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特集 海外開発事業の総展望

当社グループでは現在,4つの統括現地法人を核に,世界各地で100社を超える現地法人が事業を展開している。
その総売上高は2017年度の建設・開発両事業において4,500億円を超え,
グループ全体の約25%を占めるまでになった。
こうしたなかで当社は,「鹿島グループ中期経営計画(2018~2020)」の3年間に海外の開発事業へ
2,400億円の投資を行うことを公表。物件の売却による1,150億円の資金回収を見込む。
そこには2021年度以降の日本国内における非連続な経営環境に備え,安定的かつ多様な収益源を確保し,
顧客や社会に利益を還元できる仕組みを構築する目的がある。
今月の特集は,一層の飛躍が期待される海外の開発事業を取り上げ,
それぞれの市場で業容を拡大する当社グループの展望に迫る。

写真:〈スナヤン・スクエア〉インドネシア・ジャカルタ,1989年~

〈スナヤン・スクエア〉インドネシア・ジャカルタ,1989年~

建設ノウハウを生かす開発事業

米国,欧州,東南アジア,オセアニアに広がる当社の海外現地法人。各地で独自に事業を展開するとともに,M&Aを用いて現地企業・人材を取り込み,市場に応じた厚みのあるプラットフォームを形成してきた。当社グループによる海外開発事業の強みは,何よりも建設会社としてのノウハウを生かせることにある。建設リスクをマネジメントしつつ,デベロッパーとして企画,デザイン,建設,運営の各フェーズで付加価値を高め,売却により回収した資金を新たな事業へと展開する。自社プラットフォームによる事業はもちろん,現地パートナー企業との事業も社員が参画し管理することで,それまで市場になかった様々なプロダクトを実現してきた。

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統括現地法人、四極体制の確立

当社グループの海外開発事業の源流をたどれば,50年以上前の米国にさかのぼる。嚆矢となったのは1964年。ロサンゼルス〈リトル・トーキョー〉の再建・美化の要請を受け,最初の海外現地法人を同市に設立し,日系企業30社が出資した再開発事業の中核を担った。1970年代以降は開発事業を展開するとともに,同国内での設計・施工体制を確立。1986年に米国統括現地法人KUSA(カジマ・ユー・エス・エー)が設立された。翌1987年には欧州統括現地法人KE(カジマ・ヨーロッパ)が,1988年には東南アジア統括現地法人KOA(カジマ・オーバーシーズ・アジア)が相次いで設立され,海外三極体制が整った。2015年にはオーストラリア統括現地法人KA(カジマ・オーストラリア)が加わり,現在の四極体制が築かれる。

写真:〈リトル・トーキョー〉米国・ロサンゼルス,1968年~

〈リトル・トーキョー〉米国・ロサンゼルス,1968年~

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画期となった海外開発事業

これまでの主な開発事業を見ると,KUSAは1989年に当社グループ100%出資のIDI(インダストリアル・デベロップメンツ・インターナショナル)を設立。流通倉庫開発市場に進出する。1992年にはハワイ島で〈フアラライ・リゾート〉の開発に着手した。また,〈サンフランシスコ・ジャイアンツ球場〉をはじめ,リゾートや公共施設などで開発ノウハウのみを提供するフィー開発も手掛けるようになる。2015年に設立したCore5は,2017年には開発物件を売却して投資を回収し,物流倉庫開発における短期回転型事業を確立した。

KEでも1989年に英国〈ストックリー・パーク〉の開発に着手。同時期には南仏プロヴァンス〈サンタンドレオール・リゾート〉の開発に参画し,1992年に開業を果たす。JV事業として始まったリゾート開発は,KEの単独事業として現在も続く。2000年代には,〈DEFRAケンブリッジ庁舎〉を皮切りに英国PFI事業へ参入し,2010年代の流通倉庫開発市場への進出によって,さらに業容を拡大していった。

アジアでは,現地デベロッパーとの共同開発事業を推進した。KOAは1988年に香港のアライド・プロパティーズと共同でアライド・カジマを設立し,オフィス,ホテル,住宅の開発に着手。シンガポールでも1991年にポンティアック・ランド社と共同で大規模複合開発〈ミレニア・プロジェクト〉に着手した。

並行して,鹿島主体の開発事業にも積極的に取り組んだ。タイでは1988年にバンコクでの複合開発に着手。インドネシアでもKOAは1989年にインドネシア政府とBOT契約を締結し,ジャカルタでの大規模複合開発〈スナヤン・スクエア〉がスタートした。また,プーケットとバリでのリゾート開発も,ほぼ同じ時期に土地買収に取り掛かっている。

写真:〈フアラライ・リゾート〉米国・ハワイ,1996年

〈フアラライ・リゾート〉米国・ハワイ,1996年

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写真:〈サンタンドレオール・ゴルフ&スパリゾート〉フランス・プロヴァンス地方,1992年~

〈サンタンドレオール・ゴルフ&スパリゾート〉フランス・プロヴァンス地方,1992年~

成熟するプラットフォーム

海外での永続的な利益確保のためには,既存事業の深耕・拡大とともに,新たな市場の開拓も必要となる。当社グループでは現地企業のM&Aや連携強化を,プロジェクト実現の強い推進力としてきた。KUSAは集合住宅や商業施設の開発を得意とする現地企業を買収し,KOAではベトナムの現地不動産・開発会社との合弁会社を設立,KEでも現地デベロッパーと連携を強めている。成熟した米国・欧州では成長中の産業・市場において,発展途上のアジアでは都市化の領域で,それぞれ事業規模,企業連携,人材の面で厚みを増す海外開発事業。次ページからは,各現地法人が展開する最新の開発事業動向に迫る。

写真:〈ミレニア・プロジェクト〉シンガポール,1991年〜

〈ミレニア・プロジェクト〉シンガポール,1991年〜

写真:〈DEFRAケンブリッジ庁舎〉英国・ケンブリッジ,2003年

〈DEFRAケンブリッジ庁舎〉英国・ケンブリッジ,2003年

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