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KAJIMAダイジェスト

concept アステラス製薬 つくば研究センター5号館 手の痕跡

写真:西側の庭園に面した開放的なオフィスエリアは,ダブルスキンカーテンウォールにより優れた温熱環境を実現している

西側の庭園に面した開放的なオフィスエリアは,ダブルスキンカーテンウォールにより優れた温熱環境を実現している
photo: エスエス東京/島尾望

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クライアントが投げかける様々な言葉をめぐって,私たちは考え,手を動かし,議論を繰り返す。

たとえば「研究者に優しい」とは?

研究者にストレスを感じさせないように,機能的で明快な平面計画を追求するだけでなく,単調になりがちな廊下のそこここに,様々なコミュニケーションの場を設けてはどうだろうか。そこは自然光溢れる明るい空間が望ましい。しかしトップライトからの直射光が業務を妨げるようではいけない。スケッチを描く,模型を作る,CADによるシミュレーションで検証する。こうしてたどり着いた三角形断面の天井デザインによって,柔らかな反射光で満たされたコミュニケーションの場が実現する。

たとえば「環境に優しい」とは?

メカニカルバルコニーの前面にソーラーパネルを設置してはどうだろうか。それでは実験室が暗くなりすぎないか,あるいは外観が重い印象になってしまわないか。行きつ戻りつ手を動かし続けた先に,明るい実験室と伸びやかなファサードを両立させる水平スリットのパネルデザインに到達する。

コンセプトを言葉にすれば「単なる技術の集積に留まることなく,それらが互いに響きあい,統合されて,ひとつのハーモニーを形成するようにデザインする」ということになるのだろうが,それは決してアプリオリな命題や突然の啓示からもたらされたのではなく,考え,そして泥臭く自ら手を動かし続ける中から浮かび上がってきた何ものかである。
(水越裕・振木真紀・伊藤英信)

写真:白い壁,庇,太陽光パネルによる幾何学的構成

白い壁,庇,太陽光パネルによる幾何学的構成

写真:柔らかな光溢れる吹き抜け空間がコミュニケーションを誘発する

柔らかな光溢れる吹き抜け空間がコミュニケーションを誘発する

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写真:白と黒のシンプルなコンポジション

白と黒のシンプルなコンポジション

写真:西側の庭園へと開かれたエントランスホールは,白い壁とガラスによる静謐な空間

西側の庭園へと開かれたエントランスホールは,白い壁とガラスによる静謐な空間

アステラス製薬 つくば研究センター5号館(茨城県つくば市)

最先端の創薬研究所として,分散する発酵研究所施設群を集約。研究者にも地球環境にも優しい施設を目指した。

発注者:アステラス製薬
設計:当社関東支店建築設計部
規模:RC造一部S造 2F,PH1F
延べ6,087m2
(関東支店施工)

写真:幾度となく作っては壊された吹抜け廻りの模型。その過程の中からデザインが生まれる

幾度となく作っては壊された吹抜け廻りの模型。その過程の中からデザインが生まれる

写真:水越裕

水越裕(みずこし・ゆたか)

関東支店建築設計部
グループ長
主な作品:

  • 人間総合科学大学
  • 松本歯科大学キャンパスイン
  • ミネベア浅間寮

写真:振木真紀

振木真紀(ふりき・まさき)

建築設計本部
チーフ
主な作品:

  • サンケンプラザ(研修センター)
  • 川口市立アートギャラリー
  • エーザイ筑波ナレッジセンター

写真:伊藤英信

伊藤英信(いとう・ひでのぶ)

関東支店建築設計部
設計主査
主な作品:

  • 明治薬品富山工場西棟
  • ジーシー富士小山第四工場
  • 日本航空電子昭島工場

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