二級河川閉伊川筋藤原地区河川災害復旧(23災662号)水門土木工事
- 場所:
- 岩手県宮古市
- 発注者:
- 岩手県
- 設計:
- ニュージェック
- 施工者:
- 鹿島・大坂・三陸土建特定共同企業体
- 規模:
- 水門工(延長164.4m,津波防御高さTP+10.4m) 防潮堤工226.5m その他付帯設備一式
- 工期:
- 2014年3月~2027年3月
岩手県中央部の山間部に源を発し宮古湾に注ぐ閉伊川(へいがわ)の河口で,津波による被害を低減するための事業が行われている。「閉伊川災害復旧水門工事」である。
閉伊川は,新緑や紅葉美により景勝地として,また大切な水の供給源として地域住民の生活とかかわりが深い。しかし,東日本大震災では津波が閉伊川を逆流し,市街地に大きな被害をもたらした。工事は,海岸沿いに整備される防潮堤と一体となり,津波から市街地を守る水門を新設する。
「底盤から天端まで約40mと国内最大級の水門で,ゲートの下を船が通ることができます。復興のシンボルとして景観にも配慮しています」。現場を指揮する川畑勝所長は水門の特徴をそう説明する。河川幅約160mを左岸側,右岸側と半分ずつ締め切り,船舶の航行を確保しながら工事を進める。1期施工として,左岸側の河川に仮締切を設置し水を抜き,ドライにした状態で3基の堰柱を構築する。津波に耐えられる水門をつくるため,基礎部には左岸側だけで700本以上の杭が打ち込まれる。「工事は一つずつ順を追って進める必要があります。津波で被害を受けた沿岸部の生活を守るため,一日でも早く完成させたいという思いで取り組んでいます」。
秋から冬にかけ,閉伊川では鮭が遡上する。鮎,岩魚,山女魚などの川魚も豊富だ。現場は毎年,近隣の自治会・子供会育成会が主催する閉伊川支流の近内川の稚魚放流会に参加している。「生き物に触れ喜ぶ子どもたちの姿を見ると,改めて私たちも頑張らなくてはと感じます」。川や周辺の自然を守りながら,一歩ずつ,2027年の竣工に向けて工事を進めていく。
現在,現場は過渡期を迎える。1期施工が完了し,いよいよ河川右岸側に仮締切を設置し,残りの2基の堰柱を構築する2期施工に取りかかる。「現場ではさまざまな工種を経験することができます。是非若手社員にも来てもらい,この復興工事をともにやり遂げたいです」。
photo: takuya omura