当社は，長期的な環境ビジョンとなる「鹿島環境ビジョン：トリプルZero2050」を策定した。キーワードは“Zero Carbon”“Zero Waste”“Zero Impact”。2050年をターゲットに，持続可能な社会を実現するため，事業活動や社会・顧客への提案を通じ，低炭素，資源循環，自然共生の3つの視点で環境負荷をゼロにすることをめざす。

明確なビジョンが打ち出された今年，再生可能エネルギー関連施設の完成・着工が相次いだ。1月，千葉県銚子沖約3.1kmの太平洋上に，当社が設計・施工を担当した日本初の本格的着床式洋上風力発電設備が完成し，運転が開始された。新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）と東京電力の共同事業で，台風や地震，波浪などの日本の厳しい自然環境に適用できる洋上風力発電技術の確立を目的としている。現在，設備に作用する外力や風況と発電量の関係などの調査が行われている。メガソーラー関連では，当社の開発事業「那須ちふり太陽光発電」のほか，「オカモト太田ソーラーパーク」（群馬県太田市）が当社施工で10月に完成。ゴム・プラスチック製品の総合メーカーであるオカモトが遊休地を活用した事業を展開中である。また，茨城県水戸市では出力30MWの大規模太陽光発電所「水戸ニュータウン・メガソーラーパーク」に着工し，来年度の完成をめざして施工が進んでいる。

一方，廃棄物最終処分場にも3件着手した。6月に美馬環境整備組合の「拝原最終処分場整備事業」（徳島県美馬市），7月に「熊本県公共関与管理型最終処分場建設工事」（熊本県玉名郡南関町）, 11月には国土交通省東北地方整備局の「津軽ダム環境保全工事」に伴う産業廃棄物管理型処分場（青森県中津軽郡西目屋村）の施工がはじまった。全て埋立容量が20万m³を超える大規模かつ高規格な最終処分場。熊本県の最終処分場は，財団法人熊本県環境整備事業団が建設を進め，総合評価により設計・施工一括方式で当社が受注した。埋立地を屋根と壁で覆い，周辺環境と分離したクローズド・無放流型の施設構造となる。高い遮水機能，廃棄物の安定化，経済的な維持管理など，土木，建築，環境分野で培ってきた高度な技術力，ノウハウ，総合力が活かされる。また，循環型社会を体系的に学習できる場として，見学施設を整備するほか，コミュニティ活動や防災拠点としても利用される。地域に役立つ最終処分場として全国のモデルとなることが期待されている。