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Site 3 小塚山トンネル工事 森の公園を保全する長距離の函体推進

写真:ガイド導坑(左)と函体推進工法の起点部(右)。通常設置される反力壁がみられない

写真:ガイド導坑(左)と函体推進工法の起点部(右)。通常設置される反力壁がみられない

ガイド導坑(左)と函体推進工法の起点部(右)。通常設置される反力壁がみられない

130mのパイプルーフ

環境にやさしい道路づくりは,景観保全にも配慮されている。「小塚山トンネル」は,自然林が豊かな市民の森として親しまれる小塚山公園の地下を通り抜ける。

土かぶりが浅く,地盤も強くない施工条件のなかで採用されたのは,コンクリートの函を立坑でつくり,地中へと順次押し込んでいく函体推進工法。函体推進のために事前に施工したパイプルーフは130mに達した。同じ工法となった京成本線の駅直下では延長25m。「小塚山トンネルの函体推進は,長さとともにカーブしていく点でも異例の工事でした」と東京土木支店の和田明久土木工事部長(当時副所長)は語る。

写真:和田明久工事部長

和田明久工事部長

綱引きで推進する函体

通常の函体推進では,立坑に壁を設置し,その反力によって函体が進む。しかし,ここでは自然保護のために立坑の開削が限られ,反力壁がつくれない。そこで採用したのは「山の両側で函を引っ張り合う綱引きです。後半戦は自重を相互に利用しました」。東京土木支店の大野真一担当部長(当時次長)は推進のアイデアを説明する。

まず,両側の立坑に函体を3つずつ構築。片側の3つの函体の重さを反力とし,逆側の1つの函体を押し込む。重さの差を利用した綱引きだ。これを交互に繰り返し,すべての函体を地中に押し込んでいく(バックフレーム+フロンテジャッキ工法)。

写真:大野真一担当部長

大野真一担当部長

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つぎに,新しい函を立坑で3つずつ構築する。片側に並んだ新旧6つの函のうち,5つ分の重さを利用し,1つの函を押し込み,あるいは引き寄せる。自重の相互利用の繰り返しによって,函体を中央まで貫通させる(ESA工法:Endless Self Advancing Method /無限自走前進工法)。

文字どおり一歩ずつ築かれたトンネルは,2010年に完成。和田部長は開通直後にかけつけた。「車で通過したら,あっという間でしたね。しかし,街中の沿線道路で交通量が緩和されたと聞くと,事業の重要性を実感できます」。

小塚山トンネルは,ルート全体のなかで最初期に着工された。ここで活躍したメンバーは,国分や市川中へと転じ,外環の工事に携わりつづけた者が少なくない。当社にとっても外環千葉の出発点となった現場である。

図版:断面図(高速道路部)

断面図(高速道路部)

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図版:函体推進工法の施工手順(高速道路部)

函体推進工法の施工手順(高速道路部)

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