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Category2:地域病院 ここにあり続けて欲しい医療

小規模な私立病院や個人病院,診療所,クリニックなどの医療施設は,
私たちの日常と最も関わり合いの深い医療現場でもある。
プライマリーケアの拠点として,
いつまでもずっとここにあり続けて欲しいから―― 。
地域や患者さんから寄せられる信頼と期待を背に,地域医療の現場も,
時代のニーズに叶った強い施設へ生まれ変わりを図る。

室内イメージ

日産厚生会 玉川病院南館

南側外観

南側外観

キッズコーナー

キッズコーナー

4床室

4床室

日産厚生会玉川病院南館

場所:
東京都世田谷区
発注者:
財団法人日産厚生会
設計・監理
当社建築設計本部
規模:
RC造 3F 延べ2,545m2

2009年4月竣工(東京建築支店施工)

改ページ

変化への対応と伝統の継承

東京都世田谷区瀬田。緑に包まれた閑静な住宅街に建つ玉川病院は,半世紀にわたり地域の人々に信頼され,愛され続けてきた老舗病院である。

変化する医療環境への対応と病院の高機能化を図るため,閉鎖されていた旧病棟跡地に,本棟に接続するかたちで南館が増築された。「サステナブル(持続)」と「ジェントル(優しさ)」をコンセプトに,当社が設計・施工を手掛けた。

時代のニーズに応える医療を提供し続ける柔軟性のある骨格づくりに,当社開発の「可変ホスピタル」を採用した。大スパン構造・二重床・外部設備シャフトなどを用いて,構造体と設備を分離したフレキシブルな病院建築システムである。

約30年にわたり玉川病院の医療を支え続ける既存本棟には,「利用する人々には心地よい穏やかな時間と空間が必要である」という,設計者・吉村順三氏の思いのこもったデザインが細部に施されている。南館もこの建築理念が継承された。産科病棟ではお母さんと家族,リハビリ棟では車椅子の患者さんを中心に,ゾーンごとに利用者の視点から,内装やインテリア,家具の選定を行うなど,患者さんや家族,医療者に優しい空間を追求した。

写真:設備が集約された外部シャフトはアルミルーバーで目隠しされ,デザインの一部となっている

設備が集約された外部シャフトはアルミルーバーで目隠しされ, デザインの一部となっている

図:可変ホスピタルの特徴

可変ホスピタル*の特徴

無柱空間
アンボンドPCを採用した大スパン構造で内部の柱をなく し,機能的で自由度の高いプランニングが可能。将来 のレイアウト変更に容易に対応できる。
二重床
全面二重床(最下階はピット)として,将来の水回り変更 時に下階に影響なく改修できる。
外部設備シャフト
スパンごとに柱脇に設備シャフトを設置,外部化して設 備のメンテナンス性,更新性を高めている。

photo: URBAN ARTS/解良信介

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対談 営業・設計・施工で最大発揮する鹿島のサービス

刻々と変化する医療環境への対応,多種多様な医療機器の導入,複雑な医療設備の調整など,専門性の高い医療建築づくりには,ハード・ソフトの技術力,豊富な経験と専門知識が求められる。
当社は2006年に医療福祉推進部を発足し,部署横断で総合力強化を図ってきた。医療建築設計と医療施設営業の最前線にいる二人に,当社の医療建築サービスについて聞いた。

岡部:耐震化をはじめ様々な補助金や法改正の後押しで,近年病院の建替えが増えています。何十年に一度の大きな投資ですから,お客様は信頼のおけるパートナーを選びたいと思っていらっしゃる。お客様の立場に立ち,技術力やサービスを通じた様々な提案により信頼関係を築くことが,医療営業の醍醐味でもあり難しさでもあります。

濱野:医療施設の場合,補助金などの規制もあって,設計・施工でのサービスを提供する機会は限られますが,地域の拠点となる中核病院は,ぜひ設計・施工一貫での建設をお勧めしたい。地域にとって大切な病院ですから,高機能の施設と健全な経営で長く存続することが求められます。常に新しい医療技術を導入し患者さんの要望に応えていかなければなりません。そのためには,改修・増築が必要となります。「可変ホスピタル*」は,そのうえでも有効な技術と考えます。

岡部:一方,営業ではソフト技術として,将来の患者需要の予測・分析や事業採算をシミュレーションする鹿島独自のプログラムを使って,経営・運用についても支援させて頂きます。お客様のよき相談相手になって,設計・施工のメリットを活かし, 事業計画から,設計,施工,開業準備支援,開業後のアフターフォローまで,一貫したトータルサービスが必要と考えます。

濱野:医療の継続性を考えると,工事の全体スケジュールの短縮も病院経営上のメリットです。設計の初期段階から施工担当者と一体となって,お客様の要望を取り込み,最短の建設期間で病院を建設します。地域の患者さんのため,一日も早く開業し,継続的な医療をお届けするお手伝いをすることが重要と考えます。

岡部:お客様のニーズを的確に把握し,限られた予算の中で実現させるべく,設計・施工をはじめとする社内担当者の知恵をコーディネイトすることが我々営業マンの使命です。医療福祉推進部のメンバーは,医業経営コンサルタントなどの資格を取得し,専門知識を高めることで,お客様と設計者とを繋ぐパイプ役の機能を高めています。

濱野:設計の提案においては,地域に根ざした各病院特有のニーズを的確に把握することが重要です。病院のニーズは,大きく三層構造になっています。経営者のニーズ,医療のニーズ,病院現場スタッフのニーズです。営業は初期情報として,これらのニーズを的確に捉え,分析して,設計者に伝えてもらいたいですね。営業・設計・施工,この三位一体の連携こそが,設計・施工の大きなメリットですから。

岡部:現在も全国各地で設計・施工案件が進行しています。支店にも医療営業担当者を配置し,連携強化を図っています。これからも,お客様のよき相談相手としてお客様と寄り添うサービスをしていきたいと思っております。

建築設計本部建築設計統括グループグループリーダー 濱野拓微 X 営業本部医療福祉推進部課長 岡部光一

写真:濱野拓微グループリーダー(左), 岡部光一課長(右)

濱野拓微グループリーダー(左),
岡部光一課長(右)

NEW PROJECT 群馬病院新棟建設工事

総病床数465床の精神科病院。医療環境の向上を目指し,新棟(420床)に建て替える。時計塔やアリーナ,半屋外空間などの様々な仕掛けと,豊かな自然を生かし,安らぎの空間づくりを目指す。

図:群馬病院新棟建設工事

群馬病院新棟建設工事

場所:
群馬県高崎市
発注者:
特別・特定医療法人群馬会
設計:
当社建築設計本部
事業内容:
1期工事―RC造一部S造  5F 延べ16,183m2
2期工事―既存解体,既存改修, 渡り廊下新設,外構工事

2011年12月全体竣工予定(関東支店施工)

NEW PROJECT 社会医療法人 恵佑会 サテライト病院新築工事

がん治療の診断から終末期までの一貫診療に定評のある地域病院。患者アメニティを重視し,医療環境変化に対応可能な内科系一般病院(135床)を建設する。

図:社会医療法人 恵佑会 サテライト病院新築工事

社会医療法人 恵佑会 サテライト病院新築工事

場所:
札幌市白石区
発注者:
社会医療法人恵佑会
設計:
当社建築設計本部
事業内容:
RC造 5F,PH1F  延べ8,060m2

2012年2月末竣工予定(北海道支店施工)

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