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特集 技術研究所 本館完成

戦後間もない1949年,東京都中央区の永代橋近くに創立された当社技術研究所は,建設業界初の技術研究所である。
技術研究所は,1956年,研究施設を拡充するために東京都調布市飛田給(とびたきゅう)に移転。
以後,西調布実験場,葉山水域環境実験場,検見川緑化実験場と実験の特性に適した地域にも拠点を設け,
次世代を見据えた研究技術開発に積極的に挑戦してきた。その成果は,国内初の超高層ビル・霞が関ビルや
青函トンネル,明石海峡大橋などの建設に現れ,豊かな国土の創出と社会発展を支えてきた。
創立から60年余り——激しく変化する時代の要請に応えるために推進してきた飛田給地区の再構築計画が完了した。
本館を構成する研究棟と実験棟に,最先端の研究拠点に研究者が集い,さらなる研究成果を創出していく。
この特集では,当社研究技術開発の中枢として整備された「技術研究所 本館」を紹介する。

写真:Kajima Technical Research Institute

①実験棟外観 ②研究棟1Fエントランスホール ③研究棟オフィスフロア縁側打合せスペース ④研究棟屋上 ⑤研究棟を品川通りから望む ⑥研究棟1Fエントランス打合せコーナー ⑦飛田給地区を上空から ⑧研究棟外観

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建物概要

技術研究所 本館 研究棟

場所:
東京都調布市飛田給
設計:
当社建築設計本部
規模:
RC造 B1,5F 延べ8,914m2
2011年10月竣工
(東京建築支店施工)

技術研究所 本館 実験棟

場所:
東京都調布市飛田給
設計:
当社建築設計本部
規模:
RC造一部S造 B2,4F 延べ7,007m2
2008年12月竣工
(東京建築支店施工)

本館建替計画

技術研究所の新拠点「技術研究所 本館」が設けられたのは,京王線・飛田給駅の南側に隣接する敷地。飛田給地区ではこれまで,13のグループが5棟の施設に分かれて研究技術開発を行ってきた。本館はこれらを集約した「研究棟」と「実験棟」の2棟で構成され,品川通りを挟んで向かいあう。

建替計画が本格的に始動したのは2005年。計画推進は,TBK(飛田給)プロジェクトグループが中心となり,コンセプトメイクから多数の研究員が参画している。「知識創造」「技術の鹿島」「地域と共に」をコンセプトの柱に据えて計画を立案し,建築設計本部が設計を担当してその計画を具現化した。2008年12月に,飛田給地区の実験機能を集約し高度化した実験棟が完成。2009年4月に運用を開始して最先端の実験が行われている。

そして,2011年10月,研究者のオフィスである研究棟が完成した。環境に配慮した技術を多数用い,従来比でエネルギー消費量50%削減を実現。CASBEE(建築環境総合性能評価システム)で国内過去最高の環境性能評価を獲得した。地下1階に最大260名を収容できる大会議室を配置。1階にはプレゼンテーションルームや全社の技術情報を集約する技術情報センターなどが入る。2階から5階のオフィスフロアには会議室や打合せスペースを充実させ,研究者がコミュニケーションを図れる場を設けた。

次ページからは,3つのコンセプトを軸に技術研究所 本館 研究棟を紹介する。

図:The three concepts

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国内過去最高の環境性能評価を獲得

研究棟が,CASBEE2010年版でSランクの第三者認証を取得。環境効率を表わすBEE値では過去最高値の8.3を獲得した。

この認証制度は,建築物の環境性能を公的に評価・格付するもの。省エネ・省資源・リサイクル性能のような環境負荷低減とともに,室内の快適性や景観への配慮といった環境品質・周辺環境への影響も含めた建築環境性能の総合評価制度。環境を重視した地区整備計画,オフィス機能や知識創造環境を一から見直した合理的な内装・設備計画,明るさ感を演出したタスク・アンビエント照明,ダクトレス空調システムなど新技術の採用,さらには既存躯体を利用した再生骨材コンクリートや生物多様性の事前調査など,環境に最大限に配慮したことが評価された。

図:国内過去最高の環境性能評価を獲得

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