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自動スライド型枠
クレーンを使用せずに型枠のスライド作業を全自動化
「自動スライド型枠」は、ダム等の大型構造物において、油圧ジャッキによるセルフクライミング装置と、電動モータを動力とした鋼製型枠の自動脱枠・水平移動機構を組み合わせ、一連の型枠スライド作業をクレーン作業なしで全自動化するものです。これまで、幅60m(ダム堤体4BL分(1BL:幅15m))の型枠を自動で一括スライドさせることに成功し、従来工法に比べて、作業時間を約半分に短縮することができ、作業人員も大幅に削減できました。
自動スライド型枠では、全ての電動モータ及び油圧ジャッキを同時に制御することにより、幅60mの鋼製型枠が一体となって作動し、型枠スライドに必要な一連の作業(脱枠、水平移動、スライド、セット)を全て自動で行うことができます。
特許出願中
幅60mの型枠を自動で一括スライド
関連情報
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キーワード
- 型枠、スライド、自動化、生産性向上、工程短縮
特長・メリット
作業の省力化・平易化が可能
電動モータを用いて型枠の脱枠と水平移動を行い、油圧ジャッキによるセルフクライミング装置で鋼製型枠をスライドさせるもので、1人の作業員がタブレット端末を操作することで行えます。
また、とび工(型枠大工)、クレーンオペレータ等の特殊技能労働者でなくても作業を行うことができ、誰でも同じ精度で型枠スライド作業が可能となり、作業の省力化・平易化により、生産性が向上します。
作業の省力化・平易化が可能
作業人員の削減及び作業時間の短縮を実現
従来のクレーンによる型枠スライド作業に比べて、作業時間を約半分に短縮することができ、作業人員も大幅に削減することができます。
従来工法と自動スライド型枠の比較(幅60m当り)
並行作業が可能
これまで打設面に配置していたクレーンが不要となるため、スライド作業と並行して、打設面清掃・打設準備等の別の作業を行うことが可能となります。
また、コンクリートなどの材料運搬をするダンプトラックとクレーン作業との錯綜が減り、運搬効率の向上による打設速度の向上が期待でき、生産性及び安全性が向上します。
並行作業が可能
高所でも安全に作業が可能
型枠作業のための足場(プラットフォーム)が躯体に常に固定されており、高所でも安全に作業することができます。
また、従来工法の3m幅でのスライド作業に比べ、60m幅を一括スライドするため、端部作業の発生頻度が劇的に減り、安全性が向上します。
高所でも安全に作業が可能
適用実績
大分川ダム建設
(一期・二期)工事
場所:大分県大分市
竣工年:2019年11月
発注者:国土交通省九州地方整備局
規模:中央コア型ロックフィルダム
堤高91.6m 堤頂長400m
堤体積387万m3
幾春別川総合開発事業の内
新桂沢ダム堤体建設
(第1期・第2期)工事
場所:北海道三笠市
工期:2016年8月~2021年3月
発注者:国土交通省北海道開発局
規模:重力式コンクリートダム
堤高75.5m 堤頂長397.0m
堤体積59.5万m3
(いずれも嵩上げ後)
小石原川ダム本体建設工事
場所:福岡県朝倉市・東峰村
工期:2016年4月~2020年3月
発注者:水資源機構
規模:中央コア型ロックフィルダム
堤高139m 堤頂長568m
堤体積830万m3
学会論文発表実績
- 「コンクリートダム下流面への自動スライド型枠の適用実績」,土木学会第74回年次学術講演会,Ⅵ-716,2019年
A4CSEL®(クワッドアクセル)
建設機械の自動化による次世代の建設生産システム
建設作業の多くは人の手に頼ってきましたが、ここ数年、熟練技能者不足と高齢化だけでなく建設作業者全体の大幅な減少傾向が続いています。また、年々減少しているものの労働災害件数の全産業における発生率は依然高い状態にあります。
これらの課題・問題の解決には生産性と安全性を飛躍的に向上させる施工システムが必要と考え、鹿島は、作業指示を送ることで、自動化された建設機械が自律・自動運転を行い、必要最小限の人員で多数の機械を同時に稼働させることをコンセプトとした、次世代の建設生産システムを実現しました。
A4CSEL(Automated / Autonomous / Advanced / Accelerated Construction system for Safety , Efficiency , and Liability)は、従来のリモコン等による建設機械の遠隔操作とは異なり、人間がタブレット端末で複数の建設機械に作業計画を指示することにより、無人で自動運転を行うものです。
国土技術開発賞二〇周年記念大賞
平成30年度日本建設機械施工大賞 大賞部門最優秀賞
第19回国土技術開発賞 最優秀賞
平成28年度土木学会賞 技術開発賞
第46回日本産業技術大賞 文部科学大臣賞
特許出願中
A4CSELのダム堤体での施工イメージ
関連情報
