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Solutions-3 病院の成長と変化に対応する増改築

病床の再編や機能強化・拡張といった喫緊の課題を増築と改修の上手な組合せで解決

Needs 施設の老朽化と社会の変化に対応したい→Solutions 機能強化と病床再編を実現する入念な増築・改修計画

日本人口に占める65歳以上の高齢者の割合は昨年27%に達し,75歳以上の後期高齢者の割合はまもなく高齢者の半数を超える。介護の必要傾向が高まる後期高齢者が増えるなか,国内各地の医療機関の機能と役割を明確にし,地域完結の医療提供体制を目指す議論がいま盛んに行われている。こうした流れを背景に,病床機能の再編を含む施設整備と機能強化の必要性に直面している病院は多い。

東名厚木病院(神奈川県厚木市)は1981年に開設して以来,神奈川県央地区の急性期医療を支え,2011年からは地域医療支援病院として地域医療の中核を担っている。このたび,急性期医療機能の拡充と病床機能の再編を目指し,増築および改修工事を行った。施設整備のコンセプト立案や,病院の運営を継続しながらの工事ゆえの複雑な工程計画,それに伴う医療行政折衝といった課題に対して,高い専門性と技術力をもつ当社設計・施工チームがプロジェクトを全面的にサポートした。

地域医療支援病院:患者に身近な地域での医療提供を目的として「紹介患者に対する医療の提供,医療機器の共同利用,救急医療の提供,地域の医療従事者に対する研修の実施」の4つの機能を担う医療機関として,都道府県知事の承認を受けた病院

写真:東名厚木病院4号館外観

東名厚木病院4号館外観

東名厚木病院

場所:
神奈川県厚木市
発注者:
社会医療法人社団三思会
設計:
当社建築設計本部
規模:
RC造一部S造 5F 277床 延べ25,374m2
工期:
2015年9月〜2018年3月

(横浜支店施工)

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運営を継続しながらの工事

敷地内には救急,診療,入院を担う1~3号館からなる病院棟,健診センター,および一般外来を担当するクリニック棟があった。今回の工事では,まず4号館を増築し,そこへ機能移転した部門から既存施設の改修工事を順次進めていった。

工程は大きく4ステップからなり,その間6度にわたり,医療法に関わる使用許可申請が行われた。行政への申請には当社の設計担当者が同行し,工程のなかでの暫定的な病院機能の配置と工事区間について説明。施設運用の安全性を証明し,使用許可取得に協力した。

病院運営を維持しつつ敷地内で行う工事は,入院患者や他の利用者に振動や騒音,粉塵などの悪影響を与えないよう万全の注意が必要である。31ヵ月間にわたる工事を無事に終えられたのは,病院の理解と協力の上で,当社の設計と施工の緊密な連携による入念な計画と,それを実現する高い施工技術,徹底した現場管理ゆえだ。

図版:東名厚木病院配置図

東名厚木病院配置図

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図版:東名厚木病院の整備ステップ

東名厚木病院の整備ステップ

病床機能の強化

4号館には救急,画像診断,手術部門などを配置し,主に急性期医療の機能を拡充した。また,増加しつつあるがん治療のニーズに応え,放射線治療の導入と化学療法センターの新設を行い,機能を強化。増築によって余裕が生まれた既存病棟では,4床を超える多床室を廃止し,地域包括ケア病棟と,がん患者のための緩和ケア病棟を新たに整備することで,回復期医療などの機能も充実させた。増築と改修を組み合わせ,時代のニーズに合った病院へと更新した好例だ。

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Needs 地域医療に対応して機能を強化したい→Solutions 災害に強い高度・救急医療の拠点を構築

仙台オープン病院(仙台市宮城野区)は,1976年に共同利用型医師会病院として開設。1998年に全国第1号の地域医療支援病院に認定された。地域のクリニックなどの医療機関と連携し,紹介患者を受け入れるほか,高度な医療機器や病床が必要な場合に施設を開放,共同利用に供するオープンシステムの診療体制を採用している。

