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file-2 営業ウーマン×設計グループ長

図版:神岡千春さん

神岡千春

(かみおか・ちはる/広島県出身/工学部建築学専攻修了)
中国支店 建築設計部 建築設計グループ グループ長(担当部長)

1985年入社。広島支店(当時)建築設計部で設計補佐業務を担当する。1999年総合職に職務変更,設計主査としてホテルや共同住宅をはじめ様々なジャンルの建築設計に携わる。2004年設計長となり,建築設計グループ副部長を経て,2010年より現職。2005年「香月産婦人科」でカジマデザイン賞作品部門奨励賞。最近の楽しみは, 2年前から自宅のバルコニーで育てているバラの成長を見ること。

図版:大林 斎さん

大林 斎

(おおばやし・ゆま/広島県出身/文学部英米文学科卒)
中国支店 営業部 建築営業グループ(第2) 課長

1993年入社。広島支店(当時)営業部企画課に配属される。1995年テナント課へ異動。当社施工の賃貸ビルのテナント斡旋業務を担当し,営業の仕事の面白さに開眼する。2008年,総合職に職務変更(課長代理)。2010年より建築営業グループでプロパー営業を担当している。2011年より課長。銀行,保険会社,学校など幅広いジャンルの顧客を担当する。趣味は,年に1度必ずいく海外旅行。

中国支店では,先進的な女性登用が目立つ。営業部・建築営業グループの大林斎さんは,当社では稀な営業職に活躍の場を置く。銀行,生命保険会社,損害保険会社,私立学校などの複数企業を受けもち,新築や建替え計画から,引渡し後の日常メンテナンス,長期修繕計画に基づく大規模リニューアルなど,顧客の様々なニーズに応えるための支援業務を担う。「入社時は営業部企画課で一般事務をしていました。3年次にテナント課へ異動後,お客様と接するテナント斡旋業務を担当する機会を頂き,人との関わり合いで何倍にも世界が広がる営業の仕事に惹かれました」。

業務に必要な公的資格の取得などスキルを磨き,2008年総合職に登用された。テナント・リニューアルグループで経験を積んだ後,2010年,建築営業グループで念願のプロパー営業の仕事に就いた。「まだまだ修行の日々ですが,お客様のニーズを予算や時期などを考慮した上で,どのようにかたちにしていくかを日々考えています。部内をはじめ他支店や本社営業本部とも連携し,鹿島の総合力でお客様に満足頂けるサービスを提供していきたいです」。

建築設計部の神岡千春さんは,2010年から建築設計グループ長として,支店の建築設計業務を統括している。女性設計者では異例の抜擢だ。現在,6名いるグループ員の業務分担および作業進捗管理と併せて,JOBコーディネーターとして,自身の設計案件をはじめ部下が担当するプロジェクトの基本計画・基本設計・実施設計・監理を行う。

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1985年入社。仕事は設計の補助業務が中心だった。数年勤務したら鹿島ブランドを利用して転職しようと考えていたという。トレースの仕事ばかりの毎日に悶々としていた頃,神岡さんに転機が訪れる。バブルによる建設ラッシュで人手不足が加速,神岡さんに企画段階から設計業務に関わるチャンスがやってきた。「設計でなんとかやっていけるかなと実感できたのは入社7年目,メインで設計を担当したホテルのプロジェクトでした」。

顧客の要望を汲み取り,そこに自分の考えを盛り込み,その結果完成した建物を喜んで使ってもらえる――。このやりがいを味わった神岡さんは,建築設計一筋,29年間走り続けてきた。「いつになったら一人前になるのだろうと悩んだ10年,仕事が楽しくて夢中で働いた10年,責任ある立場となって試行錯誤の10年でした」。

