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現場社員の言葉で知る「1F」の今 Part 3 ガレキ収集・運搬と即時対応チーム

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現場社員の言葉で知る「1F」の今 Part 3 ガレキ収集・運搬と即時対応チーム

原子炉建屋の解体などで発生するガレキの収集・運搬から,
“即時対応チーム”と呼ばれる部隊が担う構内の建物全般にわたる緊急対応まで――。
廃炉に向けた作業には,目立つことはないが,誰かがやらなければならない大切な仕事がある。

何十年と続く作業。若い力が必要な時期になっています

「廃炉の完了まで続く作業です」とガレキ収集・運搬を行う福山哲也所長と,即時対応チームを率いて陸側遮水壁の凍結プラント建屋やサブドレン浄化設備など数多くの業務を担ってきた涌澤一章所長は話す。

「今は,津波対策工事や構内の建物の雨水対策にあたっています。5年前を振り返ると,免震重要棟の除染のことを思い出します」と語るのは,即時対応を担う菅野浩副所長だ。入社後,「1F」の基本設計に携わり,原子力発電所畑を一筋に歩んできた。事故の8ヵ月前に所長として免震重要棟を完成させるなど,その多くが「1F」の建築工事や修繕工事。震災直後の混乱のなか,免震重要棟を現地対策本部として機能させるため,涌澤所長らと緊急で除染を進めた。「構内建屋のことを詳細に知る唯一の人です。いつも頼りにしています」と同チームの松本百登(ももと)職員はいう。松本職員は楢葉町出身で,事故後に家族と共に,いわき市内に移住した。「この5年間は,あっという間でした。地元福島のために尽くしたい。あの浜通りを元の姿に戻したい。そんな思いで走り続けています」。

写真:菅野 浩 副所長、松本百登 職員、涌澤一章 所長

東京建築支店 東電福島第一工事事務所
菅野 浩 副所長
松本百登(ももと) 職員
涌澤一章 所長
(写真左から)

改ページ

暗闇の構内を,鉄筋コンクリートガラや鉄骨が入った鋼製のコンテナを積んだダンプが走る。高線量のガレキを収集し,構内の保管場所へと運んでいるのだ。遠隔操作型の重機と,放射線を95%以上カットする有人の特殊重機を併用し,オペレータの被ばく線量低減を図る。「これまでは3号機解体からのガレキが主でしたが,徐々に解体が進んできた1号機からのガレキが増えてきています」と福山所長。当社が関連する工事のほか,プラントメーカーなどが行う工事から発生するガレキについても対応している。“構内のゴミ拾い屋”と謙虚に話すが,その作業には高度な技術が使われている。ダンプで運ばれたコンテナは,保管場所の前でフォークリフトに積み替えられる。そこからは,地下にある決められた保管位置まで自律運転となる。フォークリフトにレーザスキャナを設置し,走行時の位置・姿勢情報をリアルタイム取得,保管場所の図面情報とマッチングさせている。シールドトンネル内での資材搬送を自動化するための技術を応用したもので,GPSが使えない環境で有効だ。当社技術研究所などが開発した。夜間に人知れず行われ,目立つことがない作業だが“誰かがやらなければ”という思いで,これまで続けてきた。「きれいに片づけてくれて,ありがとう」の言葉で報われるという。

「震災直後と比較すれば,作業環境は数段良くなっています。これから何十年と続く作業。若い力が必要な時期になっています」。4人からのメッセージである。

写真:当社が担当する3号機などのガレキ除去工事のほか,プラントメーカーが行う工事からのガレキの収集・運搬も担っているため,様々な担当者との密なコミュニケーションが必要となる。と福山哲也 所長(右端)

東京土木支店 東電福島高線量廃棄物運搬工事事務所 福山哲也 所長(右端)

当社が担当する3号機などのガレキ除去工事のほか,プラントメーカーが行う工事からのガレキの収集・運搬も担っているため,様々な担当者との密なコミュニケーションが必要となる。「福山さんは,構内の有名人ですよ」と,3号機のガレキ除去を率いる岡田伸哉所長(左端)はいう

写真:自律運転の状況を遠隔操作室で確認できる

自律運転の状況を遠隔操作室で確認できる

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