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R-SWING®工法

非開削矩形アンダーパス工事に特化した泥土圧式掘削機

この工法は周辺環境への影響を最小限に留めながら、都市部の立体交差などのトンネルを非開削で構築するものです。

掘削機上部に可動式の屋根(ルーフ)を持つユニークな機構で、そのルーフが地山を先行掘削することにより地盤沈下の防止や、不測の埋設物などの先進探査を行いながら掘削します。掘削するスポーク状のカッターがワイパーのように揺動する方式を採用し、矩形で掘削を行います。

アンダーパス工事に特化して、簡素化したマシン仕様・性能にしたことと、1現場のみならず複数現場への転用を考慮した構造としたことでマシンコストを大幅に削減することが可能です。

平成29年度日本建設機械施工大賞 大賞部門優秀賞
平成28年度建設施工と建設機械シンポジウム 優秀論文賞
第17回国土技術開発賞 入賞
特許登録済及び特許出願中
商標登録 5336635

図版:R-SWINGマシン全景(ルーフ張出し状況)

R-SWINGマシン全景(ルーフ張出し状況)

キーワード
アンダーパス、非開削工法、泥土圧式掘削機、矩形トンネル、揺動カッター
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R-SWINGマシンの適用条件と基本構造

適用地盤条件と寸法

アンダーパス工事は比較的深度の浅い場所が多いため、以下のように適用地盤条件を設定しました。

  • 適用地盤:N値20程度の粘性土・砂層
  • 土被り:3~10m程度
  • 地下水:0.1MPa程度

また、寸法は、地下連絡通路から2車線道路トンネルでの適用を考えて以下になります。

  • 形状:偏平矩形(四角形)
  • 幅:最小4.6~最大9.2m
  • 高さ:最小3.6~最大9.0m

R-SWINGマシンの基本構造

左図は基本型のR-SWINGマシンの図です。前後に1.5m伸縮する高さ0.9mのルーフマシンを上部に、下部に基本高さ2.7mの本体マシンを配置しています。掘削はワイパーのように左右に振れる揺動カッター方式を採用し、揺動する際に後方に掛かる反力を打ち消すためにルーフマシン、本体マシンともに幅2.3mのマシンを左右2基配置しています。また、ルーフマシン、本体マシン後方には姿勢制御を目的とした中折れ機構を装備した函体受座があります。

ルーフマシン、本体マシンとも必要に応じ上下左右に結合することが出来る構造になっており、右図のような大断面にも適用可能となっています。

図版:R-SWINGユニット

R-SWINGユニット

図版:R-SWINGユニット拡幅例

R-SWINGユニット拡幅例

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特長・メリットココがポイント

マシンのユニット化

マシンは1つのユニットの幅を2.3mとして、トラックでの運搬を考慮したサイズとなっています。

全てのユニット間をボルトでの結合としたことで、溶接作業が発生せず作業環境に優しい上に組立・解体作業期間の短縮に寄与しています。

また、ユニット内の揺動カッターなどの可動する部位もボルトやピン締結にして取り外せる構造としたことで使用後のメンテナンスが容易になりました。

図版:各ユニットのボルト締結

各ユニットのボルト締結

汎用性の高さ

一般的に矩形トンネルの場合、その用途によっては似たような大きさにはなるものの、現場ごとに微妙に幅・高さが異なります。推進機やシールド機は殆ど単品生産になっているという問題を解消するためR-SWINGマシンでは、基本型マシンにスペーサーなどを挟み込むことで寸法調整を容易にできる機構としました。基本型マシンの汎用性を高めたことで、転用可能となりマシン費の大幅削減効果が見込めます。

図版:高さ微調整方法

高さ微調整方法

地盤変状抑制と前方探査機構

先行掘進のために設けられたルーフマシンが直上の地盤沈下および隆起抑制に寄与するだけでなく、埋設物などの探査機能としても活用でき、より安全に掘進することが可能となります。

