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KAJIMA TECHNICAL CENTER

研修生活を通して得たもの

鹿島テクニカルセンターでは早速,建築施工系の若手社員を対象とした集合研修が行われた。
研修生たちは実務研修とグループワークなどを通し,様々な技術を習得する。
ここでは,実際に行われた研修内容を写真とともに追っていく。
写真

photo: 大村拓也

「まるごと現物教材」での
生活を通して

研修は,5日間の日程で行われた。全国の現場や支店管理部門など様々な勤務地で業務にあたる研修生たちは,技術を学ぶだけでなく,同期入社の社員や講師と会する貴重な時間も過ごす。講師は本社や全国の各支店から選定された中堅以上の社員が行う。

全体講義を通して知識を深め,班ごとのグループワークで意見を出し合うとともに,モックアップを使った実務研修を行うことで技術の習得にも励む。S造,PCa造,在来RC造など各種構造に加えて外装や制震・免震のモックアップを設置。配筋や型枠支保工,杭鉄筋の納まりなどを含めて,研修生が目で見て直接触れることで学びを深めていく。また協力会社の方も講師に迎え,足場や鉄筋の組立も実践する。資材の搬入から実際の組立まで,研修生をフォローする協力会社の方との連携プレーを通じて,技術習得だけでなく,現場を運営していく上での人と人の繋がりも同時に学ぶ。

昼食や夕食時は,各々自由に集まり,交流が活発になる時間。普段会うことのできない仲間と語らう時間は,今後もかけがえのない経験として残っていく。研修生活全てを通し五感で習得したものを,研修生がそれぞれの勤務地へ戻った後,実務に活かし,そしてまた,研修に来た時には,新たな技術を習得し成長していく。

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図版:2階ワークショップではグループワークが行われている

2階ワークショップではグループワークが行われている

photo: 大村拓也
図版:全体講義

全体講義

photo: 大村拓也
図版:モックアップ研修(在来RC造)

モックアップ研修(在来RC造)

photo: 大村拓也
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図版:協力会社の方を講師に迎え,鉄筋を組み立てる

協力会社の方を講師に迎え,鉄筋を組み立てる

photo: 大村拓也

Message

写真

建築管理本部 
専任部長
鹿島テクニカル
センター
校長

中地 啓

photo: takuya omura

「中地さん,ダメだよ,やり直し!」。新入社員時代,一度は経験してみようと壁型枠の加工を手伝っていたら,職長からダメ出しを言い渡されました。型枠ベニヤの端部と桟木の1mmずらしを知らずに釘打ちし組立てていました。この1mmずらしが,型枠の精度を確保するためのキーポイントであることを後で知り,以来職人さんたちの作業を5分間見ることにしました。このダメ出しが,私の現場監督としてのスタートだったと思っています。

鹿島テクニカルセンターは,実体験を通じて,「FEEL & THINK:五感で感じ,しっかり考える」をコンセプトに企画され,2023年4月からオープンとなりました。新入社員は,鉄筋,型枠,足場の組立,測量,コンクリート混練などの経験を通じ,資機材の重さや材質を感じてもらいます。2年次~6年次社員はS造,PCa造,在来RC造,免震・制震装置,外装,設備のモックアップで間違い探しや納まりを学び,これら実体験研修を通じ,安全管理・衛生管理も併せて学んでもらいます。グループ討議のエリアは2階に9区画用意され,モックアップを見ながら討議できるようになっています。失敗事例を扱ったKZギャラリーも準備されていて,7年次~13年次社員は施設全体を使いながらマネジメント研修を受講してもらいます。

技術研修以外の時間も常に考え行動する必要があります。朝食のパンは10種類,昼食・夕食メニューは3種類からの選択制になっています。食事・語らいの場として雰囲気の違うラウンジが3~5階に用意されています。研修中の生活そのものが考えて感じることになります。

私は技術力の向上,仲間意識の高揚とともに,一人ひとりが社会人として成長するよう促します。「挨拶をしっかり,時間を守ろう,日誌記入」を研修生に語り掛け,人間形成に繋げてもらいたいと思います。鹿島テクニカルセンターでの研修生活を起点に,社業の発展に寄与し,社会貢献してくれることを期待しています。

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Column

「GREEN KAJIMA」
体現する施設

鹿島グループは緑化マネジメント「GREEN KAJIMA」として長きにわたり山林や緑地の施工・管理を行い,業界に先駆けランドスケープ部門も設置するなど,常に緑と向き合ってきた。

当施設では,当社が保有する宮崎県の清蔵ヶ内山林から針葉樹のスギ材をCLTに,鹿島グループのかたばみ興業が保有する北海道の尺別山林から広葉樹であるハルニレ,ミズナラ,ダケカンバ,ヤチダモの4種類を伐採し,集成材として造作家具に用いている。

また3つの緑化システムを取り入れた。独自に開発した「DEWレインガーデンTM」は,現地掘削土に保水性に優れた土壌資材を配合し,保水性・浸透性を調整することで様々な環境で生育する幅広い種類の植物を選択可能とし,その花を求め生き物が集まることで生物多様性も実現する。山崎産業(大阪市浪速区)と共同研究開発した「緑彩マルチパネル®.RT」は灌水に雨水を利用する雨水貯留パネル型の壁面緑化システムで,雨水が不足する場合のみ,上水を灌水する節水型システム。加えて,雨水貯留とヒートアイランド現象緩和効果を高める屋上緑化用技術「エバクールガーデン®」は,当社が開発した軽量で保水能力の高い基盤材「ケイソイル」を土壌に用い,高い雨水貯留効果を実現する。

Cross Laminated Timber
ひき板を繊維方向が直交するように積層した木質系材料

図版:ハルニレの宿泊室

ハルニレの宿泊室

photo: エスエス 島尾望

図版:DEWレインガーデン

DEWレインガーデン

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CLTを採用した宿泊室

全81部屋の宿泊室のうち,在来工法の53室は1面にCLT耐震壁を使用し,28室は日本初となる「フライングボックス工法®」で施工した。床を除く5面にCLTパネルを使用し,屋内地上部でPC床版にCLTパネルの壁と天井を組み立て,内装まで仕上げた後,揚重して所定の位置に設置。施工時には,外装取付アシストマシン「マイティフェザー®」やタワークレーン遠隔操縦システム「TawaRemo®」などの「鹿島スマート生産」を活用し,施工時から当社の技術を駆使した施設となっている。

図版:フライングボックス工法で部屋ごと揚重

フライングボックス工法で部屋ごと揚重

GREEN KAJIMA

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