社会貢献活動の一環として,これまで様々な次世代教育を行ってきた鹿島。
新たに,ハイレベルな高校生たちがビジネスプランの提案を競う「キャリア甲子園2021」に
テーマ協賛企業として参加した。スマートシティや災害避難ビルなど
多種多様な提案をするチームから鹿島代表に選ばれ,決勝戦では見事,視聴者賞を受賞した
清風南海学園高等学校チーム「kumonecta(コモネクタ)」の4人のプレゼンターに密着する。
国内最大級のビジネスコンテスト
マイナビが運営する学生向け総合メディア「マイナビ学生の窓口」が主催する,高校生を対象としたビジネスコンテスト「キャリア甲子園」。情報化社会やグローバル化が加速するなか,答えのない問いを考える力が求められ,積極的・能動的な学習を経験することで社会の変化に適応できる人材を育てる次世代教育である。コンテストでは,2~4名のチームで協賛企業が課すテーマを選択し,10分間のプレゼンを競い合う。
2021年度は「Re:Creation」を大会のテーマとして掲げ,これに沿って,各協賛企業ごとにテーマを課した。
選考では参加チーム1,738チーム(6,643名)のうち当社に応募したチームの中から,書類審査,動画審査,準決勝を経て選出された代表1チームが決勝戦に進んだ。
決勝大会は2022年3月13日にHareza池袋(東京都豊島区)にあるharevutaiで行われ,テーマ協賛企業6社の代表チームが戦った。ニコニコ動画での生配信により,会場審査員に加え,視聴者も各チームへ投票を行い,白熱した戦いとなった。
当社では一人でも多くの子どもたちに建設業への興味や関心を持ってもらうため,社会貢献活動の一環として,企業訪問の受入れや出前授業を行っている。2021年度は新たにキャリア甲子園に協賛した。
「鹿島が培ってきた進取の精神と建設業の魅力を次世代に伝え,残していきたい」。そう語るのは,広報室企画・CSRグループの相方庸佐グループ長だ。「これまでの鹿島の歴史を振り返り,学生の感性で新たなビジネスを創出してほしい。大会では,各企業テーマに沿って企業研究を行うので,鹿島だけでなく,建設業を知ってもらうきっかけになります」。
当社の企業テーマには様々な想いが込められている。「当社は100年をつくる会社をキャッチフレーズにしていますが,100年後に設定しなかったのは,参加者である高校生が社会に出て第一線で働いているであろう20年後を想像してほしいからです。また,鹿島は建物だけではなく,まちをつくり,社会に基盤をつくっている会社です。人々の生活は自然やエネルギーと共存し,持続的な社会をつくっていくことが大切です。思い切って建物という概念にとらわれず,20年後の生活や社会を想像し,鹿島がどんなビジネスを行って社会に貢献できるのかを想像してほしい」(相方グループ長)。
「環境の鹿島」を目指した新ビジネス
当社代表として決勝戦に出場した清風南海学園高等学校の1年生(現2年生),チーム「kumonecta」※。
メンバーが在籍する清風南海学園高等学校は,大阪府高石市にある私立高校で,全国でも有数の進学校であり,生徒たちが将来それぞれの分野でリーダーになれるよう,個性や可能性を育てる教育を目標としている。キャリア甲子園には2017年から参加し,5度目の参加,2回目の決勝進出となった。
考案したビジネスプラン「Green Touch」は,20年後の社会に,人口・環境・技術の3つの大きな課題があると考え,日本が世界有数の森林大国であることから,4割を占める人工林に着目し,課題となっている放置林問題を,当社のグループ会社・かたばみ興業と連携し解決していくプランだ。かたばみ興業が山林保有者を選定し,管理を受託して整備するというもので,整備資金調達は,森林投資アプリ「Green Touch」を活用。ユーザーがアプリを通して森林に投資をし,森林への貢献度を把握することや,優待を受けることができる仕組みを提唱した。集まった投資額で放置林を整備し,植林・伐採体験や地元住民とのワークショップなど新事業を展開することで,地方活性化にもつながるビジネスプランとなっている。鹿島の一般市場へのアピール不足も問題点としていたが,投資家(ユーザー)がアプリを使用し,認知度も上がることで,問題点も解決し,同時に進取の精神を重んじる鹿島が,「建設業=環境に悪い」というイメージを覆し,「環境の鹿島」としてリーディングカンパニーとなっていく。
決勝戦では熱意のあるプレゼンと審査員の質疑に対する万全の回答で,見事「視聴者賞」を受賞。視聴者数6万viewを超える決勝戦で,価値ある賞を受賞した。
キャリア甲子園公式チャンネル:
決勝大会
決勝戦を終えて,
今の気持ちをお聞かせください
決勝戦まで行けると思っていなかったので,話が大きくなり,焦りや不安も大きかったです。課題や問題に対し,行き詰まると泥沼にはまってしまうので,そういう時は1日空けることで気持ちをリセットしていました。
たくさんのチームの中で決勝に行けた実感が湧かず,本番前のリハーサルでは緊張して間違えてしまったので不安でした。本番では今までの中でベストのプレゼンができて良かったです。先生や友人,家族など周りの人たちが自分のことのように応援してくれてとても嬉しかったです。
協賛企業の中から鹿島を選んだ理由を
教えてください
「建設業」という言葉に惹かれたからです。三木が建築系に興味を持っていて,色々と調べていた時期に,参加していたキャリア甲子園に鹿島さんが協賛していたので,選びました。
アプリ「Green Touch」の中で
メンバーのおススメ機能はありますか?
