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「揺れ」からまもる技術 Ⅳ 被災度判定システム

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大地震が発生した時,
ビルを使い続けられるか的確な判断が求められる。
当社が開発した「被災度判定システム」は,
被災直後に被災度を判定し速やかな事業継続の活動を支援する。

システムの概要

2006年,震災時の社内BCP策定にあたり,社有施設の地震時健全性の把握を目的として開発に着手した。2007年に社外展開し,都内3ヵ所の超高層ビルを対象に本格的にシステムの稼働が始まった。

超高層ビルの1階や最上階など数フロアに地震の揺れを検知する計測装置を設置。得られたデータを専用のパソコンで解析して,各階ごとの地震の力(加速度)や建物のひずみ(層間変形角)の大きさを数分で割り出して評価する。

本システムは現在,約30棟の超高層ビルに設置されている。東北地方太平洋沖地震で正常に稼働したことにより信頼性が確認され,人的調査による実際の被災状況などとの比較により,判定結果の精度も実証されつつある。

震災直後の避難判断を支援するツールへのニーズは高く,「被災度判定システム」の活用が期待される。

図:システムの構成

システムの構成

図:「被災度判定システム」分析結果のイメージ

「被災度判定システム」分析結果のイメージ
東日本大震災における鹿島赤坂別館の評価結果では,
各階ごとの地震の力(加速度)や建物のひずみ(層間変位角)の大きさは安全な領域にあることが確認できる

column 3.11 迅速な安全・安心の確保のために 世界貿易センタービルの被災度判定システム

当社施工の世界貿易センタービル(東京都港区)では,「被災度判定システム」を導入している。世界貿易センタービルディング施設管理部の皆さんにシステムの活用状況などを伺った。

管理を担当する谷亀勇部長は,「今までの地震計ではデータの解析に手間がかかるため,2009年末に緊急地震速報と加速度モニタなどを設置しました。2010年9月より被災度判定システムを導入し,半年も経たずに大地震となりました」と語る。

地震当日の模様について「地震到達40秒前に防災センターから地震発生の知らせを受けて防災センターに急行した」という大橋良仁課長は,揺れ始めるとモニタ画面に収まらない最上階の変形軌跡を見て,「地震の大きさがよく分かりました。直後に映し出された判定システムの結果で建物の状態を概観でき,次のアクションに移ることができました」と振り返る。

建物の構造を担当する大野幹雄部長は,「被災度判定システム導入後初めての大地震で,結果を鵜呑みにする訳にはいかず,当日夜実施した被害状況調査や,後日鹿島の構造担当者と実施した技術検討により信頼性を確かめました。地震対策での活用法を検討し始めたところです」と,今後の活用に期待を寄せた。

写真:世界貿易センタービル

世界貿易センタービル

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写真:防災センターのシステム

防災センターのシステム

写真:右から世界貿易センタービルディング 施設管理部 大野幹雄部長,谷亀勇部長,大橋良仁施設管理課長

右から世界貿易センタービルディング 施設管理部 大野幹雄部長,谷亀勇部長,大橋良仁施設管理課長

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