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特集 鹿島DX

AIやIoT,ロボットなど,目覚ましい進化を続けるテクノロジーを,
当社グループ社員の多くは自社活動の実現手段と捉えて利用し,業務の効率化・省人化を図ってきた。
しかし,今世の中で起きている変化をこれまでと同じ視点で捉えていいのであろうか。
社会は急速にデジタルシフトし,現実空間に新しくサイバー空間が登場してきた。
現実世界が中心だった人々の活動において,サイバーの割合が増え,
第4次産業革命と呼ばれるほど大きな時代の変化を迎えている。
鹿島が100年先も社会から求められる企業グループであり続けるための「鹿島DX」。
展望と施策をリポートする。

DXの戦略的推進と,その先に創りたい世界

専務執行役員 デジタル推進室管掌
福田孝晴

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世の中は大きな時代の変化の真っただ中にいます。SDGsをはじめとする社会・環境課題について,社会全体で解決を目指す機運が世界中で高まっている中,産業界に目を向けると,IoTやAI,ビッグデータなどを用いた第4次産業革命,デジタル社会の到来を迎えています。そして,この流れの中で起きた新型コロナウイルス感染拡大は,デジタル分野における日本の遅れを浮き彫りにしました。今年9月にデジタル庁が創設されましたが,日本は官民それぞれでDXの推進を求められています。

顧客企業がDXに向けた舵取りを始める一方で,建設業界も将来の担い手不足など独自の課題を抱えています。私たちは今まさに,これらの課題や複雑化・多様化する顧客・社会のニーズに,いかにデジタルを駆使しながら応えていくかを考えていかなければなりません。

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便利・快適・安心で,
希望ある世界を創る

このような状況を踏まえ,鹿島DXビジョンを掲げました。

「顧客・社会とデジタルで繋がり
主体的に課題を発見・解決し
便利・快適・安心で,希望ある世界を創る」

ここにはデジタルで顧客に新たな価値を提供する,いわば「攻めのDX」と,苦渋・危険作業とも隣り合わせで3Kと呼ばれることもある建設業を,デジタルで魅力あふれる業界に創り変える,「守りのDX」の意味が込められています。

DX推進の重要なキーワードが組織横断。DXとは単にデータのアナログからデジタルへの移行やプロセスのデジタル化ではありません。DXの本質は変革にあります。経営陣自らが先頭に立ち,顧客・社会の本当のニーズを捉えながらデジタルを使って今までの業務やそれを動かす組織,企業文化や風土にいたるまで,全てを変革し,結果として製品やサービス,ビジネスモデルまでもが今までとは全く違ったものになっていく。DXとはつまり,経営事業戦略なのです。そこで当社は,今年1月にデジタル推進室を新設しました。社長直轄部署として部署・部門の垣根を越えた連携を促し,この変化が激しい社会の中で,引き続きグループ一丸となって競争力や優位性を確保していくことを目指します。

DX1.0とDX2.0

具体的には,まず会社全体を変えていくための基盤整備「業務DX」が必要です。そして,中核事業である建設事業そのものを変革する「建設DX」。ここまでを私たちはDXの第一段階,DX1.0と考えています。その先にあるのが,中核事業で培ったハードの強みにソフトを掛け合わせ,顧客・社会に新たな価値を提供する「事業DX」,DX2.0です。建設事業の深化と新しい事業の探索,この両利きの経営でDXを追求していきます。

当社グループは,設計力・施工力だけでなく,建設事業の上流から下流にいたるまでの総合力,企画・開発・運用を行う開発事業力,異なる環境で建設・開発事業を行う海外事業力など,秀でた力を持ち合わせています。そこにデジタル力を掛け合わせてさらに強みを強化していくことが我々のミッションだと思っています。

中心は“ヒト”

DX推進の鍵を握るのは,人材です。経営幹部層を含めたグループ社員全員のデジタルリテラシーを引き上げ,デジタルの素養がある人材を育成するのと同時に,外部リソースから新たな人材を採用していきます。オープンイノベーションによる協働も重要です。

グループ社員のみなさんには,中期経営計画2021〜2023で示した3つの価値観を自分事として咀嚼し考えていただきたいです。1つは,“主体性”。新しい鹿島をつくるため,一人ひとりがスモールスタートでいいから果敢にチャレンジし,変化に対応できる力を身につけてください。次に,“多様性”。新たな価値創造は,一律の組織では成し得ません。多様な能力と価値観をもった社員がいる会社になる必要があります。そして,“開放性”。世の中の変化に社内だけで対応するのは限界があります。外部と繋がり,双方向に影響を及ぼし合いながら共創するオープンさをもってください。

これらの価値観を大切にしながら,当社グループは中期経営計画で示した「ヒューマン・スマート・ソサエティ」を目指します。ヒトが中心の持続可能な社会を,デジタルを使って実現する。そういう社会を,みなさんとともに創っていきたいと思っています。

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図版

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