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ケミカルグラウト

GEO Challenger 技術革新で社会の課題に挑戦しつづける

ケミカルグラウト株式会社
東京都港区虎ノ門2-2-5
共同通信会館3階
Tel.03-5575-0511
HP: https://www.chemicalgrout.co.jp/

大地と対話し,
様々な課題に対応する
地下の総合エンジニアリング

ケミカルグラウトは,1963年,鹿島守之助社長と石川六郎副社長(役職は鹿島建設当時)が見通した「これからの都市は,天に高く地中に深く進展していく」との先見性のもと,超高層化していく都市を支え,また大深度化・複雑化するインフラストラクチャー整備のための地下技術を担う専門会社として,鹿島建設の技術開発部門から分離,独立し創立。初代石川六郎社長の掲げた「世界一の地盤改良技術をもつ会社」を目標に,「技術立社」を社是として技術導入・技術開発を重ね,地盤改良のみならず幅広い工法を保有し,地下工事に関して土木・建築問わず様々なソリューションを提供できる「地下の総合エンジニアリング®」会社となった。

本年1月に創立60周年を迎え,コーポレートアイデンティティに“GEO Challenger®”を掲げた。初心を忘れず進取の精神と積み重ねた技術力で社会の課題の解決に向け,これからも挑戦しつづける。

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技術センター

鹿島テクニカルセンター(横浜市鶴見区)に隣接するケミカルグラウト・技術センターは,2019年9月に事務所棟を,2023年3月に工場棟を建替え,さらなる技術革新を目指した施設として新たに整備された。

工場棟は当社保有施工機械や特殊装置の整備・保管をメインに行い,トラックが直接乗り入れられるように作業空間を広げ,レール式電動ラックを導入するなど,誰もが働きやすい作業環境へと生まれ変わった。

また,工場内に大型の実験用ピットなどの設備・スペースを設け,実大実験や各種特殊装置の製作・検査・管理も行っている。工場周囲に緑地を配置するなど,近隣への景観向上・騒音低減を図っている。

事務所棟内の開発実験室には各種実験装置・計測機器を備え,なかでも低温作業室や超低温域恒温槽などの低温設備を使い,セメントを使わない環境配慮型の地盤改良工法として注目されているアイスクリート®工法(新地盤凍結工法)をさらに高度化する研究開発を進めている。

同棟内の環境実験室には,ガスの成分を分析するガスクロマトグラフやガスクロマトグラフ質量分析計,リアルタイムPCRなどの装置を導入し,自社内で素早くかつ高精度で分析を行い,原位置土壌浄化工法であるバイオジェット®工法を始めとするバイオを使った研究開発を進めている。

技術センターは持続可能な社会の実現を目指し,ケミカルグラウトの技術を支える拠点として活躍している。

図版:事務所棟エントランス

事務所棟エントランス

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図版:開発実験室:低温作業室内部

開発実験室:低温作業室内部

図版:環境実験室:ガスクロマトグラフ質量分析計

環境実験室:ガスクロマトグラフ質量分析計

建築で活躍する
ケミカルグラウトの技術

土木分野で培ったケミカルグラウトの技術は建築分野でも活用されている。様々な技術の中でも代表する特殊技術について紹介する。

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エコタイト-S工法

地盤改良には地中で液体の固化材料を高圧で噴射し, 土と混合撹拌して固結体を造成する高圧噴射撹拌工法がある。そのうち,「エコタイト-S工法」は建物の本設基礎に適用できる高圧噴射撹拌工法として唯一GBRCの建築技術性能証明を取得している。小型施工機により狭隘部, 低空頭部での施工が可能で, 既設建物の耐震補強や液状化対策, 解体中建物の地下階から先行して基礎を築造するなど, 自由度の高い施工が可能となる。

*GBRC:一般財団法人日本建築総合試験所

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図版:狭隘な建物内部でも既設建物直下の対策を可能とする施工機

狭隘な建物内部でも
既設建物直下の対策を可能とする施工機

RC地中連続壁・CRM工法

「RC地中連続壁工法」は,地中に剛性の高い本設利用可能な鉄筋コンクリート壁を構築し,大深度化する建築工事で有効とされる工法。
「CRM工法」は, RC地中連続壁工法の掘削手法を用い,掘削した残土にセメントミルクを混ぜ再利用する工法で,山留め壁の造成に活用する。

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図版:CMX-SE掘削機。大深度,大断面の大規模RC連続壁から都市部の狭隘地など,幅広く施工する回転式掘削機

CMX-SE掘削機。大深度,大断面の大規模RC連続壁から都市部の狭隘地など,幅広く施工する回転式掘削機

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耐高水圧アンカー工法

高い水圧下において通常のアンカー施工を行った際, 多量の土砂が噴出し, 地盤の陥没や, アンカーの引抜けなどの事象が発生する場合がある。「耐高水圧アンカー工法」は, 特殊な止水装置と施工手順で水・土砂の噴出を防ぎ周辺環境に悪影響を及ぼさない特長を持つ。そのため重要構造物近接での施工に有効で, 実績も多数有する。

図版:対策を行わない場合(通常アンカー)で,水が噴出した例

対策を行わない場合(通常アンカー)で,水が噴出した例

図版:特殊止水パッカーによる耐高水圧仕様でのアンカー施工

特殊止水パッカーによる耐高水圧仕様でのアンカー施工

施工実績

豊橋駅前大通二丁目地区 
第一種市街地再開発事業
施設建築物
西棟新築工事
(エコタイト-S工法)
(愛知県豊橋市)

解体・新築工事の基礎部施工において,既存杭が残置可能で,上部階の解体作業と並行して地下1階および1階から小型施工機で施工可能な,「エコタイト-S工法」を採用することにより,工期短縮を実現した。また,施工時に発生する余剰固化材の品質を適切に管理し「埋戻し充填材」として有効利用することで,廃棄物を抑制し,コスト縮減を可能とした。鹿島の第71回技術並びに経営合理化研究会(建築部門)で余剰固化材を再利用し,環境負荷を低減する新工法が評価され審査員特別賞を受賞した。

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銀座六丁目10地区
第一種市街地 再開発事業
(CRM工法)
(東京都中央区)

銀座エリア最大の商業施設「GINZA SIX」。建物は地下6階・地上13階建て,地下深さは約34.5mで大深度掘削を伴う大規模再開発工事だった。地下水位が深さ10.9mであることから,山留め壁を難透水層まで貫入させ,掘削時にドライな環境を確保するため,壁深さ65m超の施工が可能で,遮水性・壁の鉛直性に優れ,掘削土砂を再利用しソイル壁が打設できる「CRM工法」が採用された。優れた地中連続壁の構築を実現し,地下工事の品質・工期・安全を確立した。

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福ビル街区建替プロジェクト
(耐高水圧アンカー工法)
(福岡市中央区)

当初の山留め支保工は全面切梁が計画されていた。しかし新築建屋の床付けに長辺方向でレベル差があることから,切梁支保工を不合理な収まりで架設せざるを得ない状況だった。これを解消するため下段切梁を「耐高水圧アンカー」へ変更し,山留め支保工の合理化を図った。グラウンドアンカー導入により切梁部材の削減,地下施工スペースの拡大による作業性および安全性の向上に寄与した。

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