧から本格復旧へと当社の工事も推移しているが,今後も長期化が予想される。東北支店同様,関東支店も多くの復旧工事に対応中であり,東京電力福島第一原子力発電所関連工事を担当する東京土木・建築両支店では,全国から社員が集結し作業にあたっており,社員の献身的な活動が大きな力となっている。2012年も,全社一丸となり被災地の復興に貢献していく。

写真:❶日本製紙クリネックススタジアム宮城(4月29日開幕戦) ❷津波の被害をうけた「名取川藤塚地区貞山運河水門新設工事」(仙台市若林区)は,10月無事竣工した(❸) ❹東北支店震災対策本部 ❺避難する東北支店社員 ❻発災から6日で着手した「県道2号石巻鮎川線応急復旧工事」(宮城県石巻市) ❼津波が迫る「(仮称)宮城県教育・福祉複合施設新築工事」(宮城県名取市)は現在,工事再開(❽) 

日本製紙クリネックススタジアム宮城(4月29日開幕戦) 津波の被害をうけた「名取川藤塚地区貞山運河水門新設工事」(仙台市若林区)は,10月無事竣工した() 東北支店震災対策本部 避難する東北支店社員 発災から6日で着手した「県道2号石巻鮎川線応急復旧工事」(宮城県石巻市) 津波が迫る「(仮称)宮城県教育・福祉複合施設新築工事」(宮城県名取市)は現在,工事再開() 

「災害廃棄物処理業務(石巻ブロック)」安全祈願祭

10月23日,「災害廃棄物処理業務(石巻ブロック)」の安全祈願祭が,宮城県石巻市雲雀野地区の計画地で行われた。式典には,自治体,受託業者ら65名が出席し,作業の安全と被災地の早期復旧・復興を祈願した。

本事業は,東日本大震災で発生した石巻ブロック(石巻市,東松島市,女川町)の災害廃棄物約685万tの処理を行うもので,当社をスポンサーとする9社JVが宮城県と業務委託契約を締結した。石巻市内に点在する仮置き場からの廃棄物の運搬,分別・破砕・焼却等を行う中間処理施設の設計・施工業務と,リサイクルを含めた中間処理,最終処分までを一括で運営・管理する。業務期間は2014年3月25日までを予定。今回の災害廃棄物処理業務の中では最大規模となる。

写真:❾震災直後の石巻市内 ❿「災害廃棄物処理業務(石巻ブロック)」安全祈願祭と現場(⓫)

震災直後の石巻市内 「災害廃棄物処理業務(石巻ブロック)」安全祈願祭と現場(

地元の復興に貢献したい

約68haの事業用地内で処理する瓦礫の量は,石巻市で通常発生する一般廃棄物の100年分以上に相当する。規模・金額ともに,これほど大きなスケールの仕事は初めてであり,未知の分野にチャレンジすることとなる。私自身,20年以上石巻市に住んでおり,本事業が石巻地区の復旧・復興に向けた重要な業務であることを誰よりも強く認識している一人である。本社,支店と連携し,地元の建設会社,運送会社を中心とした地元業者の協力を得て,一日も早い業務完了を目指す。

写真:石巻ブロック災害廃棄物処理業務JV 佐々木正充 所長

石巻ブロック
災害廃棄物処理業務JV
佐々木正充 所長

改ページ

台風12号による土砂ダム

川原樋川赤谷(かわらびがわあかだに)地区河道閉塞緊急対策工事

2011年秋――日本列島に相次いで上陸した大型台風は,各地で猛威をふるった。奈良県五條市大塔町赤谷では,台風12号の豪雨により発生した土砂崩れが河道を塞き止め,巨大な土砂ダムと化した。このダムの不安定化を解消するための国土交通省近畿地方整備局による緊急対策工事を当社は担当。工事用道路・進入路の設置などの準備工事を経て,土砂ダムの整形,仮排水路を構築する作業が来年春まで続く。渇水期となった現在も予断を許さず,作業員の2次災害の防止に努め作業を進める。紀伊半島の河道閉塞対策工事は,赤谷地区を含め5ヵ所で施工中だが,当現場が最も大規模な工事となっている。

写真:❶土砂ダム付近 ❷崩落した土砂

土砂ダム付近 崩落した土砂

安全第一で早期完成を目指す

台風12号通過後,すぐに現地調査に入りました。川沿いの県道の一部は土石流によって損壊しており,アクセス道路の整備から工事がスタートしました。途中,台風15号が再度大雨をもたらし,土砂ダムの一部が越流。ダムの形状が大きくかわり,重機土工による施工量の大幅な増加や崩壊した細粒土砂の流入対策など,早期完成の妨げとなる要素が増えました。現在は,バックホウ12台,重ダンプ4台,キャリアダンプ5台,ブルドーザ3台などを駆使して,主に仮排水路を施工中です。避難民の方々の早期帰宅をかなえるためにも,2次災害防止に留意し,社員・協力会社一丸となって,来年春の完成を目標に,安全第一で取り組んでいきます。

写真:仮排水路の掘削の様子

仮排水路の掘削の様子

写真:天然ダム湖の水位を下げるため,ポンプで排水

天然ダム湖の水位を下げるため,ポンプで排水

写真:川原樋川赤谷地区河道閉塞緊急対策工事 船迫俊雄 所長

川原樋川赤谷地区
河道閉塞緊急対策工事
船迫(ふなばさま)俊雄 所長

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