ホーム > KAJIMAダイジェスト > December 2019:特集 KAJIMA YEARBOOK 2019 > 価値を創出する技術力

価値を創出する技術力

イメージ

年明け早々,熊本県で最大震度6弱を観測する地震が発生。9月には台風15号が上陸し,その復旧も半ばの翌10月に台風19号による記録的豪雨で各地に甚大な被害が生じた。関東甲信・東北地方の広域で河川の氾濫が相次ぎ,住宅1万棟以上にのぼる大規模な浸水が発生。人的被害も拡大し,現在も復旧活動が進められている。

当社は昨年,年々猛威を増す自然災害への対応として,当社技術研究所内に「BCP・リスクマネジメントチーム」を組織した。そこでの社内外に向けた取組みなど,独自技術とソリューションについて,「自然災害リスクとBCP」と題し本誌3月号にて特集した。

当社のリスクマネジメントは,「予測・予防・対応」の3つのフェーズで構成され,各フェーズのそれぞれに専門領域の技術を保有するグループ会社が携わり,企業のニーズに沿った実効性の高いBCP構築がサポートされている。

改ページ
Column

千曲川堤防決壊,
緊急復旧工事完了

10月13日未明,台風19号の豪雨で長野市穂保地区の千曲川堤防が決壊,大規模な浸水被害が発生した。当社は国土交通省北陸地方整備局と日本建設業連合会北陸支部との災害協定に基づき,整備局からの災害応急対策業務の選定を受け,13日より準備を開始。16日より他社とともに緊急復旧工事にあたった。

北陸支店を中心に,土木管理本部,機械部,関東支店,横浜支店が協力体制を組み人員を派遣。当社は仮堤防の川表側を鋼矢板で囲む,仮締切作業を行った。緊迫した状況が続くなか,24時間態勢で臨んだ工事は27日に無事完了。緊急復旧工事の全作業が完了した10月30日,長野市は周辺の避難指示を解除した。

図版:千曲川堤防決壊緊急復旧工事完了

図版:約70mにわたって決壊した千曲川

約70mにわたって決壊した千曲川。当社は写真右手ブロックより中央に向かう仮締切堤防を築いた

改ページ

未来に向かう技術研究所

1949年の開設以来,超高層ビル,原子力発電所,長大橋梁など,日本で初となる構造物やインフラを実現するために,先進的な研究開発で当社の技術基盤を支えてきた技術研究所。4月に創立70周年を迎え,本誌4月号にてそのあゆみと動向を特集した。

当研究所は「今を拓き,未来を築く力」をスローガンに,生産性向上を目指した次世代建設生産システムの構築,建設プロセス全体のデジタル化,環境・エネルギー,防災・減災といった多岐にわたる社会的課題に加え,健康,知的生産性など,人々を取り巻く社会的営為にも目を向けた課題をR&Dの対象としている。

例えば環境への配慮に,生物多様性保全への取組みがある。建設工事の周辺環境調査,環境保全対策の計画立案,工事中の環境保全措置といった生態系への影響を低減する内容を実施。その成果の一例に,里山の代表的な生物種の一つである,ホタルの生息環境を新たに整備した「エコアくまもと」のホタルビオトープがある。

また,記事では2013年に開設した技術研究所シンガポールオフィス「KaTRIS」のその後を紹介。東南アジア各国とのネットワークの拡充を図りながら,グローバル化に対応した研究開発の業務拡大を続けている。

図版:熊本県公共関与産業廃棄物管理型最終処分場

熊本県公共関与産業廃棄物管理型最終処分場
「エコアくまもと」に当社が構築したホタルビオトープ。さらに今年,「環境DNA」の技術を用いて,水中の採取物から幼虫の生息状況を調査する手法を開発した

図版:今年1月に開所したシンガポール国立大学「NUS」新校舎(KOA施工)

今年1月に開所したシンガポール国立大学「NUS」新校舎(KOA施工)。
KaTRISと環境・エネルギー分野の共同開発を進めている 

改ページ

生産施設のエンジニアリング

本誌7月号では,エンジニアリング事業本部の取組みを特集した。同本部は1996年の設立以来,多数の生産・物流施設の構築を手掛け,なかでも医薬品,化粧品といった高機能を要する生産・物流施設にも数多くの実績を有している。また,刻々と変化する製造技術や品質基準に対応するための技術開発にも積極的だ。

近年進むバイオ医薬品製造を支えるため,当社は医薬品工場の排水を効率的に無害化する処理技術「連続熱式不活性化処理装置」を開発,国内の施設に導入してきた。よりクオリティを高めた最新ユニット「HAZARD BUSTER®」で,海外展開をも視野に入れている。

そのなかで6月,「アステラス製薬東光台バイオ治験薬製造施設」が竣工した。迅速な新薬開発を実現するため,スピーディな施設の立ち上げとフレキシブルな施設の切替対応が求められたが,ここではそれらを可能にする当社独自技術「ハイブリッドモジュール」の工法が活かされている。このように,施設全体の最適なソリューションを導き出すのも同本部の大きな役割だ。

こうした価値を創出する技術力は当社グループが生み出す総合力の強みである。

図版:アステラス製薬東光台バイオ治験薬製造施設

アステラス製薬東光台バイオ治験薬製造施設

改ページ

Playback 2019

07

【社会】

  • 「百舌鳥・古市古墳群」世界遺産に
  • ジョンソン英首相が就任
  • 人類初の月面着陸から50年

【鹿島】

  • アジア地域における組織再編の完了および再編に伴う社名変更
  • 〈GC America新社屋〉竣工(米国)
  • 〈小石原川ダム〉堤体天端到達式(福岡県)
  • 「第60回BCS賞」〈GINZA SIX〉〈東京ガーデンテラス紀尾井町〉
    〈東京ミッドタウン日比谷〉が受賞
  • 〈(仮称)九段南一丁目プロジェクト新築工事〉着工(東京都)
08

【社会】

  • 渋野日向子,全英女子ゴルフ優勝
  • あいちトリエンナーレ,表現の不自由展中止(10月に再開)

【鹿島】

  • 「鹿島統合報告書2019」を発行
  • 第5回「竹芝夏ふぇす TAKESHIBA Seaside Music & Dining」開催
  • 〈中外ライフサイエンスパーク横浜建設工事〉着工(神奈川県)
  • 首都直下地震を想定したBCP訓練を実施
  • 〈IHI鶴ヶ島工場〉竣工(埼玉県)
09

【社会】

  • 台風15号,千葉県を中心に停電など大きな被害
  • ラグビーW杯開幕

【鹿島】

  • 「鹿島サマースクール2019~本物の建設現場を見に行こう~」に
    417人が参加
  • 〈テルモ山口 3号棟〉竣工(山口県)
  • 〈宮古盛岡横断道路 新区界トンネル〉竣工(岩手県)

ContentsDecember 2019

ホーム > KAJIMAダイジェスト > December 2019:特集 KAJIMA YEARBOOK 2019 > 価値を創出する技術力

ページの先頭へ