ホーム > KAJIMAダイジェスト > September 2018:特集「外環CHIBA 2018」 > Site 2 市川中工事 土木技術のデパートで築く既存インフラとの立体交差

KAJIMAダイジェスト

Site 2 市川中工事 土木技術のデパートで築く既存インフラとの立体交差

写真:京成本線南側におけるSC造函体の施工状況

プラモデルのように函体を組み立てる

外環千葉の全工事のなかで,工程と技術の両面で最大のクリティカルパスとなったのが「市川中工事」である。約1.5kmの工事区間には,京成本線や国道14号,一級河川の真間川との立体交差がつづくからだ。そのため地上の国道部が,場所によって地下へと移行。地下の構造は高速道路部とともに2層や4連となり,函体の形状が複雑に変化していく。

京成本線の南側でポイントとなった工事には,沈埋工法に用いられる鋼コンクリート合成構造(SC造)を都市土木においてはじめて大規模に適用。SC造のプレキャスト部材は,工場製作による鋼殻部が軽量であるため, RC造に比べて部材が大きくでき,部材数も減少する。現場での運搬・接合・組立てに関わる労力と時間を圧縮するための工夫について,「プラモデルを組み立てて,コンクリートを流し込むような作業でした」と奥本現所長は工事のイメージを説明する。

SC造の函体は,国道14号の周辺でも適用された。仮設道路による迂回ができないため,直径80cm(一部100cm)・長さ18mのパイプルーフを国道の直下に40本通すことで,道路の沈下を防ぎ,交通を止めずに施工した。これも主要道路直下における極小の土かぶりという厳しい条件のもとで,工法・規模ともに稀にみる施工となった。

改ページ

写真:京成本線南側におけるSC造函体の施工状況

写真:京成本線南側におけるSC造函体の施工状況

京成本線南側におけるSC造函体の施工状況。プレハブ化を進めた施工風景は巨大な工場のよう。工期短縮という課題解決の切り札として採用し,その効果が話題となった

改ページ

発泡スチロールで盛土を築く

真間川の交差は,河川の上下に国道と高速道路を通す前例のない工事となった。水流の迂回は,人工の河川を中空に浮かせて設置。川をまたぐ橋の前後の盛土は,高速道路の緊急復旧などで用いられる発泡スチロール素材で施工した。人力の持ち運びによる手作業が可能となることで,土を突き固める際の工事騒音が発生しなくなる。住宅地での昼夜施工による作業時間が長く確保でき,工期短縮につながった。

こうした施工上の工夫を「合わせ技の価値」と奥本所長は語る。さまざまな交差部で函体の形状や施工条件が複雑化するなかで,各工事の問題点を発注者と共有し,できること,できないことを明確化することで,「土木技術のデパートのような現場」を統率していった。

たとえば,避難階段部でもプレハブ化は徹底され,函体にはプレキャストコンクリートを活用し,階段は現場で設置するだけの工場製作とした。こうした工事を遂行した人員は,ピーク時でJV職員130名,作業員800名に達し,土木では稀有な規模となった。

異例ずくめの工事となったが,開通の日は「何事もなかったように車両が通っていました。私たちがつくった道路が違和感なく使われている風景を見て,工事の成功と土木技術の役割を実感しました」と奥本所長は感慨深げに語った。

写真:奥本現所長

奥本現所長

改ページ

写真:国道14号の交差部

国道14号の交差部。写真上部に連続する円筒の部材は,道路の沈下を防ぐパイプルーフ

写真:プレキャストコンクリートの使用による施工のプレハブ化は,避難階段部などでも徹底された

プレキャストコンクリートの使用による施工のプレハブ化は,避難階段部などでも徹底された

写真:河川の迂回が行われた真間川

河川の迂回が行われた真間川。地下に高速道路が築かれた
(現場提供)

写真:真間川の前後の盛土は,発泡スチロール素材を用いることで,手作業が中心の施工となった

真間川の前後の盛土は,発泡スチロール素材を用いることで,手作業が中心の施工となった
(現場提供)

写真:朝礼の壮観

朝礼の壮観。写真左に周辺の住宅地,写真右にオーバーブリッジと,現場の特徴が映し出されている

ホーム > KAJIMAダイジェスト > September 2018:特集「外環CHIBA 2018」 >

Site 2 市川中工事 土木技術のデパートで築く既存インフラとの立体交差

ページのトップへ戻る

ページの先頭へ