保存修理の最大の難関は,「素屋根」の構築であった。
延べ9,800名の作業員を動員し,大天守を風雨から護るため,城に工事用の足場を巡らせ,
素屋根と呼ばれる巨大な仮設建物を構築する。
その規模は,鉄骨造,地上8階建てで高さは約52m。
姫路城の地面の下は特別史跡のため杭は打てず,総重量約1,730tにおよぶ鉄骨を
基礎コンクリート約3,080tと砕石720tが支えた。
保存修理を終えると,素屋根の解体が待ち構える。
ボルトを一つも落とせない緊張感のなかで慎重な作業が進められた。
五重屋根南東面。素屋根により風雨から大天守が護られ,全天候下で作業ができるようになった
大天守の北西面は,梁との距離がもっとも近く,クレーンオペレータと玉掛け職人の密な連携が欠かせなかった
2011年から公開された「天空の白鷺」では,地上7・8階部に見学窓が設置され,大天守を間近に見学できる名所として約184万名の来場者数を記録した