工法・セグメントの適応性

マシン前方はそのままで、後方の函体受座を変更することで推進工法からシールド工法への対応ができます。また、鋼製セグメント、RCセグメント、合成セグメントにも適用でき、あらゆる現場状況にも対応が可能です。

図版:推進・シールド工法の適用イメージ

推進・シールド工法の適用イメージ

地上発進・地上到達技術の組合せ

今まで蓄積した鹿島の地上発進や低土被りでのシールド掘進実績をR-SWING工法にも応用することで、地上発進および地上到達が可能となり、現場のニーズに応じて立坑建造に要する工期・費用を大幅に低減することができます。

図版:地上発進・地上到達イメージ

地上発進・地上到達イメージ

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適用実績

図版:新御茶ノ水駅連絡出入口

新御茶ノ水駅連絡出入口

場所:東京都千代田区

竣工年:2013年5月

発注者:三井住友海上火災保険

監理者:東京地下鉄(請願工事)

トンネル諸元:トンネル外寸 
幅4.85m×高さ3.6m 掘削距離L26.5m 
掘削土層 細砂礫混じり砂層 
用途 地下通路

図版:日比谷連絡通路土木工事

日比谷連絡通路土木工事

場所:東京都千代田区

竣工年:2018年1月

事業者:三井不動産

発注者:東京地下鉄

トンネル諸元:トンネル外寸 
幅7.3m×高さ4.3m 掘進距離L42m 
掘削土層 粘土質シルト、粘土 
用途 地下通路

学会論文発表実績

  • 「R-SWING工法による短形断面トンネルの施工実績」,第71回都市施工体験発表会,2012年
  • 「短形アンダーパス『R-SWING工法』の施工実績」,土木学会第67回年次学術講演会,2012年
  • 「3連揺動型掘削機による地下通路の施工実績」,平成28年度建設施工と建設機械シンポジウム,日本建設機械化協会
  • 「都市部の地下連絡通路を矩形推進で施工した事例(東京ミッドタウン日比谷)」,基礎工2019年4月号
  • 「R-SWING工法と六面鋼殻合成セグメントを採用した地下連絡通路工事の実績 ─新日比谷地下通路工事報告(その4)」,土木学会第72回年次学術講演会,2017年

トンネル分岐・合流部の合理的施工技術
「太径曲線パイプルーフ工法」

併設する2本のシールドトンネルを接続して大空間を構築

都市の過密化や都市再生の進展にともない、道路トンネルを地下に整備する必要性が高まり、また、大深度地下利用法の施行により地下トンネルは従来よりもさらに深くなる傾向にあります。

それらの建設に際しては、道路直下を利用し、地上交通あるいは地下埋設物への影響が少ないシールド工法が有効です。

地上へ繋げるランプトンネルのうち特に本線トンネルとの接合部の施工には、一般的に開削工法が用いられますが、地上交通に影響が少ない非開削工法の開発が強く望まれてきました。

太径曲線パイプルーフ工法は、併設する本線トンネルとランプトンネルの間を、大口径の鋼製曲線パイプルーフでつなぐことで土圧・水圧に抵抗させ、不要な既設セグメントを解体し、その内部に大空間を非開削で構築する工法です。

第10回国土技術開発賞 最優秀賞 国土交通省 2007年

日経BP技術賞・建設部門賞 日経BP社 2008年
平成26年度土木学会賞 技術開発賞

図版:太径曲線パイプルーフイメージ

太径曲線パイプルーフイメージ

キーワード
シールドトンネル、パイプルーフ工法、非開削、都市高速道路、推進工法、非常駐車帯、ランプトンネル、部分拡幅、分岐・合流、凍結工法

施工ステップ

図版:太径曲線パイプルーフ工法 施工手順

太径曲線パイプルーフ工法 施工手順

  • Step1 シールド工法にて、本線トンネルおよびランプトンネルを構築します。
  • Step2 ランプトンネル坑内から、推進工法により太径曲線パイプルーフを下向きに施工します。
  • Step3 その後段取りを変更し、同様に推進工法で上向き太径曲線パイプルーフを施工します。
  • Step4 上下太径曲線パイプルーフを併合(接合)させ、本線・ランプトンネルと一体化します。
  • Step5 また、隣り合う太径曲線パイプルーフ間は凍結工法・薬液注入により止水を行い、拡幅時の支保構造を非開削にて内部掘削を行います。
  • Step6 その後、不要な既設セグメントを解体し、ランプ分合流拡幅部の構築を施工します。
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特長・メリットココがポイント

