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concept

ホテルビスタプレミオ京都 和邸

京町家の伝統と風情の継承

図版:外観南東

外観南東

Photo:エスエス 酒井文明

京都の夏を彩る祇園祭鉾町に位置し,観光拠点としても好立地な宿泊特化型ホテルである。

ホテルビスタは従来のシティ/ビジネス/リゾートというカテゴリーにとらわれず,その地域の特性を活かしたスタイルのホテルを全国に展開している。

和邸(なごみてい)の外観は,一文字瓦を葺いた化粧リブコンクリートの軒庇とリン酸処理スチールによる連子格子といった現代的な素材の組み合わせで京町家の佇まいを表現し,祇園祭の山鉾が似合う意匠とすることを心掛けた。

建物の中央には,うなぎの寝床と称される京都特有の敷地形状を活かして,趣の異なる2つの坪庭を配置している。ベニシダレモミジを配した山庭から湧き出た清水が枯山水の川となり,つくばいを模した水盤へと至るストーリーでデザインされ,ゲストを静寂と風情のあるもてなし空間へと迎え入れる。

京都市内では景観規制や高度地区規制によって階数や天井高が大きく制約を受ける。和邸では鉄筋コンクリート壁式構造を採用することによって客室内に柱梁型を出さない計画とし,インテリア空間の広がりを最大限確保した。

祇園祭のシーズンには格子のファサードに幔幕や提灯が飾られ,レストランからは通りの賑わいを眺めてゆったりとした時間を過ごすことができる。新町通に面した2階には窓面に小上がりを設けた客室も用意され,格子窓を開けて山鉾巡業を間近に楽しむことができる。(塩見浩一郎・菅原純子)

図版:入口から直線状に配置した2つの坪庭

入口から直線状に配置した2つの坪庭

図版:奥にベニシダレモミジを配した枯山水の坪庭

奥にベニシダレモミジを配した枯山水の坪庭

図版:つくばいを模した水盤

つくばいを模した水盤

図版:エントランスホールより坪庭をみる

エントランスホールより坪庭をみる

図版:新町通に面した2階客室の窓からは山鉾巡業が楽しめる

新町通に面した2階客室の窓からは山鉾巡業が楽しめる

図版:祇園祭のシーズンには多くの観光客で賑わう

祇園祭のシーズンには多くの観光客で賑わう

改ページ

ホテルビスタプレミオ京都 和邸
(京都市中京区)

  • 発注者: IPHF5新町通合同会社
  • 設計: 当社関西支店建築設計部
  • 用途: ホテル
  • 規模: RC造 5F 延べ3,155m2
  • 工期: 2017年5月~2018年6月

(関西支店施工)

写真

塩見浩一郎
(しおみ・こういちろう)

関西支店建築設計部
統括グループ長

主な作品:
  • 京都四条ホテル
  • 京都市立凌風小中学校
  • マルイト難波ビル
  • いであ 大阪支社
  • 神戸国際ビジネスセンター

写真

菅原純子
(すがはら・じゅんこ)

関西支店建築設計部
設計主査

主な作品:
  • ポートアイランドセンター
    スクエア
  • セルリアン神戸
  • 京都市立凌風小中学校
  • 八百一本館

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