優待機能は,株式投資とは異なり,お金以外の価値(癒し,学び,楽しみ)を提供することによって,森林に投資してもらいます。最近では子どもたちが森林でのアクティビティなどを体験することが減ってきているので,とても良いアイデアだと思っています。
貢献度機能が気に入っています。通常,投資をしても自分が実際どの程度貢献をしているのか分かりづらいのが欠点ですが,それをこの機能により可視化することで投資意欲の向上・環境保全への関心が高まると考えています。
キャリア甲子園に参加後,
鹿島に対して抱いた印象はありますか?
キャリア甲子園が終わった後もアプローチしてくれ,「自分たちのためになることをやってくれるんだ」と思い,とても嬉しかったです。
フィードバックで,良かった点と課題点の両方をアドバイスしてくれたので,弱点を知ることができました。かたばみ興業さんの会社名を出したときに,かたばみの馬場さんを紹介されたことが非常に衝撃的で,私たちのためにそこまでしてくれるのかと感動しました。
鹿島の中で気になる技術を教えてください
FRウッド®です。以前,木造の家に住んでいた時に,檜の香りがすごく好きだったので,ベッドも金属製から木製に新調しました。木造建築は落ち着きますし,その上環境にも優しいFRウッドはとても素晴らしい技術だと思いました。
私はA4CSEL®を知ったとき,「本当に世の中にこんな技術があるんだ!」と感動しました。特に,人が簡単に行くことができない場所や,危険を伴う山岳トンネル,さらに宇宙にまでこの技術を用いる可能性があることに,とても興味が湧きました。
kumonectaのプレゼンを見て,
当社社員も一層やる気が出たと思います。
社員へメッセージをお願いします!
私たちが社員の皆さんのやる気に…なんておこがましいですが,少しでもそう言っていただけて嬉しく思います。決勝の日はたくさんの応援,本当にありがとうございました!
次世代に鹿島をつなげる
子どもたちに鹿島を知ってもらうためにキャリア甲子園に協賛し,当社を選んでくれた生徒さんたちから,「鹿島は建物や道路だけでなく,環境や不動産開発など多岐にわたる事業をしていることを初めて知りました」と言われ,実りあるものになったと感じています。また生徒さんの提案内容に関係する本社の部署や支店,グループ会社に動画審査の依頼や実現可能性についてヒアリングを行うことで,インナーコミュニケーションも図ることができました。kumonectaメンバーに限らず,参加された高校生の皆さんから,「鹿島が私たちの生活に大きく関わっていることに驚きました」などの声も多くいただき,将来を担っていく高校生の皆さんに少しでも鹿島を知ってもらうことができ,協賛をして本当に良かったと感じています。
ともに考え,未来につなげる
チームkumonectaの皆さん,キャリア甲子園2021視聴者賞の受賞,おめでとうございます。
プレゼン内でも当社山林部門をご紹介いただき,ありがとうございました。取り上げていただいた放置林問題は,実際の社会環境問題の一部となっています。手が遅れれば,斜面崩壊そして,台風が重なれば大規模な泥流となり,放置林の下流に住まれている方への家屋被害,人的被害におよぶ可能性もゼロではありません。また,森林投資アプリ「Green Touch」は,山の大切さを学び(教育),山造り(体験),家族の思い出作りの場(家族愛)を募る,利益追求の投資ではなく,社会的価値を創出していく素晴らしいアイデアだと思います。山の緑空間は,世代(100年)を通じて,愛とサービスを提供できると信じています。
今回の提案は今一度,昔あった自然環境/風景/森林を取り戻さないといけないと山林管理実務者として,応援メッセージをいただいたと感じています。チームの皆さんの達成感を肌で感じ,たくさんの笑顔も見られて嬉しく思います。
決勝戦の大舞台,審査員の前で自分たちの意見・想いを伝えたこの経験は,何物にも代えられない時間だったと思います。私も皆さんと共有でき,感謝しています。ありがとうございました。
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