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KAJIMAダイジェスト

オーストラリア 根強い住宅需要を後ろ盾に経営資源を生かして新分野開拓へ

堅調なオーストラリアの住宅需要

安定的な人口増加や活発なインフラ投資,低い失業率などを背景に好調を維持するオーストラリア経済。GDPは今年6月まで世界最長の27年連続プラス成長を記録している。建設・不動産業はこれを支える基幹産業の一つであり,とくに住宅建設市場の活況は顕著だ。

当社のオーストラリア統括現地法人KA(カジマ・オーストラリア)が拠点を置くビクトリア州メルボルンでは,投資向け物件の需要が増加し,住宅価格の上昇が続いた。その後の税制改革や銀行の不動産開発向け融資引締めなどの影響により現在,住宅価格の上昇は踊り場を迎えているが,移民の増加や他州からの人口流入に支えられ,中長期的には市場成長が続くとする見方が強い。

順調な集合住宅開発

法人設立から3年,KAでは現在,メルボルンを中心に集合住宅6件とオフィス2件の開発が進む。最初の開発案件である〈クリフトンヒル集合住宅開発〉は,着工前に全66戸が完売。傘下のアイコン開発による優れた商品企画に加え,設計施工を担当する同じく傘下のアイコン建設の高い品質と安心感が顧客の信頼を引き寄せた。富裕層向けとなる〈イーストメルボルン集合住宅開発〉も来年半ばの引渡しを前に,すでに6割が売約済みとなっている。アイコン開発を率いるアシュレイ・マードック社長はこうした活況を「鹿島グループの財務,企画,施工技術面でのサポートが,良質な商品企画と順調な販売につながっている」と捉える。

写真:アイコン開発のアシュレイ・マードック社長

アイコン開発の
アシュレイ・
マードック社長

写真:〈クリフトンヒル集合住宅開発〉

〈クリフトンヒル集合住宅開発〉

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グループの経営資源を生かす

住宅以外の分野への拡大も期待される。オフィス分野では,メルボルン郊外の〈チャーチストリート開発〉で,着工段階での一棟売却が決まった。また,KAでは2017年に買収した建設会社コクラムが得意とする医療・福祉や教育・文化の分野でも投資機会を窺う。

アイコンとコクラム,KA傘下の双璧をなす2社の顧客網や市場は大きく異なる。KAでは今後,両社のネットワークを活用しながら,新たな事業機会の創出とパートナーの発掘を図り,特定市場の景況に左右されない収益基盤の構築を目指す。

図版:KAが開発を手がける初のオフィス〈チャーチストリート開発〉のイメージパース

KAが開発を手がける初のオフィス〈チャーチストリート開発〉のイメージパース

Leader's Voice KA 梅原基弘社長 「景況を見きわめつつ,収益の安定化を目指す」

写真:KA 梅原基弘社長

2010年代は海外からの投資需要の高まりを背景に新築高層集合住宅が急増しました。直近では,とくに投資家向け案件の価格が下降し調整局面に入るエリアも出てきましたが,KAが得意とする実需層向け集合住宅の需要は堅調に推移しています。

こうしたなか,KAでは今年新たに2件の実需層向け集合住宅の開発に着手しました。現在,設計・許認可を進めているところです。短期・中期的にはこうした分譲・売却を前提とする開発に注力し,商品企画力と市場での知名度を高める一方,今後は長期保有を前提とした賃貸オフィスなどの資産開発や,既存の賃貸物件を取得し,改装やリーシングによって価値を高める投資なども進め,収益の安定化を目指す考えです。

また,今年は他社開発案件への事業参画も開始しました。優良な開発用地を自社のみで確保するのは必ずしも簡単ではなく,他社との連携を通じてリスクを抑えつつ,実績とノウハウの蓄積を図る考えです。今後は建設部門との連携も強化し,KAグループの施工ノウハウを生かせる新分野の開拓や,顧客網を通じた新たなパートナーの発掘も積極的に進めていきます。

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