構造体として高い信頼性

  • 鋼製の太径曲線パイプルーフで土圧・水圧を支持するので、構造体としての信頼性が高くなります。
  • 太径曲線パイプルーフ管には円形あるいは矩形の鋼管を用い、任意の半径・断面寸法に対応でき、かつ曲率半径も自由に選定可能です。

図版:パイプルーフの本体構造利用イメージ

パイプルーフの本体構造利用イメージ

凍結工法のリスクを低減

  • 凍結範囲が小さく、凍上、凍着切れなどの凍結工法のリスクと考えられる要因の低減を図ることができます。
  • 太径曲線パイプルーフ管の間の地盤凍結は、鋼管内に任意に配置した凍結管により止水に必要な最小限の厚さの凍土を確実に造成することが可能です。

図版:凍結工法イメージ

凍結工法イメージ

完全な非開削施工

  • 太径曲線パイプルーフで土圧・水圧を支持し、凍土で完全止水することにより、非開削施工が可能です。
  • 太径曲線パイプルーフは、施工済みのシールドトンネル、山岳トンネルから円形あるいは矩形の掘進機で覆工を直接切削発進・到達することが可能です。

適用実績

図版:首都高速道路中央環状線新宿線富ヶ谷出入口

首都高速道路中央環状線
新宿線富ヶ谷出入口

場所:東京都渋谷区

竣工年:2009年9月

発注者:首都高速道路

規模:曲線パイプルーフ工(Φ812.8mm L=19.2m×76本) 延1,459.2m

学会論文発表実績

  • 「太径曲線パイプルーフ工法による非開削大断面地下空間構築工法(その1)、(その2)、(その3)」,土木学会,第59回年次学術講演会,2004年9月
  • 「太径曲線パイプルーフ工法の開発と実用化」,土木学会・土木建設技術シンポジュウム2006,2006年7月

合流シールド
「D-Shapeシールド工法®

D形と円形のシールドトンネルを接続して合流部を構築

都市の過密化や都市再生の進展にともない、道路トンネルを地下に整備する必要性が高まり、また、大深度地下利用法の施行により地下トンネルは従来よりもさらに深くなる傾向にあります。

それらの建設に際しては、道路直下を利用し、地上交通あるいは地下埋設物への影響が少ないシールド工法が有効です。

D-Shapeシールド工法とは、本線シールドとランプシールドの合流部においてD形の本線シールドトンネルを構築した後に円形ランプシールドを本線に近接して施工し、トンネル間を凍結工法などで改良した後に接合部地盤を掘削して切拡げ、トンネル覆工を組立てて閉合し、最終的に大断面タマゴ形トンネルを構築するものです。

図版:道路トンネルランプ構築イメージ

道路トンネルランプ構築イメージ

図版:D-Shapeシールド工法 施工イメージ

D-Shapeシールド工法 施工イメージ

キーワード
合流シールド、ランプ、凍結土、曲線ボーリング
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施工ステップ

図版:施工ステップ

施工ステップ

Step1 本線シールド施工
D形の本線シールドトンネルを構築します。D形トンネル施工時の拡大テールボイドには特殊充填材(裏込め注入材相当)を充填します。

Step2 ランプシールド施工
上記で充填した特殊充填材を切削しながら、本線トンネルに近接して円形ランプシールドトンネルを施工します。

Step3 曲線ボーリング施工
2本のトンネルをボーリング工でつなぎます。これは接合部地盤掘削時の止水と山留めを目的とした鉛直支保工になるとともに、凍土造成の準備となります。

