頭部固定式二重土留め工法
開削工事における切梁などの支保工を縮減しオープン掘削を可能に
一般的な土留め掘削工法では、掘削の深さが3~4mを超える場合、切梁やグラウンドアンカー、控え杭などの支保工を用いて掘削を行います。しかし切梁は、掘削や躯体工事の支障となり効率的な施工を阻害、またグラウンドアンカーや控え杭には背面側に広い用地が必要になります。また、掘削の深さがさらに深い場合に用いるSMW工法などによる高剛性の土留めは、大型の施工機械が必要であり、工事の準備に多くの時間を要することや、地中にH鋼が残置されるという課題がありました。
鹿島が開発した新しい土留め工法「頭部固定式二重土留め工法」は、汎用資材である鋼矢板を二重に設置し、頭部を固定することで、土留壁の剛性を向上させ、支保工の縮減や施工機械の小型化など開削工事の合理化と躯体構築の生産性向上を実現します。
令和6年度地盤工学会 技術開発賞
特許登録済

本工法の適用による切梁の省略(掘削深さ5.5m)

効率的な掘削を目指した本工法の適用イメージ
- キーワード
- 開削掘削、土留め
頭部固定式二重土留め工法の概要
開削工事の合理化を目指した新しい土留め工法「頭部固定式二重土留め工法」は、鋼矢板による土留め壁を1~2m程度の間隔で二重に設置し、それらの頭部を高さ30~50cm程度鉄筋コンクリートや鋼材などで剛結しラーメン構造にすることで、鋼矢板2枚以上の高い剛性を発揮するものです。
頭部剛結部

鋼材を用いた頭部剛結

コンクリートを用いた頭部剛結

本工法の特徴と高剛性化の原理
さらに、頭部を鉄筋コンクリートで剛結した場合、断面方向に加え、平面的な梁としての3次元効果を利用することが可能となり、より深い掘削に対応することができます。

頭部固定の三次元効果を考慮したさらなる活用例

頭部固定の三次元効果を考慮した適用
本工法の適用により、切梁などの支保工を縮減できるため、掘削の高速化と躯体構築の合理化やプレキャスト化が可能となり、安全性の向上にもつながります。さらに、山留壁に引抜き撤去が容易な鋼矢板を用いるため、工事終了後の撤去が可能であり、環境負荷の低減にもつながります。
特長・メリットココがポイント
開削工事の生産性・安全性向上
切梁などの支保工を縮減できるため、より広い作業スペースの確保が可能となり、土工事や躯体工事の作業効率と安全性が向上します。特に、比較的浅い掘削ではオープン掘削が可能となり、生産性の飛躍的な向上が見込めます。
高い汎用性
一般的な鋼矢板の頭部を固定するシンプルな構造のため、汎用資材による施工が可能です。鋼矢板を用いるため、地下水位や土質条件による影響が少なく、多様な地盤に適用できます。
環境負荷の低減
引抜き撤去が容易な鋼矢板を使用するため、本工法と同等の剛性を有するSMW工法などと比較して、地中残置物や建設汚泥を発生させません。また、施工後には鋼矢板を撤去できるため、地下水の流動を阻害しません。
省スペース
オープン掘削に分類される在来工法(控え杭式、グラウンドアンカー式)のように土留めの背面側に広い用地を必要とせず、鋼矢板の打設も小型の圧入機で行えることから、狭隘なヤードにも適用できます。

切梁を省略した適用例(掘削深さ8m)

切梁を併用した適用例(掘削深さ8m)
適用実績

燕市・弥彦村統合浄水場
場所:新潟県燕市
工期:2020年6月~2025年3月
発注者:燕・弥彦総合事務組合
適用規模:平面寸法19.2m×14.4m、深さ8.2mの掘削工事(土留め全延長67.2mに適用)
学会論文発表実績
- 「開削施工合理化を目指した無支保土留め工法の開発(その1)〜(その3)」,土木学会,第75回年次講演会,2020年
- 「頭部固定式二重土留め工法の地盤変形抑制効果に関する遠心模型実験」,第55回地盤工学研究発表会,2020年
- "Physical and numerical modeling of self-supporting retaining structure using double sheet pile walls",the Second International Conference on Press-in Engineering,2021年
- 「頭部固定式二重土留め工法における効果的な施工条件の検討」,第56回地盤工学研究発表会,2021年
- 「2021開削施工の合理化を目指す頭部固定式二重土留め工法の施工実績」,基礎工,2021年