スマートフォンやタブレットPCといった市場を牽引するモバイル端末だけでなく,
デジタル家電やヘルスケア,自動車など個人ユースから,
交通,医療,通信,インフラなど社会システムにいたるまで,
電子デバイスは身近な社会生活を支えるツールであり,日々技術革新が進められている。
これらが生まれる電子デバイス生産施設には,より高度で精密な生産環境が不可欠で,
いまや環境配慮や多様なリスクへの対応も重要視されている。
今月の特集では,トータルな視点と技術が求められる電子デバイス生産施設に焦点をあて,
“次世代工場”における,鹿島の先端建設技術を紹介する。
直面するリスクの多様化
低コスト競争,円高の加速による生産拠点の海外シフトが起こるなか,近年多発する大きな自然災害。くわえて省エネルギー対応やCO2削減といった環境配慮も必須要件となっており,いまや電子デバイス生産施設はハザードリスクや,オペレーショナルリスク,戦略リスクなど,多様なリスクに対応していく必要がある。
昨年3月に発生した東日本大震災は,電子デバイス産業界にも大きな衝撃を与えた。生産施設自体の事業継続が困難となり,製品や部品の供給が停止するなど,世界中の産業に甚大な影響を与えたと言っても過言ではない。また昨秋に起こったタイの大洪水でも,現地に進出する多くの日本企業が水害で操業停止に追い込まれたことは記憶に新しい。
高精密な生産装置を配し,多種のガスや薬品などのユーティリティ設備を使用することの多い電子デバイス生産施設では,こうした自然災害に遭った場合の被害は甚大で,企業にとっても大きな損害となる。
鹿島のリスクマネジメント支援
巨額な設備投資が行われるこうした生産施設では,操業継続を脅かすリスクへの対応は重要な課題である。事業環境を整えるのも総合建設業の役割のひとつであることから,当社では建築,設備,ユーティリティといった生産施設の観点から企業のリスクマネジメントを支援するツールを豊富に展開している。
今回の特集では,電子デバイス生産施設が直面するハザードリスク,オペレーショナルリスク,戦略リスクなどといったリスクに対応するBCP支援技術,エネルギーマネジメント技術,クリーンルームリニューアル技術について取り上げる。
当社の豊富な実績と高度な技術を活かし,環境に配慮し,リスクを低減することが可能な,これからの“次世代工場”づくりを紹介する。