Step4 凍土造成
曲線ボーリングを介して凍土を造成します。近接しているため、局部的な凍土造成となり、工期的に大きなメリットとなります。

Step5 接合部セグメント撤去、掘削
接合範囲にあるセグメントを撤去し、未掘削部を追加掘削します。

Step6 接合部(下部)タマゴ形トンネル覆工組立
円形ランプシールドの架設セグメントの上に、2本のトンネルを接続するセグメントを新たに組立てます。

Step7 タマゴ形トンネル覆工組立
上部までセグメントを組立て、タマゴ形トンネルは完成します。分岐・合流部のトンネルとしては、応力上で合理的な形となります。

Step8 背面充填・内部支保工・内部セグメント撤去
地盤反力を確保して利用するために、タマゴ形トンネルの背面充填を行います。その後、残置している支保工とセグメントを撤去します。

Step9 内部躯体構築
局部凍結した凍土を解凍し、用途に応じた内部構築を行い、完成します。

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特長・メリットココがポイント

完全な非開削施工

D-Shapeシールド工法を採用することにより、断面形状の変化に伴うシールド機の入れ替えや中間立坑が不要となり、完全な非開削での施工が可能です。

図版:D型シールドイメージ

D型シールドイメージ

施工安全性が高く、占用幅が小さい

円形トンネル同士を接続する工法と比較した場合、D-Shapeシールド工法は接合部の切拡げ範囲が21%と小さく、補助工法の規模が小さくて済むため、施工の安全性が高まります。また、占用幅が79%と小さく、建築限界に対する不要スペースも小さいため合理的です。

図版:分岐・合流部の覆工断面比較

分岐・合流部の覆工断面比較

学会論文発表実績

  • 「道路トンネルにおけるシールド技術体系と最新技術」,建設の施工企画,2005年2月
  • 「D-Shapeシールド工法の開発(その1)─工法概要」,土木学会第61回年次学術講演会,2006年9月
  • 「D-Shapeシールド工法の開発(その4)─大深度地下分岐合流部の非開削地中拡幅工法による周辺地盤への影響比較」,土木学会第61回年次学術講演会,2007年9月

交差点立体化
「SEB®工法」

上下同時作業による急速交差点立体化工法

都市部における慢性的な交通渋滞を解消するため、交差点の立体化が急がれています。しかし従来の工法では、工事による二次渋滞の発生が大きな問題となっており、そのため、工事中の交通規制を最小限とし、短期間で工事を終了できる新しい立体交差工法「SEB工法」を開発しました。

SEB工法は、自己昇降システム(Self Elevating System)を用いた、立体交差急速化施工の新工法です。

図版:SEB工法 施工イメージ

SEB工法 施工イメージ

キーワード
高架橋、立体交差、急速施工、自己昇降システム、上下部同時施工、渋滞解消
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施工ステップ

図版:施工ステップ

  • Step1 交差点両側の側径間ブロック桁を道路上の作業帯内で組み立て、自己昇降システムを用いてジャッキアップします。これにより桁下と桁上に作業用のスペースが確保できます。
  • Step2 桁下にできた広い空間を利用して、橋梁基礎と橋脚を構築します。同時に桁上では分割搬入した中央径間桁を組み立てます。作業はすべて作業帯の中で行うことができ、交通規制は必要最小限に抑えられます。
  • Step3 中央径間桁をジャッキ搭載多軸台車にて、引き出し架設します。この時には交差点の通行止めが必要です。
  • Step4 その後、ジャッキダウンを行い、一連の橋梁が完成します。
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特長・メリットココがポイント

橋梁上・下部工の同時施工により工期を大幅縮減

自己昇降システムによりジャッキアップした側径間桁上で中央径間桁を組み立て、同時に桁下で橋梁基礎と橋脚を構築するため、大幅に工期を短縮できます。

図版:SEB工法実証実験

SEB工法実証実験 
本実験により橋桁本体の自己昇降システムに対する適用性を確認しました

交通規制が最小限特に交差路の通行止めは最小

交差道路の通行止めは、中央径間桁を引き出し架設する夜間1回程度です。また、立体化する道路の作業帯は、2車線分の広さで済むので、道路の交通規制は最小限に抑えることができます。交差路の通行止めが最小限となるため、鉄道立体交差工事にも適用可能です。

