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特集 福島第一原子力発電所の廃炉 ―1号機・2号機の燃料取り出しに向けて―

全社を挙げた福島第一原子力発電所の廃炉への取組みが12年を過ぎた。
30年から40年続く廃炉への道のり。すべてが初の試みとなる重要な作業であり,
一つの作業の終わりは,次の作業の始まりとなる。
当社は現在,福島第一原子力発電所の1号機と2号機の燃料取り出しに向けたステップの一つを担う。
高線量という環境下で,より安全・安心なプロジェクト遂行に挑む当社の最前線を紹介する。

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廃炉のいま

福島第一原子力発電所では,国が計画する「東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所の
廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」をもとに廃炉作業が進められている。
長期にわたる前例のない取組みは,多くの関係会社が力を合わせ,着実に前進している。

廃炉措置に向けた中長期ロードマップ

「東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた
中長期ロードマップ」(2019年12月27日改訂)をもとに作成。
ロードマップは現場の状況などを踏まえて,継続的な見直しが行われている

汚染水対策

汚染水は山側から海側に流れている地下水や降雨による雨水などが原子炉建屋などに流れ込み,建屋の放射性物質を含む水と混ざることなどで増加する。1日に発生する汚染水の量を減らすため,建屋まわりの土壌を凍結し地下水を建屋に近づけさせない陸側遮水壁(当社施工,今も維持管理業務を担う)や,サブドレンと呼ばれる井戸の設置などの対策を講じ,2014年度に約540m3/日だった発生量は,2022年度には約90m3/日と6分の1程度にまで減少した。

日々発生する汚染水は,多核種除去設備などにより浄化処理される。

労働環境の改善

敷地舗装やガレキの撤去が進んだことで放射線量が低減し,2018年には敷地面積の約96%で一般作業服での作業が可能となっている。1〜4号機原子炉建屋から約100mの場所にある高台では,防護装備不要で視察ができる。また,作業員用の大型休憩所には食堂やコンビニエンスストア,シャワー室なども完備されている。

廃棄物の処理処分

廃炉作業で発生する廃棄物はすべて構内で保管されている。現在,新たな大型廃棄物保管庫の建設が進められているほか,可燃物は焼却,金属・コンクリートは減容するなど,可能な限り廃棄物の量を低減させている。

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多核種除去設備等処理水
(ALPS処理水)の取扱い

現在,敷地内でALPS(アルプス)処理水などを保管するタンクは1,000基を超える。国が決定した方針を踏まえ,ALPS処理水の海洋放出に向けた準備が進められている。

※トリチウム以外の放射性物質が安全に関する規制基準値を確実に下回るまで,多核種除去設備などで浄化処理した水

燃料取り出し

原子炉建屋内の使用済燃料プールに残されていた燃料の取り出しは,建屋の水素爆発による損傷の有無や建屋周辺の状況,建屋内の線量など号機ごとに状況が異なるため,それぞれ検討された工法で作業が進められている。

使用済燃料プールからの燃料取り出し状況

燃料デブリ取り出し

原子炉格納容器内に溶け落ち,冷えて固まった燃料デブリの取り出しは,廃炉作業の中でも最難関作業となる。現在格納容器の内部調査や2号機からの試験的な取り出し作業の準備が進められている。

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