造形美を誇った駒沢体育館
「方形の大架構とその間に配置された4枚の異形HPシェルによって空間を構成する。日本古来の建築様式を連想し,世界に例のない特異の造形として外国人の目をうばうことであろう」 【1963年4月号】
第18回オリンピック東京開催が決まり,第2会場として東京・世田谷区と目黒区にまたがる駒沢公園一帯では会場整備が行われた。そのなかの東京都駒沢体育館は芦原義信氏設計による印象的な造形美が話題になった。2組のSRC造合掌梁と,鉄骨シェルで構成される屋根の上に軽量コンクリートのスラブを載せている。大架構の施工にあたっては苦心が多かったようで,縮小模型による強度試験を行ったり,数々の施工計画案を立てて,工事が行われたそうだ。
オリンピックの際にはレスリング会場として使われた。以降,現在までアスリートの檜舞台として現役で活躍している。
アマチュアスポーツの殿堂,岸記念体育会館
在日米軍施設だった東京・代々木のワシントンハイツ跡は,オリンピックのメイン会場として競技施設群の一大整備が行われた。そのうち当社が施工した岸記念体育会館は松田平田設計による地上5階建ての建物で,現在もJR山手線から白く特徴的な姿を見ることができる。この建物はオリンピック組織委員会などの大会役員室や,事務局など,競技運営の統合本部として使われたが,大会以降は日本体育協会ならびに各種の団体が入るアマチュアスポーツの総本山となった。