騒音振動伝搬予測システム
パソコンで簡単に利用できる騒音振動伝搬予測システム
本システムは、工場などから生じる設備騒音や建設現場から生じる工事騒音、地盤振動が周辺環境に及ぼす影響などをパソコン上で事前に高精度に予測して、騒音・振動低減対策に利用するものです。
環境保全対策などを総合的に評価する「総合評価方式」における騒音・振動対策の検討や、現場での対策のチェックなど、設計者や現場担当者などがパソコンとネットワークを活用し簡単に使用できるシステムです。騒音及び振動の低減対策の提案・実施までの期間が大幅に削減できます。
簡易で迅速な対応を行うWeb版と、より詳細な検討を行う精細版から構成されており、ケースにより使い分けて運用しています。
2004年 第41回大会論文 日立ITユーザー会 優秀賞
2006年 第18回技術研究発表会 アーバンインフラ・テクノロジー推進会議 奨励賞(A部門 環境・エネルギー)
- キーワード
- 総合評価、騒音対策、騒音予測、振動対策、振動予測
本技術の特徴
本システムは現在の運用段階においても実験・現場での実証データとの比較により、予測計算精度を確認しており、良好な結果を得ています。また、様々な機能追加によりユーザーニーズを捉えたバージョンアップを図っています。
これにより当社社内各部署・現場で多くのユーザーが使用するとともに、システムの運用管理部署においては、これらユーザーの支援、高度な解析の実施、技術フォロー等を行っており、お客様のニーズに応える体制をとっています。
特長・メリットココがポイント
複雑な形状であっても予測が可能
- 予測計算に必要な音源、受音点、防音壁、建物、地形などのデータは、簡単に入力することができます。
- 音を遮る障壁が複数ある場合(多重障壁)でも、回折(音の回り込み)による減衰効果を非常に精度よく計算します。
- 音源から複数の障壁上を通って、受音点に至る経路を最短で結ぶ音線より、低い障壁による減衰効果も計算できます。
- 屋外の重機騒音の伝搬予測はもとより、建物内の設備騒音が壁や窓を透過して屋外へ伝搬する予測計算や、屋内音響状態の計算も可能です。
周辺の地形、地盤を考慮した予測が可能
- 地形の起伏による影響を考慮した騒音予測にも対応しています。
- 地盤振動の予測では、地盤の種類による減衰や、地形の起伏を考慮した予測を行います。
予測結果をビジュアルに表現
- 計算結果はカラーコンターに出力可能です。数値情報の予測結果分析表と組み合わせることによって、防音壁による騒音低減効果、吸音材や遮音材による騒音低減効果を評価し、迅速に設計へフィードバックして、騒音低減対策の詳細検討にも反映できます。
適用実績
騒音振動伝搬予測システムは、当社の多くの工事で、騒音対策効果の評価などに利用されています。
アクティブノイズコントロール
(能動騒音制御)
騒音を音で消す施工現場における
重機や発電機などのエンジン排気騒音を消音
音を逆位相の音で打ち消すことで、覆いや障壁なしに騒音を低減できる能動騒音制御(Active Noise Control、以下ANC)技術があります。ANCは、適用できる騒音源が限られていることや、効果の得られる領域に制限があることなどの難点もありますが、いくつかの条件さえ揃えば一定の効果が期待できる有用な技術です。
施工現場近隣の住民や自然環境に配慮した工事騒音対策の提案が必要不可欠である昨今、鹿島はANC技術の効果的な活用を提案します。
特許登録済
- キーワード
- アクティブノイズコントロール、能動騒音制御、エンジン排気騒音、ANC
従来技術では対応困難な低音域の騒音に効果を発揮
工事現場に比較的隣接して民家があるような場合、高音域の騒音は、仮囲い、防音塀、サッシによってある程度遮音されます。しかし、低音域のエンジン排気音は、波長が長い分、回り込みも大きく、遮音もされにくいため、室内では高音域の騒音だけが減衰し、低音域が際立って聞こえてしまうという、ヒトにとって不快な音環境が形成されることになります。ANCは、低音域の消音に効果を発揮するため、このような施工環境に適した騒音対策が可能となります。
特長・メリットココがポイント
コンパクトなシステムを実現
能動騒音制御の原理から、チャンネル数が多くなるほど、制御領域が拡大する性質があります。しかし、チャンネル数の増加は、装置の大型化、騒音源への近接配置が困難になるなどのデメリットがあります。そこで、本システムでは、最適の2チャンネルシステムを採用しています。
騒音源への近接配置が可能
能動騒音制御の原理からは、一般的にスピーカの下向き配置は不利と考えられていました。本システムは、その固定観念を覆した画期的な配置方式で、騒音源への近接配置を可能とし、また、防水性の向上、スピーカユニットの破損防止にも貢献しています。
鹿島独自の原理で効果的に消音
アクティブノイズコントロールが扱う”音響的な場”というのは、制御スピーカ近傍では非常に乱れており、遠方にいくにしたがい乱れが解消され、きれいになるという性質があります。乱れた場の特性に厳密に合わせて制御してしまうと、肝心の遠方領域での消音効果が十分に発揮されなくなってしまうため、はじめから乱れていない理想的な場を想定して制御を行うという発想に基づいた、当社独自の「仮想点制御の原理」を採用しています。
適用実績
東京駅丸の内駅舎保存・復原工事
場所:東京都千代田区
竣工年:2012年6月
発注者:東日本旅客鉄道
適用対象:発電機のエンジン排気騒音
芝公園一丁目計画地上解体工事
場所:東京都港区
竣工年:2013年5月
発注者:ガッサン・プロパティーズ特定目的会社
適用対象:重機のエンジン排気騒音
半田市新庁舎建設工事
場所:愛知県半田市
竣工年:2014年12月
発注者:半田市
適用対象:重機のエンジン排気騒音
岡山大学(鹿田)
医歯薬融合型教育研究拠点施設新営
その他工事
場所:岡山県岡山市
竣工年:2015年1月
発注者:岡山大学
適用対象:重機のエンジン排気騒音
学会論文発表実績
- 「仮想点制御による能動制御空間の拡大」,日本騒音制御工学会,2010年春季研究発表会(招待講演)
- 「フィードフォワード制御の制御領域拡大に関する2,3の考察」,日本音響学会建築音響研究会,2011年7月