図版:鉄道立体交差 完成イメージ

鉄道立体交差 完成イメージ

様々な地盤で施工が可能

作業空間が広いので、基礎工法の選択の幅が広がります。地盤条件に合わせて直接基礎、杭基礎など様々な基礎形式を採用することが可能となります。

学会論文発表実績

  • 「SEB工法による立体交差事業の急速化施工」,土木学会,第57回年次学術講演会,2002年9月
  • 「SEB-ANP工法による狭隘な作業帯における立体交差事業の急速化施工」,土木学会,第58回年次学術講演会,2003年9月
  • 「自己昇降システムを用いた立体交差事業の急速化施工」,建設機械7月号,2003年7月
  • 「上下同時作業による急速交差点立体化工法 ─SEB(Self Elevating Bridge)工法」,土木施工,2004年5月

大型ユニット鉄筋先組工法

ケーソン工事の躯体構築作業の大幅工期短縮を実現

ケーソン工法では躯体構築時の鉄筋組立作業に時間を要することに加え、高所作業も多く、生産性向上及び安全性向上が求められていました。また、土砂を掘削する順序や地盤の軟らかさにより、沈下する際にわずかながら躯体に傾斜が生じることから、既設躯体の傾いた鉄筋にユニット化した鉄筋を正確に継ぎ足すことが難しく、躯体構築における鉄筋組立作業は、躯体上で行うことが一般的でした。

そこで、予め地上で地組みし大型ユニット化した鉄筋を、新たに開発した吊り治具とトラバーサ(移動の際に鉄筋ユニットの形状を保持する装置)を使用して鉄筋を揚重することで、ケーソンの傾斜に合わせて正確に鉄筋を継ぎ足すことが可能な「大型ユニット鉄筋先組工法」を開発しました。

※ケーソンに傾斜が生じた際は、次サイクルの沈設でケーソンの姿勢制御を行います。

特許出願中

図版:大型ユニット鉄筋を使用した躯体構築作業

大型ユニット鉄筋を使用した躯体構築作業

キーワード
円形立坑、鉄筋組立、プレハブ化、一括架設、ニューマチックケーソン
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本工法の概要

本工法は、現場で地組みし大型ユニット化した鉄筋を、ケーソンの傾斜に合わせて揚重することで、既設躯体へ一括して正確に鉄筋を継ぎ足すものです。本工法の概要は以下のとおりです。

1.鉄筋組立架台とトラバーサにより、任意形状で大型ユニット鉄筋を組立
鉄筋を、ケーソンの躯体形状に合わせて制作した鉄筋組立架台上で配筋・ユニット化した後、トラバーサを使用してユニットの形状を保持します。

2.部材の姿勢制御を可能とする吊り治具を用いた揚重
大型ユニット鉄筋を揚重する際、油圧式の吊り治具を地上から遠隔操作して油圧ジャッキを伸縮させることで、大型ユニット鉄筋の傾斜をケーソンの傾斜に合うよう調整、姿勢を制御した状態で継ぎ足し箇所へ移動します。

複数の作業が同時に行われる躯体上での鉄筋組立作業が、現場内の地上ヤードで施工できるようになるため、工程短縮が可能となるほか、足場上での高所作業が無くなり、安全性も大幅に向上します。

図版:大型ユニット鉄筋の揚重状況

大型ユニット鉄筋の揚重状況

図版:トラバーサと吊り治具

トラバーサと吊り治具

特長・メリットココがポイント

躯体上での鉄筋組立作業減少による工程短縮

  • 鉄筋組立作業が現場内の地上ヤードで施工できるため、大幅な工程短縮が可能となります。
  • 工程短縮に伴い、機械・設備のリース費削減につながります。

図版:架台上に組み立てたユニット鉄筋にトラバーサを設置

架台上に組み立てたユニット鉄筋にトラバーサを設置

躯体上の鉄筋組立作業が減少することによる安全性の向上

  • 鉄筋組立作業を現場内の地上ヤードで施工できるため、躯体上の高所作業を減らすことができ、安全性が向上します。
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適用実績

