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開発事業本部が,グループ会社や他社と共同で取り組む事業を,4つの最新プロジェクトを例に挙げて紹介する

CASE 4: 羽田空港跡地第1ゾーン整備事業(第一期事業)~オープンイノベーション~

計画概要

場所:
東京都大田区
事業主体:
羽田みらい開発
〈出資企業9社〉当社,大和ハウス工業,京浜急行電鉄,日本空港ビルデング,空港施設,
東日本旅客鉄道,東京モノレール,野村不動産パートナーズ,富士フイルム
設計:
当社建築設計本部,大和ハウス工業
施工:
当社,大和ハウス工業
用途:
研究開発拠点(ラボ・大規模オフィス),先端医療研究センター,イベントホール,
日本文化体験施設,飲食施設,会議・研修滞在施設,水素ステーションなど
規模:
S・RC・SRC造 B1,11F 
延べ約131,000m2
工期:
2018年〜2022年
開業スケジュール:
2020年夏頃
まち開き(先行施設開業) 
2022年グランドオープン
地図
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HANEDA INNOVATION CITY

現在,来夏の東京オリンピック・パラリンピックを控え,羽田空港跡地で,大規模な複合開発事業が急ピッチで進められている。

このうち,市街地に近い当プロジェクトでは,当社を代表企業とする出資9社のコンソーシアムにより「羽田みらい開発」を設立。羽田空港の国際線旅客ターミナルから1駅1分の「天空橋駅」の直上に位置する約5.9haの敷地に,延床面積13万m2を超える複合施設を整備・運営する。

施設名称「HANEDA INNOVATION CITY」には,異なる価値が行き交い,交錯し,日本の次なるイノベーションを発信していく「新産業創造・発信拠点」となるようにとの考えが命名の根底にある。日本の玄関口として世界中のヒト・モノ・情報を運んできた羽田空港跡地のDNAを受け継ぎ,未来に向けて異なる価値のぶつかり合いにより,「新たなビジネスやイノベーションの創造」,「国内外に日本のものづくり技術や日本各地域の魅力を発信」していくとの想いが込められている。当プロジェクトは,国土交通省の進めるスマートシティモデル事業における重点事業化促進プロジェクトとなっている。

図版:先端産業と文化産業が融合する羽田ブランドのイメージ

先端産業と文化産業が融合する
羽田ブランドのイメージ

図版:全景(手前に海老取川,奥に羽田空港を臨む)

全景(手前に海老取川,奥に羽田空港を臨む)

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開発事業本部が果たす中心的役割

コンソーシアムの代表企業として,開発事業本部が当プロジェクトの企画・運営を行い,これにグループ会社4社が加わり,それぞれの得意分野を活かし,連携しながら事業全体を推進している。

エリマネ準備委員会の立上げでは,「アバンアソシエイツ」が事務局となり,業務推進の役割を担い,エリマネガイドライン作成や関連コミュニティにおける地盤づくりのための検討を行っている。同社は,スマートシティ推進協議会の事務局としても,同協議会の中心的役割を果たしていく予定だ。

プロパティマネジメントでは,「イースト不動産」が中心となり,開業後も円滑に推進できるよう,竣工前から管理・運営体制の計画を策定している。このサポート役を担っているのは,「鹿島東京開発」だ。東京イースト21での実績を活かし,商業をメインとしたサポートを行っている。

また,ビルマネジメントでは,「鹿島建物総合管理」が,設計・施工段階から,開業後の運営・維持管理を見据えて計画を進めている。

地域課題解決に向けた
スマートシティ

当プロジェクトは,大田区の「まちおこし」として,地域の課題解決の役割を担っている。この課題に対する解決策の一つとして,実現を目指しているのが,最先端のスマートシティだ。

大田区は全国有数の中小企業集積地として知られ,現在も金属加工業を中心に約3,000の町工場があり,木造住宅密集地域が残っている。また,交通弱者の移動手段の確保も課題であり,高齢化が進むことによる生産年齢人口の減少や地場産業の担い手不足が深刻化している。さらに,都市観光推進における認知度向上や商店街活動など,地域のにぎわい創出といった持続可能な都市域を構築するための課題も抱えている。

当プロジェクトを通して,このエリアでの実証的な取組みを推進し,目指すスマートシティの実現により,大田区ひいては日本が抱える社会課題の創造的解決を図ろうとしている。

図版:にぎわいの歩行者デッキ2階(イメージ)

にぎわいの歩行者デッキ2階(イメージ)

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空港隣接のメリットを活かす

国は東京オリンピック・パラリンピックに向けて,4,000万人のインバウンド来日を目標としている。こうしたなか,当プロジェクトはテストベッドの役割を設定し,空港隣接のメリットを活かして,スマートシティ実現を目指している。参考にしているのは,海外の先進事例だ。EUを中心として,空港周辺におけるスマートシティ技術の世界標準化が進んでいる。例えば,オランダ・アムステルダムのスキポール空港では,最先端技術の運用が既に始まっており,施設全体がBIM化,空間情報化され,維持管理を行っている。

事業主体には,空港関連事業者も参画していることから,中長期的な観点で空港ターミナルや関連施設への本格導入の検討が可能であり,より具体的な示唆を得られることが期待できる。空港ターミナルに近接し,かつ周辺にまちが広がっている事例は,シンガポールなどにもある。

当事業エリアでは,日本の存在感を高める最適な条件を備えている。当プロジェクトによって,今後この潜在能力をどのように実証していくかが重要な鍵となっていく。

2020年7月に先行開業

全面的なグランドオープンは2022年の計画だが,一部施設については東京オリンピック・パラリンピック開催直前の来年7月に先行開業の予定となっており,新たなイノベーションの発信が早くも始まろうとしている。

図版:全景(イメージ)多摩川方面より

全景(イメージ)多摩川方面より

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