保存修理の最大の難関は,「素屋根」の構築であった。
延べ9,800名の作業員を動員し,大天守を風雨から護るため,城に工事用の足場を巡らせ,
素屋根と呼ばれる巨大な仮設建物を構築する。
その規模は,鉄骨造,地上8階建てで高さは約52m。
姫路城の地面の下は特別史跡のため杭は打てず,総重量約1,730tにおよぶ鉄骨を
基礎コンクリート約3,080tと砕石720tが支えた。
保存修理を終えると,素屋根の解体が待ち構える。
ボルトを一つも落とせない緊張感のなかで慎重な作業が進められた。
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