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ホテルGMに聞く ラッフルズ・バリのホスピタリティ

photo by Anggara Mahendra

1887年にシンガポールで創業し,現在は世界3大ホテルグループ「アコー」の最上級ブランドである「ラッフルズ」。

「自然のなかにどうあるか」を追求したリゾートは,設計段階から,ゲストを誘導するスタッフのオペレーションをすべて細かく検証してデザインに反映していった。そのように完成した空間と,ラッフルズが創業時から受け継いできた最高峰のサービスによる「ラッフルズ・バリ」のホスピタリティとは。ホテルのゼネラル・マネージャー(GM),カーティア・ハーティング氏にうかがった。

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ラッフルズ・バリ ゼネラル・マネージャー
カーティア・ハーティング氏

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伝統のバトラーサービス

「バリ島には数千のホテルがありますが,ラッフルズ・バリは,そのなかでもウルトラ級のラグジュアリー・リゾートです。木々の緑豊かな庭に囲まれ,プライバシーを保ちながら,自然とのつながりを感じられるこの場所は,世界中から訪れるどんな旅行者にとっても初めての体験となるでしょう。そしてラッフルズが培ってきた,贅沢で卓越したサービスを提供します。予約が入った時からゲストには担当のバトラーがつき,宿泊前からコミュニケーションを確立して,家族連れかハネムーンかなど,ゲストの滞在ニーズに合わせて計画した特別なサービスを提供します。スタッフ全員がバトラーの資格を持っており,気持ちの良い滞在を約束します」。

彼らスタッフは,GMとシェフの2人以外は地元のインドネシア人,バリ人だ。地元の人材によって,バリ島の文化と精神的な伝統が守られているという。ホテルには,日本語を話すバトラーも在籍する。「言語は大事です。インドネシア語とバリ語,英語以外に,フランス語,ドイツ語,スペイン語,日本語を話すスタッフが在籍しています。ゲストが多くやってくるのは,英国,米国,カナダ,アラブ首長国連邦,オーストラリア,韓国,シンガポールなど。先日,日本からのゲストも滞在されましたよ」。

自然とつながる

レストラン「ルマリ」や「ライターズ・バー」を置くロビー棟は70mほどの深さがある渓谷の上に建ち,たえず爽やかな風が吹き抜けている。目の前には海が広がり,日没が最もきれいに見える場所として,このロビー棟からレイアウトが考えられていった。

「ルマリはインドネシア語の3つの言葉からできています。ルマ=家,マタハリ=太陽,プルナマ=満月。ちょうどレストランのネーミングを考えている時,ロビーの向こう側に日が沈み,私の後ろに満月が出て明るく輝いたその瞬間から名付けました。また,すべてのヴィラはわずかに北西方向を向き,サンセットの景色を最大限に楽しめるようにしています」。

各施設は暑さと雨が激しいバリ島の気候に備えた機能が重視されている。「バリの伝統的な建築手法で,天井には竹を組み込み,屋根を高く持ち上げる形状で温度上昇を抑えています。サステナブルな観点では,すべてのヴィラはセンサースイッチで電力消費を抑え,水は深い井戸から汲み上げ,使った後はリサイクルして,ガーデンエリアの庭に撒いています。ジンバランの乾季はとても乾燥して暑いので,植物が弱りやすい。水を無駄にしないリサイクル法を活用しています」。

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レストラン「ルマリ(rumari)」で月に2度開催されるサンデー・ブランチには,
シェフの料理に魅せられた常連客が集う

photo by Anggara Mahendra

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図版:シェフ渾身の一皿は香りと食感も豊かで味わい深い

シェフ渾身の一皿は香りと食感も豊かで味わい深い

図版:ルマリのインテリア

ルマリのインテリア

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図版:ライターズ・バー。季節のカクテルも楽しめる

ライターズ・バー。
季節のカクテルも楽しめる

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図版:ミーティング・ルーム。バリをテーマにしたウォルター・スピースの絵画が目を引く(右奥)

ミーティング・ルーム。バリをテーマにした
ウォルター・スピースの絵画が目を引く(右奥)

ラッフルズ・バリの最も美しい時間帯

「いくつもあります。雨季であれば早朝,雨が上がった後,澄みきったバリの空と目の前に見える山々は素晴らしいです。バリの空は百種類にも及ぶ多彩なブルーを表現します。乾季の夏は花々が最も美しい時期。そして満月の夜。月光が自然の上に輝き,木々が特別な陰影を落とします。そして夕日,これは一年中経験できる,まさに魔法のようなマジック・サンセットです」。

