順天堂大学 本郷・
お茶の水キャンパス 新研究棟
「伝統」と「革新」
~世界へ羽ばたく
イノベーションコモンズの実現~
外観正面
photo: 解良信介URBAN ARTS
日本医学の発展に貢献された先駆者の医療への思いを継承する「順天堂の伝統」と,国内に留まらず世界を見据えた最先端の教育・研究施設の実現を目指す「順天堂の革新」,この2つに思いを寄せたプロジェクトとなる。
「順天堂の伝統」
旧本館は現在の順天堂醫院の場所に1906(明治39)年に建設され順天堂繁栄の礎を築き,その後1923(大正12)年,関東大震災で焼失している。当時の数枚の外観写真からデザインは可能な限り踏襲し,大きさの調整,不明ディテールの創作,現代の材料・工法への置換え,新たな建物として建築的には「復原」⇒「翻案」と捉え,順天堂の歴史を語る象徴としてファサードの再現に挑戦した。
「順天堂の革新」
空間を共有する研究活動がセレンディピティ(偶発的発見)溢れる相乗効果をもたらすとの明確なコンセプトのもと,世界をリードし世界へ羽ばたくイノベーションコモンズとなるラボ空間を目指した。臨床・基礎系講座(研究室)の「分離」⇒「共存」,実験機器の「専有」⇒「共有」とし,国内の医科系大学において類を見ない,視線が抜け透明性の高い,多層にも連続するオープンラボが実現した。国内の大学で初となるLEED-NC「プラチナ認証」取得予定で,CASBEE-建築 第3者認証「Sランク」と合わせてダブル認証となる見込みである。
新研究棟により病院・大学棟が上空連絡ブリッジでつながり,利用者の動線となる確固たるスパインが構築され,研究開発を加速させる。順天堂学是「仁」の精神を信条とする研究者が,医療と生命科学を牽引する担い手として世界に羽ばたき,輝かしい成果を挙げられることと確信している。
(丸野道明・木口英俊・山本幸彦)

小川秀興記念講堂
photo: 解良信介URBAN ARTS

上下階ラボをつなぐ中央階段
photo: 解良信介URBAN ARTS

視線が通る透明性の高いオープンラボ
photo: 解良信介URBAN ARTS

食堂
photo: 解良信介URBAN ARTS

新研究棟の竣工をもってキャンパスホスピタル再編事業は完成を迎えた
photo: 解良信介URBAN ARTS
順天堂の歩み
1838(天保9)年,初代堂主 佐藤泰然が江戸・薬研堀に日本最古の西洋医学塾となる蘭方医学塾「和田塾」を開学。1875(明治8)年,本郷・御茶ノ水エリアに移転。順天堂医学塾を継承し現在開学183年,学是「仁」,理念「不断前進」,学風「三無主義」のもと,医療と研究を日々実践している。2期工事にわたった2020年9月竣工の新研究棟は,本郷・お茶の水キャンパス再編事業の集大成となる。

旧本館1906(明治39)年落成
写真提供:順天堂
順天堂大学 本郷・お茶の水キャンパス
新研究棟(東京都文京区)
- 発注者: 順天堂
- 基本設計・工事監理: 日本設計
- 実施設計: 当社建築設計本部
-
歴史ファサードデザイン監修:
田原幸夫,青島裕之 -
規模:
S造一部RC造
(CFT造+KIP-RC構法,免震構造)
B2,13F,PH1F 延べ37,640m2
(増築部28,951m2) - 工期: 2016年8月〜2020年9月
(東京建築支店施工)
丸野道明
(まるの・みちあき)
建築設計本部
チーフアーキテクト
教育文化ナレッジマネージャー
- 主な作品:
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- 北里大学 獣医学部
十和田キャンパスA・B棟 - 明治学院大学 高輪校舎
- 明星大学 日野校
理工学部棟29・30号館・
サークル棟31号館
- 北里大学 獣医学部
木口英俊
(きぐち・ひでとし)
建築設計本部
チーフアーキテクト
JOBマネージャー
- 主な作品:
-
- 日本大学豊山高等学校・中学校
- 頌栄女子学院中学校・
高等学校 改修 - 島根県育英会学生会館
- 関西アーバン銀行本店,支店改修
山本幸彦
(やまもと・ゆきひこ)
建築設計本部
専任チーフ
- 主な作品:
-
- 日本大学豊山高等学校・中学校
- 共立女子学園
第二中学高等学校 - 広陵高校 メディアセンター
- キヤノン 矢向事業所
- バブコック日立 厚生棟