ホーム > KAJIMAダイジェスト > July 2018:特集「鹿島働き方改革」 > 鹿島働き方改革始動

KAJIMAダイジェスト

鹿島働き方改革始動

持続的な成長に向けて

こうした状況を受け,各社の具体的な取組みに注目が集まるなか,当社は2017年度に「鹿島働き方改革」の骨子をまとめ,具体的な施策を策定し,鹿島グループ中期経営計画(2018~2020)がスタートした今年度から「新しい働き方」を実行している。

当社の働き方改革は,協力会社の意見を最大限反映させることに注力している。これは,ゼネコンという業態は,協力会社の発展があってこそ成り立つと考えているからだ。新たな中期経営計画はESG(環境・社会・ガバナンス)を重視しており,S(社会)のなかで,協力会社の就労環境改善や賃金の維持・向上,教育訓練などを挙げている。働き方改革の推進は,当社そして建設業界が将来にわたり持続的に成長していくために,必要不可欠な投資だと認識することが重要だ。

鹿島働き方改革の本質

その投資のための原資は,現場の生産性向上から生み出される。全社的なR&Dの積極的推進に加え,肝要なのが現場ごとに実施する業務の効率化である。所長自ら旗振り役となって創意工夫を凝らし,施工の合理化を図り,それを全社へ水平展開していく。こうした取組みは,働き方改革実現への大きな推進力となる。また,鹿島働き方改革の本質は,協力会社と継続的かつ積極的に対話しながら,「担い手確保のために鹿島ができる協力会社へのサービス」について様々な施策を検討していくことにある。具体的に改革を推進するにあたっては「4週8閉所に取り組みながら工程を守り,建設技能者の所得は4週4閉所と同じ水準を確保する」ことを重要なテーマとした。これにより次世代を担う若手が希望の職種として建設業を選び,長く働いてもらえることにつながるからだ。

以上のことを前提に,当初から「4週8閉所」を目標に掲げ,下に示した行動計画のとおり,「週休2日実施率」を指標とし,2021年度末までに実施率を100%とすることを目指す(特殊な条件の現場は例外)。施工環境や制約条件による違いが大きい各現場に,「週休2日」を一律的にあてはめることは困難であり,実状に合わせて働き方改革を推進する。

改ページ

図版:鹿島働き方改革の重要テーマ

鹿島働き方改革の重要テーマ
現業部門の働き方改革を推進するために,生産性を上げて,「4週8閉所に取り組みながら工程を守り,建設技能者の所得は4週4閉所と同じ水準を確保する」

現場特性に応じた取組み

改革を実現するには,現場ごとの様々な制約条件を勘案して「週休2日」,またはそれに相当する年間104日(104日≒365×2/7)の閉所を協力会社とともに目指していくことが重要だ。各現場の特性に応じて,知恵を絞っていく必要がある。

計画段階から土日を中心とした閉所計画を策定し,工期を守りながら「週休2日」を実現していくことが理想的である。しかし,雪や渇水期などの気象条件により1年のうち一定期間に集中して施工する必要がある現場,リニューアル工事などで土日作業が求められる現場があるのも実状だ。その場合,平日閉所や大型連休・夏季・年末年始などに集中して長期閉所を行い年間104日の閉所を実現する工夫が求められる。

一方で,超短工期での施工要請がある工事や災害対応など公共性が高い工事のほか,4週8閉所を前提とせずに入手した“手持ち工事”では閉所が難しい。このような条件下では,休暇を交代で取得し,年間104日の「休日」取得を実現していく努力が必要である。

各現場では,技能労働者の収入確保・向上に配慮しながら,こうした創意工夫により「週休2日」に挑戦していくことになる。さらに,土木・建築の各部門では具体的な実施項目を描き,工期や予定とすり合わせながら閉所実績を重ねていく。

建設キャリアアップシステムについては,技能労働者の処遇改善,次世代の担い手確保のため,今年秋以降,全現場で展開していく考えだ。

改ページ

図版:鹿島働き方改革の行動計

鹿島働き方改革の行動計画

土木の働き方改革

工種ごとのきめ細かなフォロー

土木部門では,担い手を確保するためには技能労働者の「休日確保」と「賃金アップ」が必要との基本的な考えのもと,改革が進められている。生産性向上により競争力強化やコスト削減を図り,そこから得られた利益を協力会社の処遇改善への原資としていく。

土木工事は工種ごとの閉所形態や取組みが大きく異なることから全社や全工種共通の目標に加え,工種ごとの特殊性に考慮したチャレンジ項目と数値目標を設定し,「閉所(休日)」「賃金」「生産性向上率」の3点からフォローしていく。作業工程の特徴に合わせ,休み方や人員配置などきめ細かなフォローを行う予定である。具体的な実施項目は,契約関連から優良協力会社への支援,自助努力による生産性向上,発注者や一般社会への理解促進,好事例の水平展開など幅広い内容となる。

写真:工種ごとのきめ細かなフォロー

改ページ

図版:土木部門における主なアクション(中期経営計画期間[2018~2020])

改ページ

建築の働き方改革

全社一体の取組みや部署間連携を強化

建築部門では,全社一体での取組みや部署間連携をさらに強化し,改革を推し進める。営業・設計・施工・本社の各部門が,役割分担を明確化し,生産性向上に向けた取組みを加速させ,週休2日を実現していく。

生産性向上のための主要な取組みは,2017年度から推進している「KTMS-2017」が柱となる。上流からのリスク抽出と新業務標準の創り込みを行い,「業務標準の見直し」「ICTツールの活用」「労務3割削減」の3つの施策を確実に実施し,働き方改革と生産性向上を進める。また,次世代建設生産システムの構築により,設計・施工の現場稼働日数17%短縮に挑戦するほか,様々な建築情報基盤データの定義を明確にして蓄積,エビデンスに基づいた評価などにも積極的に取り組んでいく。

*KTMS:建築工事Total Management System

写真:全社一体の取組みや部署間連携を強化

図版:建築部門における主なアクション(中期経営計画期間[2018~2020])

改ページ

人事の諸制度

さらに,全社員を対象に2018年度中の導入に向けた具体的な人事諸制度の拡充策が現在検討されている。社員一人ひとりが活力をもって働ける職場環境を整備し,職場の繁忙・特性を考慮した柔軟な働き方を推進するために,所属長裁量制,時間単位年休,勤務間インターバル制度,在宅勤務制度,退職者復帰制度などについて検討し,2018年度中の導入を目指す。

ホーム > KAJIMAダイジェスト > July 2018:特集「鹿島働き方改革」 > 鹿島働き方改革始動

ページのトップへ戻る

ページの先頭へ