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特集 風の時代

再生可能エネルギーへのシフトに向けて,世界で導入が進む風力発電。
技術向上により,風車の大型化,ウィンドファームの大規模化が進み,
脱炭素社会実現の切り札として可能性を秘めた洋上風力発電にも注目が集まる。
長年当社が取り組んできたプロジェクトを紹介し,その展望を見据える。

図版:いちご米沢板谷ECO発電所

いちご米沢板谷ECO発電所

風力発電の取組み

風力発電導入の機運が高まっている。昨年12月に発表された“2050年脱炭素”を掲げた政府のグリーン成長戦略では,国内主電源における再生可能エネルギー(以下,再エネ)の割合を,現在の18%程度から2050年には50~60%まで引き上げたいとの目標を示している。そのうち最も期待されているのが,風力発電の新規導入による発電量の増強だ。

風の力で電気を起こす風力エネルギー。地球温暖化問題の発生に伴い,CO2をはじめとする温室効果ガスを排出しないクリーンなエネルギーの利用が,今強く見直されている。日本では70年代のオイルショックを機に研究され始めたが,自然由来のエネルギーであることから供給量の変動がネックになっていた。現代の風力発電は技術向上が進み,大容量の電力を生み出せるよう風車はより大きく,高所で吹く強い風を目指してタワーはより高くなり,何基もの風車を効率よく連携させて大エネルギーを生み出す「ウィンドファーム」が導入されている。

技術向上が進む一方,導入にあたって重要となるのが,強く,安定した風が得られる風力発電所の適地選定である。日本は風力発電に適した広い平野部が少なく,山岳部が国土の多くを占めており,気候変動も大きい。年間を通して風況が良く,送電線の利便性,周辺環境などの複数条件を満たす場所として,多くは海に面した場所や山岳地の尾根上に建てられてきた。そして2050年カーボンニュートラルに向けたさらなる導入を見据え,陸上から洋上へと目が向けられ始めている。

こうした多様化に応えようとするのが,当社がこれまでに培ってきた風力発電所の建設技術である。1992年稼働の竜飛ウィンドパーク(青森県東津軽郡外ヶ浜町)以来,当社は日本各地で30ヵ所以上の建設に携わってきた。風力発電所の建設には,地形や気象条件にもとづき,風車の能力を最大限に引き出す設計,発電量の予測,輸送路調査など,多角的なシミュレーションを重ねた検討,そして運搬・施工には高度な技術と豊富な経験が不可欠である。当社では超高層ビルの建設で研究を積み重ねてきた「風況シミュレーション技術」を適用するなど,技術の粋を集め,計画,設計,建設を一貫して引き受けられる総合的な体制を整えている。

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