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保存・復原を支えた匠の技

写真:天然スレート

屋根は,創建当時と同様に天然スレートの「一文字葺き」という手法が使われた。銅板周りの曲線部など成形でないスレートを葺ける人は全国でも数名しかいない。全体で約43万枚のスレートのうち約8万枚を再利用した。また,中央部の屋根には,東日本大震災の津波被害を受け,奇跡的に流失を免れた宮城県石巻市の雄勝産の天然スレートが使われている。

¥写真:銅板

ドーム屋根の頂上,窓周り,壁面などには,銅板で造られた装飾を見ることができる。これらは,火であぶり叩いて形を造る「叩き出し」,折り曲げた銅板を組み合わせる「はぜ掛け」,へらで金属板を型に押し当て変形させる「へら絞り」など伝統技法で復原されている。

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写真:花崗岩・擬石

外壁部の柱形,窓枠まわりの装飾などには,花崗岩や擬石が用いられている。花崗岩表面は,「小叩き」という先端が一文字の刃型になった工具で叩き仕上げた。擬石とは,花崗岩に見せかけた人造石。セメントに消石灰,珪藻土,細かく砕いた花崗岩の種石などを混ぜた材料を鏝で塗りつけていく。固化前に表面のセメント分を取り除く「洗い出し」により石のように見せている。

写真:外壁化粧レンガ

駅舎の象徴でもある赤レンガの色は,一枚一枚微妙に違っている。現存部分との風合いを合わせ,調和させるために3色のレンガを製作した。目地の中央部が“かまぼこ”のように盛り上がっている日本独自の覆輪目地が特徴。現代の職人には,伝承されていない技術で,鏝の製作から技術習得までを現場で実施した。

写真:ドームレリーフ

南北ドーム内部は,戦災により大半が焼失していたため,過去の文献や写真を基礎資料に,美術専門家とともにデザインを決定した。実際の施工では,石膏で製作したレリーフを壁面に取り付け,その周りに漆喰塗を施した。美しい姿に甦った八角ドームの各コーナーには,方位に合わせて12支のうち8支のレリーフが配置されている。

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