9年間にわたって修復が進められてきた国宝〈瑞厳寺〉の“平成の大修理”が11月に完了した。宮城県松島の瑞厳寺は,奥州藤原氏の精神を受け継ぎ,伊達政宗が心血を注いで1609年に建立。桃山文化を伝える,東北地方では禅宗随一の寺院である。
約100年ぶりとなる大修理では,本堂を含め7棟の建造物の修復が行われた。本誌3月号特集では,「歴史的建造物を後世に伝える使命」を語る佐藤啓所長と,「現代建築では使われない用語もあり,専門書で学んだ」という菅家道郎副所長がともに指揮をとった様子を紹介した。
文化財に関わる事業は,本誌6月号で渋谷区松濤から銀座〈GINZA SIX〉に移築された〈観世能楽堂〉を,8月号では,神田神社創建1300年奉祝記念事業の一環として建設される〈神田神社(仮称)文化交流館〉を紹介した。本建物では,当社が共同開発した木材100%の純木質耐火集成材「FRウッド®」※を採用。最新の技術が貴重な文化財の保存や日本文化の継承を支えている。