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大階段がいざなう海 AVADINA HILLS

インフィニティ・プール

「アバディーナヒルズ」プロジェクト

場所:
タイ プーケット島
発注者:
アバディーナヒルズ社
敷地面積:
160,000m2
マスタープラン:
ジェームス・ハイアット・スタジオ
基本設計:
坂倉アトリエ
土木設計:
当社土木設計本部
実施設計:
当社建築設計本部
規模:
ヴィラ—RC造 B1~B2,
2F 14戸 総延べ50,700m2
工期:
2011年10月~2020年8月(第1期)
2021年12月~2024年10月予定(第2期)

※アバディーナヒルズ社は,鹿島(バンタオビーチ社)とマイナーインターナショナル社の
50%:50%出資による共同事業会社

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タイのアンダマン海に浮かぶ人気のリゾート地であるプーケット島,西海岸の高台に建つ「アバディーナヒルズ」。KD傘下のバンタオビーチ社が展開するリゾート開発事業で,ラッフルズ・バリに先行するかたちで分譲ヴィラ開発が進められてきた。

16haの丘陵地に,小さいものでも2,000m2を超えるヴィラが,現在までに第1期として11戸完成している。現在,第2期のヴィラ3戸が建設中であるほか,第3期についても具体的な計画が進められている。

当プロジェクトは,アジアを中心に世界各地でホテル・レストラン事業を展開する,ビル・ハイネッケ氏率いるマイナーインターナショナル社との共同事業化により本格化した経緯がある。分譲ヴィラのオーナーは,隣接するアナンタラホテルの各種サービスが受けられ,ホテル敷地内を通ってビーチへのアクセスもできる。

熱帯の植物に彩られ,インフィニティ・プールを設えたヴィラからは海が一望でき,水平方向へと広がる景観が美しい。インテリアは,優雅なプライベート空間のなかに,モダンでありながら落ち着きのあるデザインで構成されている。

第3期は,この広大な自然環境とどのように調和するリゾート空間が生まれるのか,プロジェクトの続報が楽しみである。

図版:メインエントランス

メインエントランス

図版:背の高い熱帯の植物が敷地を彩る

背の高い熱帯の植物が敷地を彩る

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図版:マスタープラン

丘陵地を活かす

アバディーナヒルズは,ドラマティックにアンダマン海を見下ろす急峻な丘陵地に位置する。この敷地の急峻さは計画上ひとつの挑戦であった。この課題を,傾斜に沿って複数の階をもつ水平強調のヴィラデザインによって解決した。

公道からこの敷地への入口は,標高の最も高い位置にある。それぞれのヴィラへの引き込み車道は,前面道路の標高に沿ってスイッチバックするよう設けられている。引き込み車道が景観を損ねないように,周囲の地盤と擁壁を用いて巧みに造成し,また,豊かな植栽で覆うことで視界から隠している。

各ヴィラの玄関は最上階にあり,そこから下3層へとヴィラは展開する。

すべてのヴィラの海に面するガラス引戸は完全に開け放すことができ,内部と外部の連続性を最大限に強調する。

図版:ヴィラ全景

ヴィラ全景

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共同事業でさらなる発展を

マイナーインターナショナル社 会長

ビル・ハイネッケ 氏 William Heinecke

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鹿島がつくり込み,マイナー社が運営・販売を担当するアバディーナヒルズ開発が,競争が厳しいプーケットにおいて類まれな成功を収めているのは,両者の得意分野における専門性が融合し,共同事業の優位性を発揮しているからです。このアナンタラ・ブランドの高級リゾートヴィラ開発のプラットフォームとパートナーシップ関係を発展させ,新たなプロジェクトにともに挑戦していきます。

リゾートの高みへ

常務執行役員/カジマ・デベロップメント 社長

大石修一 Shuichi Oishi

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世界中でホテル運営を展開し,特にアジアでは高級リゾート開発で実績のあるマイナー社のビル・ハイネッケ氏が,アバディーナヒルズ開発の立地の良さと品質の高さに驚き,プーケットにおける鹿島との共同事業化を申し入れてきたのは,2015年のことだった。

ハイネッケ氏は週末プライベートジェットでプーケットを訪れ,自ら販売の陣頭指揮を執る。来訪者を夕刻からサンセット・クルーズに誘い,その後試泊するヴィラのプールサイドで夕食会を開催するという我々にはマネのできない営業で,10億円超のヴィラを易々と売る。鹿島側とハイネッケ氏は,外海と湖を水路でつなぎ湖内にマリーナをつくるプランで意気投合した。次期開発では,ここにウェルネス系リゾートホテルを計画中である。

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鹿島の総合力でなしえた

バンタオビーチ社 社長

廣石康一郎 Koichiro Hiroishi

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アバディーナヒルズ開発は,2007年にマスタープランを開始し,2011年から建設に着手しました。16haの緑豊かな丘陵地にプール付きのヴィラがゆったりと建ち並び,各ヴィラからはバンタオビーチの弓型の海岸線と,そこにたえず押し寄せる白波が飽きることのない眺望を生んでいます。まさに南国の高級リゾートそのもので,第1期,第2期分譲14戸はほぼ完売状態です。

開発当初,草木が深々と生い茂る道ひとつない丘陵地を,設計者とともに大汗をかきながら歩き回ったことを回想すると感慨深いです。計画から完成まで十数年を要しましたが,その間,関係各部署からの多大なご支援ご協力があり,まさに鹿島の総合力が発揮されたプロジェクトです。

ドラマティックな空間構成

建築設計統括グループ
チーフアーキテクト

木俣敦子 Atsuko Kimata

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アバディーナヒルズは,アンダマン海を臨む丘陵地というロケーションを最大限に活かした,ドラマティックな空間構成を最大の特徴とする。

木々に見え隠れする,プーケット島の伝統的な石積みのゲートから門扉が開くと,2つのゲストルーム棟の間に広がる大階段と,空ととけこむ水盤がゲストを迎える。誘われるように大階段を下っていくと,海とつながるインフィニティ・プール・ジャクージ,サラと呼ばれるあずまや,プールサイドと一体につながるリビング,ダイニングの開放的な空間が現れる。熱帯の特徴的な植物を個室群の間に魅力的に配し,隣地と隔絶されたリゾートらしい安らぎの空間を創出した。

当社建築設計本部は,坂倉アトリエによる基本計画をベースに実施設計を行い,家具・ファブリック・アートワークも建築とともに設計コンセプトを表現するものとして,協働して選定してきた。タイの工芸品の伝統的なテイストを取り入れつつ,日本レベルの施工の繊細さ,ディテールの洗練を加えることで,これまでの高級ヴィラとは一線を画した,完成度の高いモダンでラグジュアリーな空間となっている。

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図版:プールとバレを完備したプライベートガーデン

棟の間に広がる大階段

図版:水平方向へと空間が広がるリビングルーム

水平方向へと空間が広がるリビングルーム

図版:インフィニティ・プールの景観

インフィニティ・プールの景観

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