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キーワード
- 自動化、振動ローラ、ブルドーザ、ダンプトラック、ダム工事、生産性、効率化
A4CSELの概要
A4CSELは専用の自動機械を使うのではなく、汎用の建設機械にGPS、ジャイロ、レーザスキャナなどの計測機器及び制御用PCを搭載することによって自動機能を付加し、自動運転を実現していることが大きな特長です。また、施工条件の異なる数多くの作業での熟練オペレータの操作データを収集・分析し、自動運転の制御方法に取り入れているため、熟練オペレータと同等の品質が得られます。更に、リアルタイムでの自己位置・姿勢、周辺状況の計測結果から、人や障害物の他、走路の安全性などを認識し、自動停止、自動再開などの機能を備える等、安全性を確保した自律運転を実現しています。
A4CSELによって少人数で多数の建設機械を扱うことが可能となりました。また、機械に設置されたセンサ類から得られる出来形などの施工データを3次元設計・施工モデルへ反映させることで、CIM、i-Construction※の推進にも貢献します。
※i-Constructionは国土交通省国土技術政策総合研究所長の登録商標です。
自動化装備した振動ローラ
自動ブルドーザのシステム構成
A4CSELによる自動運転
自律型自動振動ローラによる
転圧作業の自動化
汎用の振動ローラを自動運転可能に改造し、五ケ山ダムのRCDコンクリートの転圧作業に初めて実適用しました。直線走行、切り返し走行とも、誤差が±10cm以下に収まっていることが確認され、熟練オペレータと同等の施工精度を確保しています。大分川ダム、小石原川ダムではロックフィルダムのコア材の転圧を複数の自動振動ローラで行いました。
自動振動ローラ
自律型自動ブルドーザによる
まき出し作業の自動化
コマツ製のICTブルドーザに自動化機器・装置を搭載し、熟練オペレータの実施工における操作データを分析するとともに、走行経路やブレードの高さの違いによって、材料の広がり形状を予測するシミュレータを開発し、自動ブルドーザの制御方法に適用することにより、土砂はもとより、より条件の厳しいRCDコンクリートのまき出しにも適用できることを五ケ山ダムで確認、大分川ダム、小石原川ダムではコア材のまき出しを行いました。
自動ブルドーザによるまき出し状況
自律型自動ダンプトラックによる
運搬と荷下ろし作業の自動化
振動ローラとブルドーザの自動化に続き、ダンプトラックの自動化を行いました。55t積級の汎用ダンプトラックにGPS機器や制御PC、自動化機器等を搭載し、あらかじめ指示された位置までの自動運搬と、指定位置でのダンプアップ(荷下ろし作業)の自動化に成功しました。
中央コア型ロックフィルダムである大分川ダムにおいて、堤体のコア材盛立作業に自動ダンプトラックと自動ブルドーザの導入試験を行い、自動ダンプと自動ブルドーザを連動させ、コア材の運搬→荷下ろし→まき出し→整形の一連の自動化の流れを確認しました。
自動ダンプトラック
大分川ダムにおけるA4CSEL(動画:3分00秒/音声あり)
小石原川ダムでコア材の盛立を実施
2018年11月、小石原川ダム本体建設工事(福岡県朝倉市・東峰村)において、A4CSELの自動化重機により、初めて本格的な堤体の盛立作業を行いました。管制室からの指示により、自動ダンプトラック3台、自動ブルドーザ2台、自動振動ローラ2台の計7台の自動化重機が、5時間にわたる連続作業を行い、コア材一層分(約1,300m3)の盛立を完了しました。
小石原川ダムでの本格稼働実績をもとに、成瀬ダム堤体打設工事(秋田県雄勝郡東成瀬村)に、自動化重機を20~30台規模で適用し、台形CSGダムの堤体打設作業を行う予定です。
(上)管制室から自動化重機に指示を出す
(右)小石原川ダムでのコア材盛立の様子、自動ブルドーザの後ろで自動振動ローラが転圧を行う
小石原川ダムにおけるA4CSELのコア材盛立の様子(動画:3分03秒/音声あり)
適用実績
五ケ山ダム堤体建設工事
場所:福岡県那珂川市
竣工年:2018年3月
発注者:福岡県
規模:重力式コンクリートダム
堤高102.5m 堤頂長556m
堤体積93.5万m3
大分川ダム建設
(一期・二期)工事
場所:大分県大分市
竣工年:2019年11月
発注者:国土交通省九州地方整備局
規模:中央コア型ロックフィルダム
堤高91.6m 堤頂長496.2m
堤体積378.1万m3
小石原川ダム本体建設工事
場所:福岡県朝倉市・東峰村
工期:2016年4月~2020年3月
発注者:独立行政法人水資源機構
規模:ロックフィルダム
堤高139m 堤頂長約550m
堤体積約830万m3
学会論文発表実績
- 「振動ローラの自動転圧システムの開発 ― RCD ダム施工での試験適用」,土木学会,第70回年次学術講演会,2015年
- 「ブルドーザの自動撒出しシステムの開発」,土木学会,第70回年次学術講演会,2015年
