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特集 千曲川堤防緊急復旧工事 -- 災害対応と鹿島

2019年10月13日未明,台風19号の豪雨に伴い,長野県を流れる千曲川の増水により堤防が決壊,同県長野市穂保地区一帯に大規模な浸水被害が発生した。
当社は,国土交通省北陸地方整備局(以下,北陸地方整備局)と日本建設業連合会北陸支部(以下,日建連北陸支部)との災害協定に基づく支援要請を受け,大手・地元建設会社とともに千曲川堤防緊急復旧工事を行った。
今月の特集では,昼夜体制の「ワンチーム」で臨んだ同工事の詳細をレポートする。

令和元年台風19号の動向

台風19号は2019年10月6日マリアナ諸島の東海上で発生,12日19時前,大型で強い勢力を保ったまま静岡県伊豆半島に上陸した。上陸直前の中心気圧は955hPa,最大風速は40m/s。その後,関東地方と福島県を縦断し,13日に三陸沖東部で温帯低気圧に変わった。この台風により,甲信地方や関東地方,東北地方などで記録的な大雨を観測,甚大な被害をもたらした。政府はこの被害に対し,「激甚災害」,台風としては初となる「特定非常災害」,熊本地震に次いで2例目となる大規模災害復興法の「非常災害」を適用した。

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災害対応は建設業の第一義

写真:北陸支店長

北陸支店長
芦田徹也 執行役員

まずはじめに,昨年は台風15号,19号のほか,数々の自然災害が全国各地に甚大な被害をもたらしました。これら災害により被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

当社はその災害対応のひとつとして「千曲川堤防緊急復旧工事」に取り組みました。本誌で特集するにあたり,災害発生から支援要請を受けるまでの経緯,工事のための準備作業や実際の工事内容に至るまでをできるだけ詳細にお伝えしたいと思います。

工事は,地元建設会社が応急復旧した決壊箇所の仮堤防を保護するため,川表側に鋼矢板仮締切堤防を施工するものです。周辺地区の避難指示解除が控えていたため,災害発生から約2週間という短工期での対応を求められました。このため北陸支店が中心となり,長野県を管轄する関東支店をはじめ,土木管理本部や機械部,横浜支店が協力体制を組んで対応にあたりました。

緊迫した状況が続くなか,職員総勢25人,協力会社約30社が昼夜体制で工事に臨みました。事故なく工期内に全工事を完了することができたのは,ひとえに緊急な要請に応えて現場に駆けつけ,苦労をともにし,そして最後まで工事に携わってくれた協力会社の方々のおかげだと感謝しています。それぞれの専門分野で高いスキルを持つ彼らがいなければ,決して工期内に納めることはできなかったでしょう。また,当社関東支店長野営業所が現地での拠点となり,所員全員が一丸となって後方支援をしてくれたことを忘れてはなりません。

今回の緊急復旧工事は,本社,各支店,営業所,多くの協力会社からなる混成チームとなりましたが,その体制は非常にバランスがとれたものとなり,文字どおり「ワンチーム」となって対応できたことを誇らしく思います。

災害復旧工事は,建設業の第一義であり,そのためには,緊急時における適材適所の人員配置や資機材の調達とともに,技術やマネジメント力,機動力などの総合力が欠かせません。

当社は,これからも早期復旧に貢献できるよう災害対応のための努力を続けてまいります。

今回の緊急復旧工事の記録が,今後の災害対応の一助となれば幸いです。

図版:約70mにわたって決壊した千曲川堤防

約70mにわたって決壊した千曲川堤防。仮堤防の川表側を囲むように鋼矢板仮締切堤防を施工。
写真右手の護岸ブロックから中央部までが当社工区[10月27日撮影]

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