盛り付け,香り,味が奏でる一皿

シェフがフロアに出て積極的にゲストと会話する姿も印象的だ。「ゲストは遠くからいらっしゃいます。インドネシアの伝統を駆使し,かつラッフルズのブランドに見合う洗練された料理をお出ししなければいけません。良いシェフを探し回り,シンガポールのレストランでシェフGに出会いました。彼は来る3ヵ月前から地元の小規模な農家にコンタクトを取り,自分の料理のコンセプトを説明して取り入れました。火山灰の豊潤な土壌からつくった野菜や米など80%のローカルな食材に,日本の宮崎牛など,シェフ選り抜きの世界から取り寄せた食材,またファーマーズ・レストランの庭から摘んだハーブや,ホテルで養蜂している採れたてのハチミツを使っています。それら最高の素材を用いた料理は,インドネシアのローカル風味を活かしたフレンチと呼べるものです。フォトジェニックで美しい盛り付けに,ひとたび口にすればその味は,一生の思い出となって記憶に残るでしょう」。

バリ島の自然と文化と伝統をラグジュアリーに享受しながら,最高に寛げる場所。「わが家と思って,このホテルを訪れてください」。

スタッフの温かい出迎えに心身ともに癒やされるだろう。

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ラッフルズ・バリ 料理長
シェフGこと
ガエタン・ビスーズ氏

photo by Anggara Mahendra

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図版:鈴を鳴らすバリの伝統的なスタイルで歓迎するスタッフ

鈴を鳴らすバリの伝統的なスタイルで歓迎するスタッフ。
レセプションは構えすぎない高さでゲストを迎える

photo by Anggara Mahendra

図版:渓谷の上に建つロビー棟

渓谷の上に建つロビー棟

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図版:インフィニティ・プールから海へと続く景観

インフィニティ・プールから海へと続く景観

図版:目の前に渓谷がそびえる「ファーマーズ・レストラン」

目の前に渓谷がそびえる「ファーマーズ・レストラン」

photo by Anggara Mahendra

図版:洞窟のなかの「ケイブ・レストラン」

洞窟のなかの「ケイブ・レストラン」。
自然環境を活かした各レストランは,それぞれに趣向を凝らした
メニューが並ぶ。ケイブではスパも受けられる

photo by Anggara Mahendra

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現地施工会社を束ねて

海外事業本部 本部次長兼開発部長

土山洋一 Yoichi Tsuchiyama

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私は2010年にこのプロジェクトの責任者になりました。現地は当時まだ手付かずで,樹木が茂って方角も定かでなく,どこをどう歩いたのかもわからないような状態でしたが,植生を整えて海への見通しが得られるようになると,ダイナミックで多彩なビューが広がるこの土地のポテンシャルをようやく実感できるようになりました。バリ島にはハイエンドを含む幅広いグレードのホテルが既に立地しているので,そのなかでこのプロジェクトがどのような位置づけを狙うのか,計画者と検討を重ねました。

2014年に現地に事務所を設け,建築許可と土地確定を経て2016年にモックアップとなる客室ヴィラを着工しました。バリ島にはグループの施工会社がないことから,先行するプーケット開発の体制も参考に建設マネジメントチームをつくり,ローカルの複数の施工会社を管理して進めました。初めて事業を行う土地で期待する品質を実現するのに苦労しましたが,取りかかりから10年以上かけて完成した様子を見ると,粘り強くよく頑張ってきたものだと思います。

最高の満足を届ける

ジンバラン・グリーンヒル社 社長

有泉龍之 Tatsuyuki Ariizumi

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2018年より現地の事業会社を率いています。先の見えないコロナ禍中でしたが,昨年12月に無事グランドオープンを迎えることができました。

本リゾートは,立地・環境・デザイン,様々な面で唯一無二といえる素晴らしいポテンシャルを持っています。多くの方々の思いを託された事業の,こうしたポテンシャルを最大限に活かしお客様に最高の満足をお届けする。これがバトンを継いだ私の大きな役割と考え,現地出向の豊原幹さん,堀内正裕さんとともに社内外から多大な支援をいただきながら,事業をつくり上げてきました。

見事なオーシャンビュー,カラフルな草花に彩られたプライベートガーデンに囲まれた美しいヴィラ。波の音に目覚めテラスでの優雅な朝食。プールでひと泳ぎのあと,爽やかなそよ風のなかバレでの心地良いうたたね。暮れなずむ夕日を眺めながら,シェフ選りすぐりの素材で巧みにこしらえた,風味豊かなディナー。

大切な人と至福の時を。ラッフルズ・バリへようこそ!

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