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理念・概要・歴史

知的財産部が目指しているのは,当社に受け継がれてきた「進取の精神」の下,
生み出される知的財産によって,当社の豊かな未来を支援することだ。
ここでは知的財産部の理念や概要,歴史について紐解いていく。

いつも大切にしていること

知的財産部は1970年,重役室特許センターの名称で発足した。その後名称は,時代の流れによる役割の変化とともに,特許センター,知的財産センターと変わっていった。現在の名称となったのは1996年のことだ。

しかし,名称は変わっても今日まで変わらないことが三つある。一つめは,知的財産創造を担うのは「人」であり,鹿島グループの知的財産について啓蒙活動,人材育成を進めていること。二つめは,社内のあらゆる場面から生み出される知的資産の知的財産化を進め,それを活用することによって企業価値の向上を図ること。そして三つめは,鹿島グループの知的財産を大切にするのと同様に,第三者の知的財産も尊重すること。櫻井知的財産部長は,「この三つのミッションは,知的財産部が発足以来50年の間,いつも大切にしていることです」と語る。

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図版:知的財産部のあゆみと鹿島の主な特許
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知的財産を護りながら戦略的に推進する

知的財産部の業務は,鹿島グループ全体における知的財産の創出や保護,普及,活用,契約のほか,近年は知的財産に関するリスク管理が加わるなど,当社の企業戦略の重要な役割を担っている。

知的財産部は,保有する知的財産に関する権利内容と市場の状況などを把握した上で,事業を有利に進めるための効率的かつ効果的な活用に力を入れている。契約についても,当社での技術の位置付けや相手先との関係,質・権利内容・競争力,市場規模と将来予測,リスクの大きさなど,多岐にわたって把握・判断し,事業を有利に進めるための適切な業務を推進している。

知的財産リスクの低減に向けては,建設業界でも技術競争の激化とともに,各社の知的財産の有効活用意識が高まり,侵害監視を強化している。知的財産部では,当社の事業領域の確保やコンプライアンスの観点から,第三者権利侵害の未然防止や当社権利の被侵害の監視を実施。海外調達時でも,第三者権利侵害の未然防止や,技術情報発信時における著作権のトラブル防止,自他社秘密情報の不用意な漏洩防止のためのリスク管理を行っている。

また,これまで様々な特許権侵害訴訟に対応してきた。建設現場が関係する訴訟が多く,中には現場に直接乗り込んできた権利者もいたが,弁理士や顧問弁護士と密接に連携し,事業に支障をきたすことなく対処した。なお,当社は侵害訴訟で負けたことはなく,これは知的財産部の実力の一端を示すものといえる。

図版:ゼネコン大手5社 保有特許件数の推移

当社の発明報奨金制度は,発明者である社員に対して,出願時,登録時,実施時にそれぞれ支給する制度で,退職した社員や亡くなった社員の遺族にも支給する規定となっている。過去には,毎年200万円を超える支給を受けた社員もおり,建設業界内でも特に手厚い処遇といえる。

知的財産部は,グループ全体の知的財産の保護と活用を目的に,グループ会社の支援にも力を入れている。各社に存在する発明相談や契約,商標などの知的財産に関する様々なニーズをヒアリングし,知的財産管理体制の強化や知的財産部との連携をより深めることが狙いだ。企業戦略として,鹿島グループの知的財産を効果的に使い,競争を優位に進めていくことを目指している。

このほか,契約業務の高速化や効率化,そして非常時・緊急時のBCPのため,電子契約システムを導入している。導入にあたっては,社内システムとの整合性や法的有効性などを検討し,既に電子化で運用していた部分と合わせ,現在では契約業務の全てが電子化された。

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図版:知的財産契約の電子化

知的財産契約の電子化

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日本知的財産協会 建設部会創立40周年記念式典が開催

2018年11月,日本知的財産協会建設部会の創立40周年を記念した式典が開催され,ゼネコン・ハウスメーカー・一般住宅機器メーカーの知的財産関係者とOB約150人が参加した。

式典では,「建設部会OBによる座談会」が企画され,櫻井知的財産部長がモデレータ役を務めた。座談会では,建設部会の40年の歴史や創立当時の社会情勢,建設部会のカルチャーに話題が及び,最後は現役世代に対して期待と激励のメッセージが送られた。建設部会の創成期に尽力した当社OBの小野泰正さんをはじめとするパネラーによる貴重な話の数々に,会場は熱気に包まれた。

※前身の重陽会は1938年設立。主に日本企業の知的財産部署の集まり

図版:会場の様子

会場の様子

図版:「建設部会OBによる座談会」の様子

プログラムの一つ,「建設部会OBによる座談会」の様子。
左から2人目は櫻井知的財産部長,
司会は知的財産部ライセンスグループ越後昌純次長

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