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鹿島グループが目指す「ビジョン」の作成 ~タスクフォースの取組み~

変化の激しい現在の社会では,自社だけでなく,外部のリソースを呼び込んで価値を共創することが大切であり,
社内外の共感と当事者意識を喚起するようなビジョンの発信が欠かせない。
このため,部門横断タスクフォースを組成し,ビジョンを作成した。

タスクフォースの組成

ビジョンの作成は,現場を含む各部門から推薦された20名の中堅・若手社員によるタスクフォースが担った。選ばれた当時の心境について,「部門や職種の垣根を越えたメンバーとの議論を楽しみにしていました」(人事部 藤田彩華さん),「海外勤務など,これまでの経験を議論に活かし,ビジョンづくりに貢献したいと思いました」(東京建築支店 山城亘さん)など,タスクフォースに対する意気込みが多く聞かれた。

タスクフォースの取組み

タスクフォースメンバーは,企業としてありたい姿や事業を通して実現したい理想の社会を見据え,それに向けたビジョンの考案に取り組んだ。議論をスタートさせる際には,「どうやって社員の誇りを呼び起こすか」,「どのようにして社外の共感を得るか」,「価値観(好き・嫌い)が明確か」,「鹿島らしさが出ているか」などのポイントに留意し,活動は昨年の11月と12月の2ヵ月間にわたって行われた。

ビジョンの検討では,パーパス型(私たちは社会/世界を~する)とアイデンティティ型(私たちは~し続ける)のそれぞれについて議論し,より共感を得られたものについて,「どのようにするか,何をするか」といった点を掘り下げて討議した。

メンバーからは,「当時所属していた現場からたくさんの意見を集め,その声を議論に反映させました」(土木管理本部 篠竹英介さん),「世代や経歴,業務内容が異なるため,価値観や考えを共有するのは簡単ではありませんでしたが,議論の過程の可視化やお互いの意見をリスペクトすることによって,最終的に1つの案にまとめることができました」(開発事業本部 富田理恵子さん),「若手・中堅がお互いの考えを認め合いながら議論の方向性を探りました。鹿島グループの将来を信じ,多様性を理解し,根気強く議論ができる,良いメンバーに巡り会えたと思います」(営業本部 三上克己さん)など,充実した活動を振り返る声が多かった。

図版:ビジョンの検討

ビジョンの検討

改ページ
図版:タスクフォースの取組みは新研修施設「KX-LAB」で行われた

タスクフォースの取組みは新研修施設「KX-LAB」で行われた

完成したビジョン

図版:ビジョン

ビジョンは,目指す方向性を文章で表現した「ステートメント」と,それを実現するうえで「大切にしたい価値観」から構成されており,過去に対する敬意と未来への挑戦という2つの意を込めている。ビジョンの実現に向け,大切にしたい価値観は,鹿島グループを木に見立て,いかに大きく成長させるかという視点に基づいている。

木の下の土壌は「企業風土」を表している。誠実さ,たゆまぬ技術革新,鹿島品質へのこだわりといった人と技術を大切にする鹿島の企業DNAというべきものだ。

木の幹は「主体性」を表している。従来の請負型ビジネスの枠に留まることなく,自らイニシアチブを発揮し,建設バリューチェーンの川上から川下に至る事業領域,あるいは新しい価値領域に進出する構想力を持つことだ。

木の枝葉(えだは)は「多様性」を表している。人材や働き方の多様性を重視し,尖った発想や異なる価値観を認め合う受容力を持つことだ。

右上の太陽や雨,風,鳥は外部とのつながりを表現しており,外部からの栄養は「開放性」を表している。自前主義に陥ることなく,事業創出やR&Dに必要なリソースや刺激を外部に求め,変化への適応力を持つことだ。

また,土壌から育ち始めている多種多様な小さな木々は新しいビジネスモデルの芽を表現している。

これら「主体性」「多様性」「開放性」という3つの要素は,これからの鹿島グループに求められる重要な特性だ。「鹿島グループという木」を成長させるために,「主体性」「多様性」「開放性」を持った人材育成や組織づくりに最優先で挑む。

ビジョンが見据える
鹿島グループの未来

このビジョンは,鹿島グループの全員が一丸となって,同じ目線で創造的な発展に向けて取り組むためのよりどころや指針を示したものとなる。ビジョンの魅力について,「少し長い文章かもしれませんが,これ以上どれを削っても言いたいことが伝わらなくなってしまいます。一言一句,意味のある大切な言葉です」(土木管理本部 松枝繭さん),「あの土と木と太陽の絵をイメージすれば,内容が頭の中で復元できることも魅力だと感じています」(開発事業本部 飯田啓介さん)と語る。

社員だけで考案したビジョンは,もしかしたら素人のような泥臭い表現なのかもしれない。しかし,プロが考えるような洗練された表現ではないからこそ,社員や将来入社を希望する学生を含む社内外のステークホルダーの心に響くものになっていく――鹿島はビジョンの浸透を通して,ますます多様な人材が集う企業グループへの質的発展を目指す。

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