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PHASE4 親和をはかる

公園と一体になったプロムナード

公園と一体になったプロムナード。既存の樹木を生かしたランドスケープは“都会の森林”と化した。ここでは,ワーカーがランチをとる姿や子供たちの走り回る光景,老夫婦が散歩を楽しみ,若者たちが談話するなど,さまざまなシーンが見られる
(photo: 解良信介 / URBAN ARTS)

人々と自然がまじわる親和空間

「今日は天気がいいから,公園で仕事をしよう」「アウトドア・ミーティングで議論を交わせば,新鮮な発想が生まれるかもしれない」――。こんな新しいワーク・シーンが,もうすぐ生まれようとしている。前述の『NAKANO CENTRAL PARK SOUTH』では,エキープ・エスパスと当社グループ会社ランドスケープデザインがプロムナードのランドスケープにさまざまな知的活動の場を仕掛けている。

「中野四季の森公園」との連続性とオフィスへと続く段階的シーンの役割をなす東西250mのプロムナードは,既存の木々を残し, “ここにある自然”を生かした環境計画を行った。この再開発区域は,江戸時代より現代にいたるまで,さまざまな経緯から閉ざされた領域として存続してきたため,巨木が見事な樹形を誇っていた。この豊かな自然をランドスケープの中心に据えて,歴史の息吹が宿る新たな屋外空間を創出した。

“アウトドア・ミーティング”のイメージスケッチ

“アウトドア・ミーティング”の
イメージスケッチ

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オフィス寄りには,遊歩道的なエリアをデザインし,オフィスに緑を取り込む見え方を考慮した樹木の配置を行っている。木陰が深くなる公園側には,和を感じさせる飛び石や洗練されたデザインのベンチ,ウッドデッキなどを点在させて,老若男女さまざまな人々がオリジナルの使い方を見出すことのできる空間を演出した。まもなくウッドデッキ上には天蓋付きのテーブルと椅子を用意した“アウトドア・ミーティング”コーナーを設ける予定だ。いま,事業関係者とインテリアの検討を行っている。無線LANを配備してパソコンで作業することも可能となる。

『NAKANO CENTRAL PARK SOUTH』が建つ約16.8haの警察大学校跡地再開発区域は,順次開発が進み,自治体施設,病院,大学,オフィスなどが集積する一大都市となる。ワーカーをはじめ学生,地域の人々がこのプロムナードに集い自然と触れ合う中で,さまざまなコミュニケーションを繰り広げる。

写真:“アウトドア・ミーティング”コーナーの家具を実際にオフィス内に展示し,関係者と機能性やデザインを検討した

“アウトドア・ミーティング”コーナーの家具を実際にオフィス内に展示し,関係者と機能性やデザインを検討した

エネルギーの大切さにふれる

3.11という日が訪れるまで,日本ほど安定した電力供給の環境に置かれた国はなかった。それが一変し,昨年,計画停電を余儀なくされた国民は,電力の大切さを切実に味わうこととなった。身をもって経験した出来事は,忘れることなく記憶に残る。大震災は,私たちのエネルギーに対する価値観を変化させ,新たな環境への親和意識を目覚めさせた。

電力需給危機への対応として,節電の取組みは企業にも求められている。当社は節電環境下においても,オフィスで働くワーカーの知的生産性を低下させない効果的な節電方法を見出すため,昨年夏,社員に協力を仰ぎ,学識経験者との共同研究により“節電実験”を実施した。

実験は,7月から8月までの節電環境下の鹿島本社ビル・鹿島赤坂別館・鹿島KIビルで行われた。職種の異なる総務部門・営業部門・技術部門・設計部門・女性の多い事務部門の社員381人が対象。電力削減効果が大きいと予測した「空調」「照明」に「外気導入量」の変化を加えた4つのパターンを設定して,1ケースにつき3日間,同一環境下で仕事をしてもらい,都度アンケートを実施した。

アンケート結果からは,「照度の変更は執務者の満足度に大きな影響を与えないこと」「温度の変更は上昇するに従って不満足者率が大幅に増加すること」「性別や職種によって環境の変化に対する感じ方が異なること」など,さまざまなデータを得ることができた。実験対象部署には説明会を実施し,データ分析の結果を報告。この基礎データを社内の節電運用へ展開するとともに,今後も続く節電運用に対する顧客オフィスへの提案に活用していくことを伝えた。

そして――この夏,節電実験から得たデータを活かした新技術「鹿島スマート電力マネジメントシステム」が完成。鹿島赤坂別館に導入され,新たな節電運用をスタートしている。

社員一丸となって創り上げた快適性と節電効果を併せ持つ新たな技術に期待が高まる。

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2011年夏の節電実験

鹿島自社ビルを対象に,2011年夏の節電時に実験調査を実施した。電力削減効果の大きいと予測した「空調」「照明」設定を変更し,オフィスの快適性やワーカーの生産性,電力量を調査した。

グラフ:性別の傾向

グラフ:職種別の傾向

写真:鹿島本社ビル、鹿島赤坂別館

鹿島本社ビル(左)、鹿島赤坂別館(右)

写真:鹿島KIビル

鹿島KIビル

表:調査対象人数

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“節電実験”――社員からの生の声

  • 暑いがこれくらいはやむなし。慣れると思う。
  • 暑さは仕事の能力の低下,思考力の低下につながる気がする。
  • 先週と比べて,暑さと湿気,空気の汚れを感じます。
  • 男性は暑いみたいですが,女性は例年,ひざ掛けをするくらい寒く感じていたので,今夏の温度設定がよいです。
  • 15時を過ぎると暑くなる。午前中は肌寒い。
  • 執務環境には概ね満足しているが,廊下や階段の照明が暗くて人の顔が見えない。
  • アンケートは面倒だと思っていましたが,ただ「暑い」「寒い」ではなく,どうしたらいいか考えることが必要だと気づかされました。
  • 今までが無駄にエネルギーを消費していたと思う。
  • 節電は環境配慮であり大変結構。経費節減にもなり継続的に徹底して行うべき。

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