vol.89
上棟記念
北海道支店 北川博信
老舗ホテルである札幌グランドホテルの1階にはメモリアルライブラリーがあり,そこに現本館の上棟祝いに鹿島から贈呈された記念品が展示されていることに気がつきました。これは,上棟の儀で使用された槌などのセットです。今から55年も前のものを当時とほぼ変わらない姿で展示していただいていることに驚き,深く感動しました。
札幌グランドホテルは,1928(昭和3)年に秩父宮雍仁親王が来道された際の「日本で冬のオリンピックを開催するならば札幌に洋式ホテルをつくる必要がある」という提案をきっかけに,1934(昭和9)年に開業。昭和天皇や皇太子時代の上皇陛下,英国エディンバラ公フィリップ殿下などがご来札時に宿泊された由緒ある国際観光ホテルで,国内外からの旅行者にとっても憩いの宿となっています。
鹿島の関わりは,現本館(1966年竣工)の新築工事に始まり,開業時の本館解体(1973年),現東館(1976年竣工),現別館(1985年竣工)の新築,増改築工事と,長く一連の建設に携わってきました。実は,鹿島の建築屋であった私の父は,本館新築時には第一工務主任,東館新築時には所長,別館新築時には建築工事部長として札幌グランドホテル建設工事に尽力したひとりです。
今は亡き父が,若き日に活き活きと建設工事に従事していたであろう姿を想像し,父の想い出に浸ることができた瞬間でした。