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発掘!旬の社員

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互いに高め合いながら
洋上風力の最前線を走る

「洋上風力の鹿島」を目指して
集合写真

photo: takuya omura

山下伸幸(左)

やました・のぶゆき/鹿児島県出身/
農学研究科 地域環境科学専攻 修了

土木設計本部 構造設計部
再生可能エネルギー第1グループ 設計主任

2016年入社。土木設計本部臨海エネルギー施設グループに配属,中防内5号線橋りょう(現:海の森大橋)の詳細設計・現場支援を担当。2018年10月から東北支店閉伊川水門工事事務所で,水門本設の基礎工およびコンクリート躯体工の施工管理に従事,躯体工では主に配筋検査や打設計画等を担当。2020年10月より現職。ゼネコンの中でも当社のパイオニア的な存在にあこがれ入社を希望した。趣味は料理,バスケなど。

征矢陽光(右)

そや・ようこう/東京都出身/
理工学研究科 土木工学専攻 修了

土木設計本部 構造設計部
再生可能エネルギー第1グループ 設計主任

2017年入社。土木設計本部地盤基礎設計部鉄道・基礎グループに配属され,現場の仮設構造物の設計や橋りょう工事関連の技術開発に従事。2019年4月から東京土木支店で,外環中央JCT北側ランプと横環南公田笠間トンネルの地下掘削工・擁壁構築工の施工管理を行う。2020年4月からはJR渋谷駅改良北工区で鉄骨架設工の施工管理を担当。2022年1月より現職。趣味はフットサル,キャンプ,ドライブなど。

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新しい設計手法を取り入れた挑戦

洋上風力発電は,再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札として大きな期待が寄せられている。当社は,約30年前から陸上風力発電施設の建設工事を手掛け,2013年には千葉県銚子沖に国内初となる着床式洋上風力発電設備を完成させた。続いて2022年,国内初の商用事業となる秋田港・能代港洋上風力発電施設に全33基の風車据付を完了。現在は再エネ海域利用法*1に基づく促進区域においてラウンド1*2の3海域すべての建設工事に優先交渉権者として参画している。

*1 海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律

*2 再エネ海域利用法に基づく促進区域の第1回公募(「秋田県能代市,三種町および男鹿市沖」「秋田県由利本荘市沖」「千葉県銚子市沖」)

土木設計本部構造設計部再生可能エネルギー第1グループでは,ラウンド1のウィンドファーム認証取得のための事業者支援および基礎構造物の詳細設計を行っている。同グループの山下伸幸設計主任は,風車基礎の設計業務フローの計画立案を担当。設計の順序や期間を決め,効率的な業務フローを組み,必要な作業に漏れがないかを検証する。

「洋上風力と一口に言ってもさまざまな分野が絡みます。風や波などのあらゆる自然条件や地盤条件を適切に評価し,風車基礎を設計する必要があります。また,附帯設備,ケーブル,洗掘防止工などの設計との取合いも考慮し,それらがどのようにかかわってくるかを把握することが重要です」。

山下さんは,そのほかに地盤調査の事業者支援,耐震の設計方針協議なども担当する。「ラウンド1では地盤の評価にヨーロッパの新しい設計手法を取り入れ,より合理的な風車基礎設計に挑戦しています」。一方,ヨーロッパでは発展途上の耐震設計に関しては,国内の設計技術を組み込む必要がある。「日本と海外における設計プロセスのインターフェースを考慮しながら,設計方針を立案・調整することが技術的な課題となっています」。

鹿島守之助元会長の「事業成功の秘訣二十ヵ条」の第二十条『仕事を道楽とせよ』が好きな言葉だという山下さん。「新しいことへのチャレンジで知的好奇心が満たされることに仕事の楽しみを見出しています」。

プライベート写真

週末には言葉を覚えたての3歳の長女と昨年11月に生まれた次女の2人を連れ,家族で公園や街へ出かける山下さん。昨年11月から2ヵ月間の育休をとり,今年1月から仕事に復帰。奥さんの誕生日にはケーキを焼くなど,料理の腕前は本格的なもの。趣味のバスケットボールは子どもが大きくなるまでしばらくおあずけだという。

鹿島の総合力で対応する

新構造の技術開発を担当する同グループの征矢陽光設計主任は,風車基礎部材の新たな接合技術「スリップジョイント」の研究・開発を行った。

「ちょうどコップを逆さにして2つ重ねたような構造です。接合部分にはボルトもグラウトも使いません」。

スリップジョイントは海外で開発された技術だが,地震の多い日本で導入するためには耐震性の検証が必要になる。実証実験は実際の4分の1となる高さ約40mのタワーを造って行った。「初めての経験で,なにもわからないところからのスタートでした。共同開発者である小堀鐸二研究所のご協力はもちろんのこと,加えて,土木設計本部の他グループや土木管理本部,技術研究所などにも協力してもらい,部署間の垣根なく知見やノウハウを結集して対応できたことに『鹿島の総合力』を感じました」。JR渋谷駅での鋼構造の架設工で培った人脈と経験も役立ったという征矢さん。昨年1月から実験の計画が始まり,試験体の設計,施工,計測まで約1年という短期間で完了させた。

洋上風力の業界は日進月歩で新しい技術が開発されていく。「なにごともスピードが求められます。大変ですが,そこが醍醐味でもあります」と征矢さんは仕事の魅力を語る。

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プライベート写真

学生時代はアメリカンフットボールをしていたという征矢さん。休日はキャンプやフットサルなどをして過ごすことが多い。身体づくりのため早朝にジムで筋トレをして整えてから出社するという。最近は,2年前に購入した2シーターのオープンカーでドライブすることを楽しみにしている。写真は友人と箱根へ行ったときのもの。

洋上風力のトップランナーとして

日本は海に囲まれ,世界第6位の面積となる排他的経済水域(EEZ)を誇ることから,洋上風力に関して高いポテンシャルを持つ。だがその技術は世界的に見ると,まだまだ遅れているという山下さん。「国内の洋上風力事業は今後ますます期待されていくでしょう。鹿島がパイオニアに成り得るマーケットであり,土木事業の核になる可能性があります」。

征矢さんは「これまで当社が沖合空港や洋上備蓄基地など多くの海洋工事で培った技術と経験を融合することで,今後本格化していく洋上風力事業の発展に貢献できると思います」とトップランナーとしての意気込みを語る。

山下さんは,征矢さんの魅力をはつらつとしていて推進力があるところだという。「短期間で実験をまとめたのは,彼だから成しえたこと」とその手腕を評価する。征矢さんは,海外エンジニアとも積極的にコミュニケーションを取る先輩・山下さんの姿を見て,「エンジニアの鑑として背中を追いかけていきたい人です」とあこがれを抱く。

征矢さんは担当していた実験が終了し,4月から山下さんと同じプロジェクトチームに参加する。これからは互いに高め合いながら,最前線でプロジェクトを進めていくことになる。

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