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interview

ともに2号機燃料取り出しに取り組む東芝グループにとってもプランBは初の試みとなる。
未知の工事への挑戦。その舞台裏を伺った。 (敬称略)

写真:井上隆司 所長, 道券禎貴 主幹

計画の舞台裏

井上 一番初めの検討時もプランBのように建屋上部を解体しない案はありましたよね。けれど,建屋内の線量が高く,総合的に考えて難しいという判断を下しました。それを再度挑戦する覚悟を決めたのはすごいと思いました。

道券 東京電力さんからダスト飛散対策と工期短縮の観点から建屋を解体しない方法をもう一度見直してくれないかと言われ,私は否定してはいけないなと思いました。

井上 燃料を取り扱う上では,プランBのようなブーム式クレーンの使用は国内では初めてではないでしょうか。

道券 初めてです。小開口から燃料取扱設備を入れるため,設備自体を小型化する必要がありました。そこで,当初予定していたガントリークレーンではなく,ブーム式クレーン使用の発想に至りました。日本中のクレーンメーカーに打診したところ,1社だけ社会貢献ということで手を挙げてくれました。 ※橋脚型クレーン

井上 なかなか1台のために協力してくれる会社はいないですよね。

道券 ただし,ブーム式は耐震性・安定性が下がってしまいます。そこで鹿島さんに,作業中の耐震性・安定性を担保できる構台の建設を検討してほしい,とお願いをしました。

井上 お話をいただいた時,道券さんは既に再挑戦の覚悟を決められていました。われわれが求められることを達成できるのであれば,このプランは実現できるとおっしゃった。ならば,一緒に挑戦しましょうと私たちも覚悟を決めました。

道券 必ず付いてきてくれると思っていました。日本全国数多くのゼネコンがありますが,頼めるのはやっぱり鹿島さんだけだろうと。

井上 今は仲良さそうに話していますけど,そうでない時もありますけどね。(笑)

道券 お互い要求が厳しいので,喧々囂々ですよね。オペフロはまだまだ分からない部分がたくさんあります。事前に予測やリスク対策は考えていますが,それすら覆される可能性もあります。その時に,構台という土台がしっかりしたものでなければ対応策が考えられません。鹿島さんには可能な限り妥協をしないで最適な構台をつくり上げていただきたいです。

井上 私は施工する立場として,設計の段階で弊社の原子力部とともに,なるべく簡単で無駄のない構造物を設計していただきたいです。関係者全員が知恵を出し尽くすことができれば,この計画はきっと達成できると思っています。

未知の領域へのチャレンジ

井上 一番大変だと思ったのはいつですか。

道券 最初です。プランBでは耐震性を保持できるわけがないなど,グループ内でも否定的な意見が多く出ました。しかし,初めからできないというスタンスではそこで止まってしまいます。無理だと言うならまずその程度を調べてみようと呼びかけました。

井上 私たちもできないケースをたくさん想定しています。ただ,その否定的なシミュレーションをたくさん蓄えることで前に進む勇気が出てきますよね。

道券 おっしゃる通りです。廃炉作業は新しいことに取り組んでいかなければなりません。今後もたくさん失敗はあるかもしれませんが,それを続けていくことが最終的には福島の復興につながっていくと思っています。臆することなくチャレンジしていきたいです。また,その姿を若手エンジニアに伝え,福島の復興に限らず,未知の領域にチャレンジするという想いを持ってもらいたいです。

図版:プランBの燃料取扱設備概念図

プランBの燃料取扱設備概念図 
出典:東京電力ホールディングス

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