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KAJIMA YEAR BOOK 2017 復興は続く

10月,東日本大震災で津波被害を受けた仙台市沿岸部の蒲生(がもう)北部地区では,大規模な土地区画整理事業の最盛期を迎えた。新たな産業基盤の整備を担うべく,複数事業で包括委託方式という新しい発注形式を採り入れ,インフラの再整備と企業誘致が進められている。本誌11月号特集ではその事業手法を紹介。これまで当社が培ってきた開発事業のノウハウを投入し,現地と一体となって取り組んでいる。

写真:仙台市蒲生北部地区全景

仙台市蒲生北部地区全景。2021年度の完了を目指して大規模な土地区画整理事業が進行中

震災復興のリーディングプロジェクトとして整備が進む三陸沿岸道路。宮城,岩手,青森各県の太平洋沿岸を結ぶ延長359kmの自動車専用道路である。その内の唐桑高田道路を構成する〈長部(おさべ)高架橋〉は3月に完成し,連結式が行われた。

また宮城県気仙沼湾を横断する区間の橋長1,344mの長大橋〈(仮称)気仙沼湾横断橋〉では,当社JVが海上部にかかる3径間連続鋼斜張橋北側に位置する橋脚と橋台の施工を行っている。日本最大級の鋼管矢板井筒基礎が斜張橋の主塔を支える様子を本誌3月号「THE SITE」で,橋脚下部の頂版コンクリートの打設完了を10月号「K Board」で伝えた。

写真:3月に竣工した〈長部高架橋〉

3月に竣工した〈長部高架橋〉。丸3年にわたる工期を無災害で完工させ,厚生労働省より表彰を受けた

写真:〈(仮称)気仙沼湾横断橋〉

〈(仮称)気仙沼湾横断橋〉。東北支店が集結して総勢100人が世界最高品質の橋梁基礎コンクリートを打設。気仙沼の未来をつくる巨大基礎だ

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復興を伝えるツーリズム

東日本大震災からまもなく7年を迎える。長い年月を経て復興のあり方が変化するなかで,環境省が推進する「グリーン復興ツーリズム」は被災地の人々に関心をもち続け,実際に会いに行くこともできる企画だ。その一環である「みちのく潮風トレイル」に4月,新たに宮城県女川町のルートが開通した。水産業を基幹産業としてきた同町の心臓部である女川湾も望むことができる。本誌7月号特集では,このトレイルルートに沿って復興の現在を歩き,当社JVによるまちづくり事業が進む女川町を紹介した。なかでも津波と地盤沈下で甚大な被害を受けた魚市場は仮設備で運営を続けてきたが,当社の施工で本設の中央棟・管理棟,今年4月に西棟が竣工し,全ての施設が再建された。また女川駅北地区には災害公営住宅も完成し,入居がはじまるなど生活再建への基盤整備が進んでいる。

写真:再建された〈女川町魚市場(地方卸売市場)〉

再建された〈女川町魚市場(地方卸売市場)〉。奥に見える山肌は造成工事が進む宮ヶ崎高台地区

写真:〈女川町女川駅北地区災害公営住宅〉

今年2月から入居がはじまった〈女川町女川駅北地区災害公営住宅〉

熊本復旧への弾みに

今年も各地で記録的豪雨に見舞われたが,7月初旬の九州北部豪雨では河川氾濫や住宅流失,浸水が相次ぎ死者30名以上を出す大惨事となった。昨年4月の熊本地震の記憶も新しいなか,度重なる九州での被害には自然の脅威を改めて知らされた。

その熊本地震で被害を受け,約10kmにわたって通行止めとなっていた県道28号熊本高森線・俵山トンネルルートが昨年12月に8ヵ月ぶりに開通,当社JVが担ってきた同トンネルなどの調査・復旧工事が5月に完了した。これにより南阿蘇へ入る熊本市からの直通ルートが確保され,南阿蘇村,高森町の復興に寄与している。

写真:俵山トンネル(延長2,057m)・南阿蘇トンネル(延長757m)の開通後の様子

俵山トンネル(延長2,057m)・南阿蘇トンネル(延長757m)の開通後の様子。本震直後に覆工コンクリートの崩落などで通行止めとなり,24時間体制で復旧工事を続けてきた

1年を振り返ると,一歩ずつ着実に進む復興や,「新たな変革への岐路」ともいうべきプロジェクトの姿が見えてくる。新しい年に向け,700号の節目を迎えた『KAJIMA』ではこれからも新たな挑戦をひとつずつ丁寧に伝えていきたい。

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