神岡さんと大林さんは,近年複数のプロジェクトでペアを組んでいる。出会いは,大林さんが先輩営業マンから引き継いだ広島翔洋高等学校の食堂改修プロジェクト,初の受注案件だった。計画検討にあたっては,大林さんの提案で母校の大学の食堂へ実地勉強にいった。施主訪問では自らが営業車を運転。往きは打合わせ前の緊張で言葉も少ないが,復路では安心感から女子会のように話も弾み,こうした会話のなかから顧客を満足させるアイデアが誘発されていった。「神岡さんは常に複数のプロジェクトを担当されていて大変多忙な方です。そうしたなかでも,素材サンプルや説明用の資料を用意して,丁寧に対応してくださいます。服装にも常に気を使われていて,入社当時から憧れの女性でした」。

神岡さんには,身だしなみにこだわる理由がある。何もかも,自分一人でやりきっていると思い込んでいた30代。ある施主担当者から「髪の毛を振り乱して働くような余裕のない人間に,信頼して仕事は任せられない」と厳しい言葉を頂いた。「はっと気づかされる瞬間でした。何でも一人でやろうと躍起になっていた自分を知ることができた有難い一言でした」。

図版:コンビ初仕事となった広島翔洋高等学校食堂改修プロジェクト(写真:広島翔洋高等学校提供)

コンビ初仕事となった広島翔洋高等学校食堂改修プロジェクト
(写真:広島翔洋高等学校提供)

最近は施主側の関係者が全員女性という案件もあるそうだ。時代の変化を感じると神岡さんはいう。「私自身,建設業界では女性の営業は無理という先入観を持っていました。しかし,ことさら女性を前面に出すのではなく,きめ細やかな配慮で顧客と現場,そして設計者をとりもつ大林さんを見て考えが変わりました」。

顧客目線で物事を考える営業的なものの見方の大切さを実感しているという大林さん。いまは,先輩方が長年にわたり信頼を築いてきた得意先との関係をより良好なものに深めていくことが,自分に課せられた役目だと考える。「竣工後40~50年を経過し,改修時期を迎えている案件が多数あります。長い時間軸の一部を私が担当させて頂いていることに責任感と誇りをもって,次世代に残せるような建物をつくっていきたいです」。

図版:打合わせ風景。神岡さんがつくる説明資料は丁寧で社内外から好評だ

打合わせ風景。神岡さんがつくる説明資料は丁寧で社内外から好評だ

一方,神岡さんは,これから続く後輩たちへエールを贈る。「早く一人前になりたいという思いが強く,結婚はしても子供をもつ選択をしなかった私ですが,いま考えると家庭をもち子供を育てることは,長い会社人生のなかで決して回り道にはならないと思います。若い人たちが段階的に学び成長し,やりたいことにチャレンジできる手助けをしていきたいですね。そして,かつて尊敬する鹿島の女性設計者から頂いた“自分のなかのカジマデザイン賞を目指しなさい”という言葉を思い出し,そろそろ自分の集大成に取り組む時期かなとも思っています」。

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Voice 女性活用が企業をつくる 広島市信用組合 山本明弘 理事長

広島市信用組合は,11期連続増収を誇る優良企業として知られる。当社中国支店では,同社のテナント管理・建物管理の委託業務から,日常メンテナンスや改修工事などを担当している。神岡・大林ペアでリニューアルを手掛けた理事長室で,山本理事長から応援メッセージを頂いた。

私どもの会社では現場主義を貫き,この業績を成し得ました。理事長職となったいまも,毎日顧客回りを欠かしません。自分の目で現場を見れば,顧客の経営状況もおのずと伝わってくるものです。営業ウーマンである大林さんも我が社に頻繁に足を運ばれ,様々なご提案を頂いていると聞いています。こうした優秀な女性を第一線で活用するのは,さすがトップゼネコンの鹿島さんですね。我が社も今年度,初の女性支店長が誕生しています。生き残る企業には,男女問わずよい人材が集まるもの。今後も鹿島さんの人材活用に大いに期待します。

図版:広島市信用組合 山本明弘 理事長,神岡千春さん,大林 斎さん

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