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第2の矢:ICTツールを活用する

「KTMS-2017」では,全ての建築現場に共通のICTツールが導入され,
さらなる現場運営の効率化・標準化が図られる。これらのツールは,
既に数多くの現場で実績があるもので,実務に合せてスパイラルアップしてきた。
また各ツールのデータは,クラウドサーバ上で一元管理されていることも特徴である。
今年度より約300ある全建築現場へ標準導入される5つのツールを紹介する。

Buildee ビルディー(旧名称:e-現場調整Pro) ~煩雑な作業調整を効率的に~

現場で日々行われている作業間連絡調整会議を効率化するツール。この会議は,数多くの協力会社の作業予定や実績などを確認・調整していく重要なもの。工程や安全管理の要となるが,これまでは各社が必要事項を,ホワイトボードに手書きをして運用をするなど,手間と時間がかかっていた。

このツールでは,煩雑であった作業調整や資機材の搬出入予定,安全巡廻結果の周知,現場配置計画などを,パソコンやタブレット,スマートフォンで「いつでも」「どこでも」「すぐに」内容を入力・確認することができ,効率的に作業間調整を行うことが可能。

また,全国の現場から集められた情報は一元管理されるので,全社的な作業員稼働状況を把握し,作業員不足などに迅速に対応できる。現在,全国200現場で運用しており,「e-現場調整Pro」として業務の効率化に貢献している。

2017年度からは,業界全体の施工管理業務の効率化を目的にイーリバースドットコムが市販する「Buildee」に順次切り替えていく。現機能を充足しながら,より直感的で使いやすくなり利便性も向上している。

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図版:Buildee

施工BIM ~さらに多様な活用を図る~

現在,ほぼ全現場で施工BIMの活用が広がっている。BIMとは,一般に建物の3次元モデルにデータベース機能を持たせたツールのことだ。当社では,作業を前倒しで進めるフロントローディングの代表ツールとして,プロジェクトの初期段階から,施工に必要な情報を持つ3次元モデル「施工BIM」を作成し,現場での業務品質と生産性の向上を図ってきた。

具体的には,関係者間の合意形成,仮設計画の検証,設備と建築の干渉確認など,特に計画段階での利用が進んでいる。また,数量積算,BIMデータと2次元の施工図との完全互換,製作図への変換なども始まっており,今後さらに多様な活用が期待される。

今年4月には,BIMのさらなる普及展開と高度化を進めるため,新会社「グローバルBIM」を設立。建設会社に加えて,発注者や設計事務所などを対象に,モデリングやコンサルティングサービスを提供するとともに,当社が開発したBIM関連ソフトの外販も行っていく。

図版:設備と建築の干渉を事前に確認できる

設備と建築の干渉を事前に確認できる

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検タス ~検査業務にかかる時間を半減~

現場で多くの時間を要する業務の一つに,図面どおりに作業が進められているかを確認する検査業務がある。施工精度を確認する非常に重要な業務であり,検査準備,黒板への検査情報の記入,現場でのチェック,記録写真の撮影,事務所に戻っての写真整理や検査記録書類の作成など,多岐にわたる作業を正確に行うことが求められる。そこで,検査業務の効率化とさらなる精度向上を目的に「検タス」を開発した。

このツールは,iPadで図面や検査の種類を呼び出し,検査結果入力,写真撮影をすることで,自動的に検査記録が作成・保存されるシステムである。当初は配筋検査用だったが,杭工事,鉄骨工事,プレキャスト(PCa)工事など,十数種類の工事検査に用いることができる。従来に比べ検査業務にかかる時間を半減したほか,精度や質の高い管理帳票を簡易に作成することが可能。現在,全国150現場で運用し,大きな成果を挙げている。

図版:検タス

※iPadは,米国Apple Inc.の登録商標です。

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現場ナビ工程~工程を文書管理と連携~

工程管理を“計画的”かつ“効率的”に実施するために要となるのが,現場で作成する総合工程表である。現在,「現場ナビ工程」(構造ソフトが市販)を建築部門の標準工程表ツールとして全現場で利用している。作成した工程データを文書管理システムと連携することで,工事着手日と連動した文書予定管理が行えるようになった。

将来的には,各現場の工程データを収集することにより,工種毎の繁忙度予測や統計的な分析などを視野に入れたビッグデータの活用を実施する計画だ。

図版:建築部門の標準工程表ツールとして活用されている

建築部門の標準工程表ツールとして活用されている

グリーンサイト ~労務安全書類の自動作成~

協力会社の労務安全書類の作成・提出などを省力化するとともに,その精度向上を図り,当社の確認・指導業務を効率化するツールである。労務安全書類の作成から提出,受領までに費やす時間は,元請であるゼネコンと協力会社の双方にとって,日常業務の中で無視できない作業量となっており,効率化が求められる業務だった。そこで,「グリーンサイト」(MCデータプラスが市販)を利用し,労務安全書類の自動作成などを実施。また,協力会社の労務安全管理に関する責任意識の高揚や施工体系や作業員情報の明確化にもつなげている。

当社では,社会保険加入状況の確認や入退場情報などと併せて運用することにより,労務管理の合理化に取り組む。このツールは,数多くのゼネコンも採用していることから,協力会社の基本的作業は,元請毎に異なることがなく,業界全体としてのメリットも大きい。

※グリーンサイトは,MCデータプラスの登録商標です。

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