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資機材調達と準備体制の構築

地図

鋼矢板仮締切堤防平面図。当社は堤防中央部から右側(下流工区)を担当。二重締切工による鋼矢板仮締切工事と既設堤防との取付け部に盛土を行い,川表側に連節ブロックを施工した

【工事概要】

令和元年台風19号長野市穂保(下流工区)緊急復旧工事

場所:
長野県長野市穂保
発注者:
国土交通省北陸地方整備局
規模(当社工区):
二重締切工 延長約157m(鋼矢板約800枚)、中詰め工 約4,400m3
既設堤取付—築堤盛土 約3,150m3、連節ブロック 約920m2
復旧期間:
2019年10月16日~27日
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資機材調達と協力会社への連絡

当社が担当する本格的な復旧工事は,地元建設会社による仮堤防工事が完了してからとなった。それまでの間に資機材の調達と施工会社の手配をしなければならない。まず取り掛かったのが使用材料である鋼矢板(Ⅳ型×L16m)の調達と,それに伴う鋼矢板工および重機土工などの協力会社の確保である。

「鋼矢板の調達には苦労した」と武井部長。鋼矢板のリース会社にアプローチしようにも3連休中でなかなか連絡がつかず,枚数の確約が取れなかったからだ。関東支店長野営業所と連携し,なんとか調達のめどをつけたものの,14日に現地踏査した結果,想定より50%増の約800枚が必要となり,最終的に全数量確保の見通しがついたのは翌日の15日になってからだった。また,長野営業所の紹介で地元のトレーラー会社のモータープール(重機置場)を鋼矢板の仮置き場および中継基地として使用することができたことも大きい。「これも長野営業所が日ごろから地元協力会社と良好な関係を築いていたおかげ」と武井部長は語る。

重機土工の施工会社に関しては,長野県内における別の災害復旧工事の影響で,県内の協力会社を手配することが困難だったため県外のいたるところに声を掛けた。そのうち盟友ともいえる2社は鬼怒川堤防緊急復旧工事に続き,今回も駆けつけてくれた。

「最後まで手配できなかったのは,急遽追加で行うことになった連節ブロック工事を施工する会社でした」と協力会社の手配を引き受けた前川部長。先に声を掛けた千葉の協力会社が現地へ来ることができるのは納期の2日前。これではとても間に合わない。そうしたなか,当社工区と同じ下流側の仮堤防工事をしていた地元建設会社の職員と何気なく会話していた際,「この近くで連節ブロック工事の施工ができる会社を知っている」というのである。「これは奇跡としか言いようがない」と前川部長はそのいきさつを語ってくれた。「もしこの出会いがなかったら,間違いなく約束の期限内に工事を完了することはできなかったでしょう」。紹介してもらった連節ブロック工事会社は,当社からの依頼に二つ返事で応えてくれ,19日にようやくすべての協力会社の手配にめどがついた。

図版:北陸地方整備局より受領した「災害復旧工法(案)」の手書きの断面図

北陸地方整備局より受領した「災害復旧工法(案)」の手書きの断面図

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図版:鋼矢板仮締切堤防 標準断面図

鋼矢板仮締切堤防 標準断面図
二重締切工 幅5.0m/鋼矢板 SP-IV L=16m
腹起し 2[-150×75×9×12 
タイロッド 丸鋼φ56mm@1.6m

現場体制の確保

発災翌日の14日に先行して現地に入っていた武井部長と前川部長に続き,15日から現地派遣の命を受けた職員が続々と現地入りしてきた。長野営業所にはもともと寮が併設されており,派遣された職員の受け入れ先となった。「長野営業所員は,工事の間の2週間,必要物資の調達や運搬をはじめ,食事などすべて引き受けてくれました。とても心強く,本当に助かった」と武井部長はベースキャンプとなった長野営業所の後方支援について謝意を表している。

先行して行われている仮堤防工事に支障が出ないよう配慮しながら,16日の夜勤から担当工区の仮設工事として工事用道路や施工ヤードの造成準備に入った。また,同時に現場詰所も設営し,情報インフラのための通信環境も整えた。

図版:施工ヤードの造成[10月17日撮影]

施工ヤードの造成[10月17日撮影]

図版:設営された現場詰所

設営された現場詰所。
左奥に工事現場が見える[10月17日撮影]

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図版:工事の実施工程

協力会社一覧
会社名(本社所在地)

【鋼矢板打設】

  • 杉崎基礎(新潟市北区)
  • 高脇基礎工事(埼玉県北本市)
  • 北陸基礎工業(石川県小松市)

【腹起し・タイロッド架設】

  • 高脇基礎工事(埼玉県北本市)
  • セキグチ工業(栃木県栃木市)

【重機土工事】

  • 丸磯建設(東京都品川区)
  • 冨島建設(大阪市福島区)
  • 高寿商会(長野県上田市)
  • 井上産業(長野県長野市)
  • サンタキザワ(長野県飯山市)
  • 大栄開発(長野県飯山市)
  • タガミ(千葉県君津市)

【ブロック・法面工事】

  • いしかわ(長野県長野市)
  • グリーン産業(新潟市中央区)

【測量】

  • 山田工業(新潟県柏崎市)
  • 川瀬工業(新潟県三条市)

【電気工事】

  • 東陽興業(長野県飯田市)

【クレーン】

  • 須坂クレーン興業(長野県上高井郡高山村)

【トレーラー】

  • 一城(長野県長野市)

【情報提供:地元会社】

  • 北條組(長野県長野市)
  • フクザワコーポレーション(長野県飯山市)

【材料:鋼矢板】

  • 丸藤シートパイル(東京都中央区)

【材料:タイロッド】

  • 合鐵産業(大阪市北区)

【材料:その他鋼材,リース資機材】

  • アクティオ(東京都中央区)
  • ジェコス(東京都中央区)
  • カナモト(札幌市中央区)
  • ヒロセ(東京都江東区)

【材料:砕石】

  • 信越建商(長野県須坂市)

【材料:生コンクリート】

  • 長野生コン(長野県長野市)

【材料:護岸ブロック・袋型根固め】

  • 共和コンクリート工業(札幌市北区)
  • アドヴァンス(新潟市中央区)
  • 大興物産(東京都港区)

【材料:遮水シート】

  • フジモリ産業(東京都品川区)
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宿舎と現場詰所

関東支店長野営業所の寮はそのまま職員の宿舎として使われた。もともと寮にはバス・トイレ付個室が24部屋あり,食堂や洗濯室も完備されていた。職員にはそれぞれ空いている部屋が割り当てられ,足りないときには応接室や執務室で寝泊まりする場合もあった。長野営業所員の手厚いサポートにより,職員は復旧工事に専念することができた。

長野営業所から千曲川決壊現場までは約10km。当時は渋滞が発生していたため,車で1時間以上掛かったという。現場から約1.5kmのところに現場詰所(ハウス4棟)を設営し,そこからは自転車で往復していた。

図版:長野営業所に併設されている寮

長野営業所に併設されている寮

図版:寮の食堂ではお弁当などが提供された

寮の食堂ではお弁当などが提供された

図版:現場詰所の内部

現場詰所の内部

図版:後方支援を担った長野営業所の所長(前列右から2番目)と所員一同(営業所前にて撮影)

後方支援を担った長野営業所の所長(前列右から2番目)と所員一同(営業所前にて撮影)

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