2015年,救急および地域医療のさらなる充実と災害拠点病院機能の拡充を目的とした公募型プロポーザルが実施された。震災後で建設物価が高騰していた時期であったため,当社は病院が示した基本計画に対して,既存機能の有効活用など目標コストに適合させる提案を実施し,設計・施工一括で入手した。

写真:仙台オープン病院 救急センター棟。左奥は既存棟

仙台オープン病院 救急センター棟。左奥は既存棟

仙台オープン病院 救急センター棟

場所:
仙台市宮城野区
事業主:
公益財団法人
仙台市医療センター
設計:
当社建築設計本部
規模:
S造(免震構造) B1,
6F,PH1F 128床
延べ13,404m2
工期:
2016年8月〜2018年2月

(東北支店JV施工)

東日本大震災の教訓を生かした設計

2011年の東日本大震災時には被災地内の重症患者を多数受け入れ,その実績から災害拠点病院に指定されている同病院。新しい救急センター棟の設計にあたっては,医療機能の連携,動線の確認などについて,各部門に綿密なヒアリングを行い,東日本大震災時の経験を設計の随所に反映している。

具体的には,救急車の乗降場には高速シートシャッターを設置し,天候に左右されない安全な患者の搬送を確保。救急動線は医療機能に合わせて短縮化し,2×3mの大型EVで救急病棟に搬送できるよう計画した。休日・夜間の時間外患者の急な増加には,一般外来の一部を活用できる工夫など,被災者受入れ時の教訓を盛り込んだ。

ほかにも,災害時72時間の自力運営が可能な自家発電機,地下水利用システムの採用,トリアージスペース,災害対策本部,マンホールトイレの配置などを盛り込んだ施設計画となっている。

感染患者用の病室や地域医療機能充実のための緩和ケア病棟を新設し,機能強化も実現。また,HCU(高度治療室),ICU(集中治療室)は木調のインテリアとし,昼夜の時間感覚を喚起し,まぶしさを軽減する調光の間接照明や,発熱ガラスのハイサッシ窓を採用し隣接する鶴ケ谷中央公園への眺望を確保するなど,患者のより良い療養環境づくりを行っている。ともに免震構造となった新救急センター棟と既存棟の接続は,日本で初めての完全フラット型の免震エキスパンションジョイントを採用。高齢者にも利用しやすいユニバーサルデザインを随所で徹底した施設となっている。

今回の新救急棟整備により仙台オープン病院は完全免震構造の病院となり,ハードとソフトの双方からMCPの強化がなされた。24時間365日救急搬送を受け入れている。

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Column 病院の変化と成長に応えるライフタイムパートナー

亀田第一病院(新潟市江南区)は1967年に開院。約40年間,旧亀田町に唯一の病院として地域医療を担いつづけ,新潟市と合併した後は地域医療拠点としての重要性が増した。

開院後約20年を機に,全面増改築工事に着工して以降,1991年の増改築,1995年の看護婦宿舎新築,2006年の立体駐車場新築,2017年の増築および改修工事と,すべての工事に当社は設計施工で関わってきた(年は竣工年)。また,同期間にわたり,鹿島建物総合管理が設備管理などを継続している。

2017年の増築工事後は,延床面積がこれまでの約1.5倍の1万4,873m2になった。医療機器の充実,診療科の増設,医療スタッフの増員による診療機能の向上と,患者にとって親しみやすくゆとりある快適な環境づくりを目指す病院のライフタイムパートナーとして,今後もサポートを続ける。

写真:

亀田第一病院外観
(2017年竣工の増築棟)

亀田第一病院(増築)

場所:
新潟市江南区
発注者:
医療法人愛仁会
基本設計:
当社建築設計本部
実施設計:
当社北陸支店建築部

 

規模:
RC造 7F 197床 延べ14,873m2(増築後)
工期:
2015年10月~2017年10月

(北陸支店施工)

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