- “Next Generation Construction Production System Focusing on Automation Technologies of Construction Machines”,The 7th Civil Engineering Conference in the Asian Region(第7回アジア土木技術国際会議) Proceedings,2016年
- 「建設機械の走行制御と目標経路生成について」,第16回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会,2015年
湿式吹付けによる締固め工法「SHOTCLAY®工法」
基礎岩盤に優しいフィルダム着岩材の施工方法
従来、フィルダム基礎岩盤の着岩処理は、人力による着岩材スラリーの塗布、及び着岩材団子の人力締固めによって施工されていました。
鹿島が開発したSHOTCLAY工法は、着岩材を乾燥や加水することなく、そのまま吹付けることが可能な湿式吹付けによる締固め土の構築工法です。本工法は、従来の現場締固め工法よりも周辺岩盤への影響が小さく、凹凸が激しい場所でも均質な締固め土を構築できるという特長を有しています。また、本工法の場合、重機を使用せずにノズルマンとホースだけで施工可能であるため、フィルダムの河床部のみならず、アバット部の着岩材まで同じ機械で施工できます。
平成29年度ダム工学会賞 技術賞
特許出願中
アバット部への着岩材吹付け施工状況
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キーワード
- フィルダム、着岩材、コンタクトクレイ、吹付け工法
SHOTCLAY工法の機械構成と施工方法
SHOTCLAY工法は、着岩材供給機、ローター式吹付け機、コンプレッサで構成されます。実績では、高低差±20m程度、ホース長100m程度まで施工可能であり、事前に河床部に材料を搬入するための走路や重機足場を確保する必要はありません。
また、乾燥させた着岩材にノズル付近で加水して吹付ける乾式吹付けではなく、着岩材を湿潤状態のままで吹付ける湿式吹付け工法であるため、材料調整の手間も不要です。基礎岩盤の凹部に対して吹付けられた着岩材は、凹部の隅まで密実で均質な締固め土となります。
SHOTCLAY工法吹付け機材
SHOTCLAY工法による河床部着岩材施工状況
特長・メリット
基礎岩盤への影響を低減
模擬基礎岩盤に埋め込んだひずみゲージによってエアタンパとSHOTCLAY工法による着岩材施工が基礎岩盤に与える影響を比較しました。
- 基礎岩盤に与えるひずみ量はエアタンパの1/20程度
- 施工速度はエアタンパと同等
SHOTCLAY工法とエアタンパによる基礎岩盤への影響比較
従来工法と同等の施工品質
SHOTCLAY工法によって構築した着岩材に対して、密度計測、コーン貫入試験、透水試験を行いました。
- 締固め施工による密度は従来工法と同等(D値90%以上)
- コーン指数は470kPaであり、同材料をランマで施工した場合のコーン指数410kPaよりも大きい
- 透水係数は5.91×10-6cm/sで1×10-5cm/s以下という現場の品質管理規準を満足
SHOTCLAY工法による締固め性能
優れた密実性を確認
SHOTCLAY工法によって構築した着岩材に対して、密実さ、凹部の隅角部への充填状況を観察しました。
- 空隙なく密実である
- 凹部の隅まで隙間なく着岩材が充填されている
SHOTCLAY工法によって構築した着岩材の観察
適用実績
殿ダム
場所:鳥取県鳥取市
竣工年:2012年1月
発注者:国土交通省 中国地方整備局
規模:堤高75m 堤頂長294m
堤体積211万m3
施工数量:1,271m2(188m3)
大分川ダム建設
(一期・二期)工事
場所:大分県大分市
竣工年:2019年11月
発注者:国土交通省九州地方整備局
規模:中央コア型ロックフィルダム
堤高91.6m 堤頂長400m
堤体積387万m3
小石原川ダム本体建設工事
場所:福岡県朝倉市・東峰村
工期:2016年4月~2020年3月
発注者:水資源機構
規模:ロックフィルダム
堤高139m 堤頂長約550m
堤体積約830万m3
学会論文発表実績
- 「吹付け工法によるベントナイト系人工バリアの構築」,第60回土木学会年次学術講演会講演概要集,2005年
- 「吹付け工法による側部緩衝材の施工確認試験例 ─地下空洞型処分施設性能確証試験─」,第65回土木学会年次学術講演会講演概要集,2010年
- "DESIGN OPTIONS FOR HLW REPOSITORY OPERATION TECHNOLOGY, (IV) SHOTCLAY TECHNIQUE FOR SEAMLESS CONSTRUCTION OF EBS",Proceedings of the 13th International Conference on Environmental Remediation and Radioactive Waste Management ICEM,2010年,機械学会動力エネルギー部門(優秀講演者賞)