東南アジアを統括する現地法人KOA(カジマ・オーバーシーズ・アジア)が,設立25周年を迎えた。当社の東南アジアでの事業は,戦後の賠償工事にはじまり,諸国の発展とともに,様々な建設需要に応えてきた。1980年代に入り,当社は建築・開発部門における海外事業を現地法人化するという方針のもと,米国,欧州に続いて,1988年にKOAがシンガポールに設立された。
KOAは,シンガポールでの事業推進を図るとともに,東南アジアを一つのエリアとみなして各国拠点を支援・管理する地域統括機能を有する。現在は,シンガポール,インドネシア,タイ,マレーシア,フィリピン,ベトナム,香港,インドの8ヵ国を管轄している。また,傘下のKDA(カジマ・デザイン・アジア)が,KOA管内の設計・コンサルタント業務を担当するなど,KOAは多角的に事業を展開し,様々な大規模プロジェクトを手掛けている。現在,KOAグループの社員数は2,500名を超えており,昨年度は建設受注高,売上高ともに初めて1,000億円を上回った。
今年の建設事業の代表的な竣工プロジェクトは,「シンガポール国立総合病院病理学棟(通称 アカデミア)」 で,7月にオープニングセレモニーが行われた。シンガポール最古の歴史を誇る政府系総合病院であり,アカデミアには,高気密実験室や病理学研究施設,臨床検査施設など最先端の研究施設が配されている。8月には,香港系デベロッパー発注の「カールトン シティ ホテル シンガポール」(全386室)が竣工・オープンを迎えた。タイでは,マツダのトランスミッション工場に設計・施工で着手している。同社の新世代技術の生産拠点となり,起工式には中村社長も出席した。開発事業では,シンガポールの高級住宅地で2008年から進めていた「ビショップスゲート住宅開発」が完成し,今年から購入者への引渡しならびに入居が開始された。10月には,インドネシアで手掛けるアジア最大級の開発事業「スナヤン・スクウェア」ホテル棟の上棟式が行われ,2015年初めのホテル開業に向け,一つの区切りを迎えた。同プロジェクトは1989年に開発に着手し,KOAの四半世紀にわたる歴史とともに歩み続けている。
11月26日には,リージェントホテル(シンガポール)にて, 設立 25周年記念レセプションが行われた。同ホテルは,1979年に地元企業と共同で着手した,当社にとってアジア初の開発事業であり,建設工事も当社で担当している。
シンガポール国立総合病院病理学棟(シンガポール)
ビショップスゲート住宅開発(シンガポール)
カールトン シティ ホテル シンガポール(シンガポール)
マツダ・トランスミッション工場の完成予想パース(タイ)
スナヤン・スクウェア全景(インドネシア)
10月に行われたスナヤン・スクウェアホテル棟の上棟式
スナヤン・スクウェアホテル棟の完成予想パース
KOA 管内(東南アジア)での主な動向
- 1954年
- 日本の建設会社で戦後初となる海外工事,
ビルマ(現ミャンマー)のバルーチャン発電所を
着工 - 1959年~
- インドネシアのカリブランタス総合開発,
シンガポールのオイルプラント工事,
タイのアジアハイウェイ工事など,各国で事業を
展開 - 1985年
- タイ・カジマ設立
- 1988年
- KOA設立
- 1989年
- カジマ・マレーシア設立
- 1992年
- KDA設立
- 1994年
- KOAベトナムオフィス設立
- 1998年
- カジマ・インドネシア設立
- 2002年
- カジマ・フィリピン設立
- 2011年
- カジマ・インディア設立
- 1982年
- リージェントホテル(シンガポール/ホテル)
- 1988年
- KOA香港オフィス設立
- 1991年
- ソフィテル・フィリピンプラザ(フィリピン/ホテル)
アライド・カジマビル(香港/オフィス) - 1992年
- ノボテル・センチュリーホテル(香港/ホテル)
- 1994年
- ラマランドビル(タイ/オフィス・ホテル)
- 1996年
- ミレニア・シンガポール
(シンガポール/ 複合施設)
スナヤン・スクウェア(インドネシア/複合施設) - 2009年
- 71ロビンソンロード(シンガポール/オフィス)
- 2013年
- ビショップスゲート(シンガポール/住宅)
※開発プロジェクトの西暦は開業・運営開始年
リゾート・ワールド・セントーサ(シンガポール)
71ロビンソンロード