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KAJIMA YEAR BOOK 2017 海外展開最前線

2017年は世界が大きく変わる予兆とともにはじまった。1月,米国でドナルド・トランプ氏が大統領に就任。政策や言動がつねに世界中の話題となっている。本誌1月号新春メッセージで,押味社長は世界中の様々な事象への不連続・不確実な将来に備える必要性を訴えた。中期経営計画の最終年度を迎えた今年,海外事業は「既存事業の深耕と新市場・新分野開拓」をキーワードに展開されている。

写真:シンガポール経営大学法学部棟

本誌8月号表紙で紹介した,シンガポール経営大学法学部棟。市街中心地に立地する都市型キャンパスとしても注目される

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進化するプラットフォーム

現在,18の国と地域に広がる約100社の海外現地法人は,それぞれの市場に合わせた事業基盤(プラットフォーム)を構築し,多岐にわたる建設,開発事業を手掛けている。本誌8月号特集では進化を続ける海外のプラットフォームに焦点をあて,進行中のプロジェクトを紹介した。

オーストラリアでは5月にCockram社を買収。2015年に買収したIcon社とは得意分野が異なる会社で,それにより安定した経済成長を維持する太平洋地域に幅広く事業を手掛ける見通しをつけた。また,高成長を続けるベトナムでは2016年の合弁会社IKD設立に加え,大手建設会社Hoa Binh社と業務提携。今後,建設と不動産・開発事業の協業が期待されている。

写真:地上36階の超高層マンション〈Opal Tower〉

2015年に買収した豪Icon社が施工を担当する地上36階の超高層マンション〈Opal Tower〉

技術研究所とエンジニアリング事業本部がシンガポールオフィスを開設して4年,プラットフォームの進化が続くシンガポール。6月には,アジア統括現地法人「カジマ・オーバーシーズ・アジア(KOA)」の開発事業部門であるカジマ・デベロップメント社が現地企業と共同で都心部に近い新興住宅地ビダダリ地区約2.5haの超大型住宅・商業複合開発に着手。新たなプロジェクトが続々と動きはじめている。シンガポール西部のジュロンレイク地区内の国立公園「ジュロンレイクガーデン国際コンペ」では,当社の国内外のグループ会社が連携して最優秀賞に選出されたことを紹介した。

写真:〈ジュロンレイクガーデン〉再整備案

シンガポール国際デザインコンペ最優秀賞を獲得した,〈ジュロンレイクガーデン〉再整備案

また,北米統括現地法人「カジマ・ユー・エス・エー(KUSA)」傘下の流通倉庫開発会社Core5(2015年設立)は,設立後間もなくジョージア州で開発に着手した〈Shugart Farms Logistics Center〉と〈Logistics Center at Interstate West〉を今年売却。土地入手から建設,賃貸,売却までの一連のサイクルを達成した。米国では,ネットショッピングの増加により流通倉庫の需要が高まっており,開発済み物件への投資意欲も旺盛なことから,ジョージア州に加え,テネシー州,テキサス州,フロリダ州などで計50万m2以上の新規開発に着手している。

写真:〈Shugart Farms Logistics Center〉

Core5が開発を行った〈Shugart Farms Logistics Center〉

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カジマ・ヨーロッパ設立30周年

今年,欧州統括現地法人「カジマ・ヨーロッパ(KE)」が設立30周年を迎えた。9月には,KEが南仏プロヴァンス地方で開発を手掛ける〈サンタンドレオール・リゾート〉で30周年記念式典を開催し,押味社長をはじめ当社役員,KE関係者約40名が出席した。押味社長は,冒頭の挨拶で「次の中期経営計画では,海外での事業拡大がひとつの柱」と話し,ヨーロッパを含めた海外事業の重要性について説明。KEの一木浩人社長は「欧州におけるビジネス環境は厳しい時期もあったが,KEは生き残り,進化を遂げ,そしてユニークで持続可能な立ち位置を確保しつつある」と述べた。

写真:KE設立30周年記念式典にて,18番ホールのグリーン上での記念撮影(前列右から4人目が押味社長)

〈サンタンドレオール・リゾート〉で行われたKE設立30周年記念式典にて,18番ホールのグリーン上での記念撮影(前列右から4人目が押味社長)

現在KEは,英国とフランスで開発事業を,ポーランドとチェコで建設事業を展開,社員300余名が活躍している。英国のPFIや不動産事業は同社の安定収益資産となっており,新たな取組みとして商業施設などのPPPスキームに着手している。建設事業は流通倉庫や工場を得意分野とし,近年,堅調な経済成長が続くポーランドでは,着実に業容を拡大するとともに,チェコでは〈アマゾン配送センター〉などの大型案件も手掛けた。さらに,両国では建設と開発の協働事業にも着手している。

各国の市場やニーズに合わせた事業を展開し,日系企業のみならず現地企業からも信頼を得るなど地域に根ざした独自の事業を行うKE。30年にわたり培った知見と経験を礎に,今後も高品質なサービスと新たな付加価値を提供し,地域社会への貢献を目指す。

写真:ロッチデールPPP事業(英国)

ロッチデールPPP事業(英国)

写真:アマゾン配送センター(チェコ)

アマゾン配送センター(チェコ)

写真:55ムーアゲート(英国)

55ムーアゲート(英国)

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カジマ・ヨーロッパの主な歩み

1970年代
・〈ベルリン国際貿易センター〉(1978)など,東ドイツで複数の建設プロジェクトに携わる
1980年代
・カジマ・ヨーロッパ(KE)設立(1987)
・英国で〈ストックリー・パーク〉開発事業に着手(1989~)
1990年代
・南仏プロヴァンスに〈サンタンドレオール・リゾート〉を開業(1992)
・日系企業の欧州進出に伴い,西欧諸国で建設事業を展開
2000年代
・ポーランド支店(2001),チェコ支店(2002)を設立。建設事業を開始
・英国でPFI事業に参入,不動産投資事業に再参入
・ポーランド(2008),チェコ(2009)に現地法人を設立
2010年代
・英国でオフィスビル〈55 ムーアゲート〉を取得し,大規模改修計画に着手(2015)
・ポーランド・チェコで建設・開発協働事業として,流通倉庫開発事業に着手(2016)
・〈サンタンドレオール・リゾート〉で分譲住宅計画を再開(2017)

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