図版:中央新幹線、小野路非常口他工事

中央新幹線、小野路非常口他工事

場所:東京都町田市

竣工年:2021年1月

発注者:鉄道建設・運輸施設整備支援機構

規模:ニューマチックケーソン工法 
躯体コンクリート35,810m3 鉄筋7,000t 
中埋コンクリート2,530m3 
掘削沈下82,000m3/73.9m

ケーソン堀残し幅計測システム

耐環境LiDAR、ネットワークカメラによるケーソン函内計測

ニューマチックケーソン工法は、作業の安全性・効率性の観点から、ケーソンを計画通りの位置・姿勢・速度で沈下させていくことが重要です。しかし、これまでは潜函作業員の経験則を頼りに掘削位置を決めていたため、ケーソンの傾斜や急沈下・過沈下が発生する恐れがありました。

そこで鹿島は、ケーソン函内における刃口と土砂の境界および、掘削状況を函外から遠隔で正確に把握することが可能な「ケーソン掘残し幅計測システム」を開発しました。

特許出願中

図版:表示システムメイン画面

表示システムメイン画面

キーワード
ニューマチックケーソン、堀残し幅、レーザースキャナー、画像処理、LiDAR

システム構成

本システムは、主たる計測をLiDAR(レーザースキャナー)で行い、影となる箇所は刃口近傍に設置したネットワークカメラによる画像認識技術で補完する構成となっています。LiDARは、天井レールを走行する掘削機械の干渉を考慮し、高さ20cmの耐環境型の小型スキャナー(三菱電機エンジニアリング製)を、ネットワークカメラは、設置機器数を低減するために超広角カメラを使用しています。LiDARにより取得した点群情報を3D境界検出解析、ネットワークカメラにより取得した画像から境界を検出する画像認識処理を行い、ケーソン函内における刃口と土砂の境界を全長にわたり、より高精度で算出します。

システム構成

システム構成

図版:耐環境LiDAR(レーザースキャナー)

耐環境LiDAR(レーザースキャナー)

図版:超広角カメラ

超広角カメラ

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特長・メリットココがポイント

3D境界検出処理

ケーソンの沈下を支配する堀残し幅を計測するには、刃口と土砂の境界面の把握は必要です。LiDARによる点群から平滑化処理、ノイズによる誤検出を補正する処理により境界線を高精度に検出します。

図版:刃口・土砂検出状況

刃口・土砂検出状況

図版:実際の土砂境界写真

実際の土砂境界写真

AIを利用した境界検出

超広角カメラにより撮影された境界付近画像から、機械学習により得た学習済みモデルを利用し、境界線の推定を行います。

図版:超広角カメラで撮影した画像と境界検知

超広角カメラで撮影した画像と境界検知

リアルタイム・定量的な掘削状況・堀残し幅の把握

計測から画像処理・表示までを10分程度で更新させることで、これまでカメラに頼っていたケーソン内の掘削状況を定量的に把握し、掘削管理の精度向上が図れます。さらに、沈下データと組み合わせ分析することで沈下管理をより適切に行えます。

図版:掘削状況

掘削状況 土砂が盛り上がる(色が緑に変化)は、ケーソンが沈下したもの(動画:15秒/音声なし)

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安全性の向上

内部土砂計測のためのケーソンへの入出函が必要なくなることから、潜函作業員の安全性と作業効率性が大幅に向上します。

図版:ケーソン操作室での函内監視

ケーソン操作室での函内監視

図版:遠隔計測状況

遠隔計測状況

適用実績

図版:小平天神立坑

小平天神立坑

場所:東京都小平市

竣工年:2020年9月

発注者:東京都

規模:立坑築造工(ニューマチックケーソン) 
外径20.8m、深さ36.5m

学会論文発表実績

  • 「ケーソン堀残し幅計測システムの開発」,土木学会,第74回年次学術講演会,2019年9月

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