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東京港臨港道路南北線中央防波堤内側地区接続部 有明側~中央防波堤内側地区
平成27年度中防内5号線橋りょうほか整備工事 中央防波堤内側地区~中央防波堤外側地区

東京港の渋滞を緩和する海底トンネルと橋りょう整備

海外からコンテナ船が多数寄港する国際貿易港であり,国内の主要港を結ぶ重要な国内拠点港である東京港。
その港内中央部に位置する中央防波堤地区では青海・有明地区とを結ぶ路線が少なく
顕著な交通渋滞が発生しており,今後も交通量の増加が予想されている。
現在,その問題を解消するための大規模な交通網整備が行われている。

図版:地図

有明側と中央防波堤地区とを新たに結ぶ「東京港臨港道路南北線(赤枠位置が当社JV担当)」と「中防内5号線橋りょうほか」

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東京港臨港道路南北線
中央防波堤内側地区 
接側部及び沈埋函(1号函)
製作・築造工事

場所:
東京都江東区青海地先
発注者:
国土交通省 関東整備局
設計:
沈埋トンネル—オリエンタルコンサルタンツ・日本シビックコンサルタント設計共同体
陸上トンネル—日本シビックコンサルタント 設備—日本工営
規模:
接続部(ニューマチックケーソン)1基  縦35.0m×横33.9m×深さ29.3m
沈埋函 1函 全長134.0m×幅27.8m×高さ8.35m,沈埋函据付部 グラブ床掘(浚渫)
陸上トンネル 躯体L=97.5m,内部構築L=572m
工期:
2016年4月~2020年7月(予定)

(東京土木支店JV施工)

平成27年度中防内5号線橋りょうほか整備工事

場所:
東京都江東区青海三丁目地先(中央防波堤内側埋立地から中央防波堤外側埋立地まで)
発注者:
東京都港湾局
設計:
鹿島・IHI異業種特定建設共同企業体
規模:
海の森大橋—鋼単純ニールセンローゼ橋,橋長249.5m,全幅員34.3m
臨海道路横断橋—鋼3径間連続鋼床版箱桁橋,橋長133.0m,全幅員27.0m
ランプ橋[東側]2橋,ランプ橋[西側]車道橋2橋,歩道橋2橋
工期:
2015年10月~2019年11月

(東京土木支店JV施工)

中央防波堤地区整備の目的

国際貿易港,また国内拠点港として日本経済を支える東京港。その東京港内の埋立地である中央防波堤地区は,増加するコンテナ貨物量に対応するため,現在新たなコンテナターミナルの整備が進められている(一部供用開始)。それに伴い懸念されるのが将来の交通需要増大である。この対応として,新たに中央防波堤内側地区と有明側10号地その2(フェリーふ頭)を海底トンネルで結ぶ「東京港臨港道路南北線工事」(以下,南北線工事)と,中央防波堤内側地区と同外側地区を橋でつなぐ「中防内5号線橋りょうほか整備工事」(以下,中防橋りょう工事)が行われている。東京港における交通の多重性・代替性を確保し,円滑な物流の達成により,さらなる国内経済の成長を促すことが期待される。

海底トンネルで結ぶ南北線工事

南北線工事は,海上部(沈埋トンネル),アプローチ部(開削トンネル),これらをつなぐ接続部(ニューマチックケーソン)から構成される。当社はそのうち中央防波堤地区側の接続部施工とアプローチ部の一部施工,接続部につながる海上部の沈埋函製作・築造を担当した。

図版:工事平面・縦断図
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海上部の施工は,まず沈埋函を設置するため海底を溝状に浚渫,その溝(トレンチ)に基礎砕石を敷きならし,ドックで製作した沈埋函を沈設場所まで曳航。沈埋函を沈設しトレンチとの隙間をコンクリートで埋めるという手順で行われた。沈埋函は全部で7函を接続しトンネルを形成。当社はそのうち1函(1号函)の製作・沈設を行っている。国内最長となる長さ約134mの沈埋函沈設は,高い精度が求められる非常に難しい施工となった。最初の沈設となる1号函の施工精度が,その後に沈設する函体の品質に大きく影響をおよぼすためだ。1号函は当初の目標値からほぼ誤差なく沈設でき,この高精度な沈設がトンネル全体の品質確保に大きく貢献した。

トンネルの基礎となる接続部は,ニューマチックケーソン工法が用いられた。これは設置場所に刃口金物を設置,その上で下部に作業室を設けた鉄筋コンクリート製の函(ケーソン)を築造し,作業室に地下水圧に見合う圧縮空気を送り込むことによって地下水を排除。つねにドライな環境で掘削・沈下を行って所定の位置に構築物(立坑)を設置するものだ。また,中央防波堤地区側の地上道路につながるアプローチ部の掘削トンネル工事も行った。

図版:沈埋函(1号函)は千葉港市原地区にある沈埋函製作ドックで組み立てられた

沈埋函(1号函)は千葉港市原地区にある沈埋函製作ドックで組み立てられた

図版:沈埋函は鋼製の殻とコンクリートなどで製作され,両端に鉄のフタを取り付けることで水に浮かべ海上輸送する

沈埋函は鋼製の殻とコンクリートなどで製作され,両端に鉄のフタを取り付けることで水に浮かべ海上輸送する

図版:中央の四角い構築物が接続部(ニューマチックケーソン)で,グレーラインで示した左側の海上部(沈埋トンネル)と右側のアプローチ部(開削トンネル)をつなぐ

中央の四角い構築物が接続部(ニューマチックケーソン)で,グレーラインで示した左側の海上部(沈埋トンネル)と右側のアプローチ部(開削トンネル)をつなぐ

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図版:トンネルは片側2車線ある南行線と北行線のブロックに分かれている(写真は北行線)

トンネルは片側2車線ある南行線と北行線のブロックに分かれている(写真は北行線)

6本の橋を整備した中防橋りょう工事

中防橋りょう工事では合計6本の橋と道路を整備している。基礎・橋脚などの下部工は,6本の橋すべてを当社が担当した。

海の森大橋は,中央防波堤内側地区と同外側地区をつなぐ全長249.5mのアーチ橋(ニールセンローゼ橋)で,6本の橋のなかでは最大のもの。地組ヤードで組み立てられた橋の上部桁は,大型台船を使用し設置場所まで海上を運搬するが,水深が浅く幅の狭い水路内のため高度な技術が必要だ。上部工を橋台・橋脚上に支点仮受け後,潮位の変化と台船の中の水を調整して台船を退出,油圧ジャッキで計画した高さまで降下(サンドル降下)させ下部工に据え付けるという一括架設を行った。

臨海道路横断橋の架設は,大ブロック一括架設工法で行われた。臨海道路北側の地組ヤードで組み立てられた橋の上部桁を,多軸式特殊台車で支承上端をかわすだけの高さまで桁を上げた状態で運搬。架設地点到達後,位置調整して多軸式特殊台車のジャッキで架設する。これも下部工と上部工との繊細な調整を伴う高難度の工事だ。そのほか,既存道路とのジャンクションとなる東西のランプ橋4本を整備している。

図版:中防内5号線橋りょうほか整備工事,6本の橋完成パース。

中防内5号線橋りょうほか整備工事,6本の橋完成パース。
当社はすべての橋脚と橋台の施工を担当

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6本の橋 海の森大橋,臨海道路横断橋,ランプ橋(東行西側, 西行西側,東行東側, 西行東側),平面図,および側面図

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